タイトル | 日テレ・水曜ドラマ「Woman ウーマン」 |
初回 / 最終回 | 2013年7月3日 / 9月11日(全11回) |
放送局 / 時間 | 日本テレビ系列局 / 水曜日 22:00 キー局・再放送あり |
制作・著作 | 日本テレビ |
統括 / チーフP | 神蔵克 / 大平太 |
プロデューサー | 次屋尚、千葉行利、大塚英治 |
演出 | 水田伸生 ほか |
原作・脚本 | 坂元裕二 |
音楽 | 三宅一徳 |
主題歌 | androp「Voice」 |
7月 / 1話・2話・3話・4話・5話
8月 / 6話・7話・8話・9話
9月 / 10話・11話(最終回)
青柳小春(満島ひかり)は27歳のシングルマザー。
小春が夫・青柳信(小栗旬)と初めて出会ったのは、信がチョモランマの登山を終えて帰国した直後だった。2人は結婚し、長女・青柳望海(鈴木梨央)、長男・青柳陸(高橋來)を授かった。しかし、そんな幸せな日々の中、信は、ある事故で急死。小春はシングルマザーになってしまう。小春は子供には信の死を知らせず、「お父さんは隠れてるだけで、本当はそばにいるの」とだけ伝えている。
シングルマザーとなった小春の生活は過酷だった。ガソリンスタンドとクリーニング店のアルバイトを掛け持ちしながら2人を育てるのだが、昼間は子供たちを保育所と託児所に預けるため、それだけで月8万円が消える。
貯金はなく、ガソリンスタンドの店長(九太朗)にバイト代の前借りを頼むこともしばしば。夏祭りに子供たちに浴衣も着せてやれず、心苦しい思いをする。アパートの大家(ト字たかお)から家賃を催促され、小春は信の形見ともいえる愛読書を新古書店に売り、家賃を捻出する。
そんな小春に、バイト先で知り合ったシングルマザーの蒲田由季(臼田あさ美)は、「シングルマザーの厳しい家計はみな同じ、子供に睡眠薬を飲ませて託児所の費用を浮かす母親もいる」と言う。
小春は深夜の居酒屋でもバイトを始めるが、不在の間、寂しがる子供が泣き出してアパートの住人・潤子(片岡富枝)に迷惑をかけてしまう。
小春はすがる思いで、生活保護の申請をするために渋谷区役所の生活福祉課へ。職員の砂川良祐(三浦貴大)が応対する。砂川の上司・松谷(井之上隆志)から「旦那さんは何をしていますか?」と聞かれ、小春は、夫は駅で電車にはねられて死亡したと告げる。小春は続ける。「それに、私の父は死にました。母とはもう20年近く会っていません」と。
だが後日、小春は松谷から思いもよらない報告を聞く。小春の母に援助の可否について問い合わせる扶養紹介状を送ったところ、援助の意思を示す返信がかえってきたという。三親等以内の親族から援助があれば、生活保護は受けられない決まりになっている。小春にとっては思わぬ邪魔が入った。
小春は母が援助の意思を示していることを疑問に思う。為す術なく区役所を後にするが、生活費が底をついた現実は変わらない。小春は職員の砂川にまで借金を頼みこむ。
その矢先、小春は砂川の目前で倒れ、彼の妻・砂川藍子(谷村美月)が勤務する病院に運ばれる。診察結果は貧血の疑い。
その夜も、小春は身体を酷使して居酒屋のバイトへ。だが、帰宅した小春は子供の些細なイタズラに打ちひしがれ、思わず「お父さんはもういないの」と、子供に初めて涙を見せてしまう。
翌日、小春は援助の意思を撤回してもらうために、絶縁状態の母・植杉紗千(田中裕子)のもとを訪ねることにした。
しかし、紗千は外出中。代わりに、紗千に養ってもらっているという植杉健太郎(小林薫)がいた。小春は20年前、生前の実父がこの健太郎をブランデーの瓶で殴ったのを見たことがある。健太郎は紗千を父から奪ったも同然の男だった。
小春は健太郎から意外な話を聞く。信が2人目の子を授かる頃、挨拶のためにここを訪れ、小春と紗千の不仲を修復しようと意気込んでいたというのである。そして、信が帰る時、紗千が紙袋にたくさんの梨を入れ、信に持たせたという話も。梨は、幼い頃からの小春の大好物だった。その話を聞いた小春は、3年前のある重大な出来事を思い出す。
すると、そこへ紗千が帰宅してくる。小春は紗千に、援助の意思を撤回してほしいと言う。そうしなければ生活保護は受けられない、と。
紗千は、小春が結婚したこと以外は何も知らなかった。信が他界したことも。
「夫は、信さんは死にました。3年前、駅で、線路に、電車で・・・。転がった梨、拾おうとして線路に落ちたんです」
小春は信の死を紗千に告げる。
小春はずっと疑問に思っていた。信はなぜ、命がけで梨を拾おうとしたのか。しかし、さっきの話で、それがやっとわかった。紗千からもらった梨だからこそ拾おうとしたのだ。母と娘をつなぐ大切な物だから、拾おうとしたのだ、と。
その話を聞いた紗千も心が痛い。自分が間接的に信の死に関わっていたのだ。紗千は小春にいくらかの生活費を渡そうとするが、拒絶される。
小春の帰宅後、紗千は健太郎に尋ねる。援助の意思を示す返信を区役所に出したのは健太郎なのか、と。健太郎はうなずく。
帰り際、小春は紗千に微笑んでみせた。しかし、それは和解を意味する微笑みではなく、母を許したくないという意地から浮かべた微笑みだということに紗千は気付いていた。
思いがけず、小春は信が生前最後に訪れたのが紗千の家だと知った。信のことを思い、涙があふれる。けれど、今はひたすら生活費を稼ぐしか生きる術がない。信の形見のカメラも金になる。小春はカメラを質屋に売ることで47000円を手に入れた。
電車にいても、コンビニにいても、子供は泣く。相変わらず、そこにあるのは、白い目、舌打ち、そして周囲に迷惑をかけているという引け目。
しかし、老人(庄司永建)の「いいんだよ。子供が泣くのは当たり前だよ」という言葉に小春は救われた思いがするのだった。
(Woman ウーマン 第1話「命をかけて我が子を育てるシングルマザーの感動ドラマ」の結末まで~あらすじ・ネタバレ~)
小春にとって、夫・信の死は、現実感のない事柄で形成されていた。
信が梨を拾おうとして線路に侵入するまえに、実は、女子高生に痴漢をはたらいた疑いをかけられていたのだ。
つまり、電車で女子高生に痴漢をした後、駅のホームで落とした梨を拾おうとして、線路に侵入、そして電車にひかれた、と。それが小春が事故当時、駅員や警察の関係者から聞いた目撃情報だった。
しかし、痴漢をされたという女子高生は姿をくらましてしまい、その女子高生が本当にいたのか、それすらも確かめられない。
小春は信が痴漢をはたらくような男だとは思えず、被害者の女子高生の存在が確かめられない今となっては、それが現実に起こった出来事とはどうしても思えずにいたのだった。
そんな中、小春は、紗千と健太郎の娘・植杉栞(二階堂ふみ)と初めて対面する。小春にとって栞は異父姉妹ということになる。栞は小春とその父に対して好意的な印象を持っておらず、紗千に暴力をふるってきたという小春の父を挙げて怒りをあらわにするが――。
(Woman ウーマン 第2話「母が母であるための間違った選択?」第3話「母であること。そして娘でいること」まで~あらすじ・ネタバレ~)
栞は重大な秘密を抱えていた。
信が電車で痴漢をしたとされる女子高生、それが栞だったのだ。ただ、真相は、信は痴漢などしていない。すべては栞のでっち上げだった。
真相はこうだった。小・中学校でイジメられてきた栞は、高校入学後、グループの仲間に受け入れられるために、痴漢のでっち上げをし、示談金をもらうという悪しきイタズラに加担していた。栞の役割はおとなしそうなサラリーマンに目をつけ、その男性の手を握り、「痴漢をされた」と騒ぐこと。しかし、そのイタズラもすぐにボロが出て、栞はまた居場所がなくなった。
そんな中、栞は青柳信という男性が家を訪ねてきたところに出くわした。信のことは知っていた。母と絶縁状態の娘の夫である。
信が帰路につくところを栞は尾行することにした。信が紗千と親しげに話している様子を見て「家庭でも居場所がなくなる」と思った栞には、この時、ある屈折した心理がすでに芽生えていた。
電車内、信は幸せそうな表情をしていた。栞は衝動を止められなかった。ただ、信の手をとって「痴漢をされた」と言うだけの行動。それで幸せそうな彼の何かが狂う。それでよかった。
信は、「痴漢」の声を聞きつけた周囲の男性たちに取り押さえられ、その最中に落とした梨を拾おうとして、あの事故に遭った――。
栞は紗千だけにその事実を話す。
一方、小春はかつて診てもらった藍子の病院に、精密検査の結果を聞くために訪れる。そこで小春は、医師・澤村友吾(高橋一生)から、再生不良性貧血と診断される。
(Woman ウーマン 第4話「ぼく、おとうさんに会いたいよ」の結末まで~あらすじ・ネタバレ~)
小春は再生不良性貧血と診断されるが、これまでと同じように仕事を続ける。
だが、やはり家計が苦しいこともあり、植杉家でしばらく生活させてもらうことを決める。健太郎は小春たちを温かく迎え入れ、子供たちの面倒をみてくれるようになる。栞は信が亡くなったキッカケとなった「痴漢でっちあげ」の秘密を隠しながら小春と接するが、時に情緒不安定になり、自責の念に押しつぶされそうになる。
そんな中、小春は信が4年前、事故に遭う少し前に書いたという手紙を入手する。信が立ち寄った小菅村のロッジに置き忘れられた手紙である。そこには、信が育児放棄をされた母親の話が書かれてあった。そういった経験から、信が温かい家庭というものを人一倍、尊く思っていたことを感じ、小春は胸が締めつけられる思いで手紙を読む。手紙には、小春の母・紗千のことも書かれてあり、「小春ちゃんと小春ちゃんのお母さんが一緒にごはんを食べているところが見たい」という二人の復縁を望んだ文章が綴られていた。信はこうした思いから、植杉家を訪ね、その帰りに事故に遭ったのだ。
その夜、栞がふとしたことからその手紙を読んでしまう。栞の中で抱え込んでいた想いが決壊し、痴漢をでっち上げたことを小春に吐露してしまう。
小春は衝撃の事実にショックを受け、植杉家を出ていこうとするが、子供たちのために夏祭りが終わるまで植杉家にとどまることを決める。小春の体の具合は好転せず、小春は数日間の入院生活を強いられる。一方、健太郎は紗千から、小春の病気のことや栞の「痴漢でっちあげ」の過去を聞かされ、愕然とする。健太郎は家を出て行った栞に会いに行く。
(Woman ウーマン 第5話「誰にも言えない、母の覚悟」第6話「生きるための嘘、我が子のために」第7話「生きる為に死んだ大切な人、その真実」第8話「あの子を殺して私も死ねばいいの?」第9話「生きたい! せめてあと10年」まで~あらすじ・ネタバレ~)
小春の病気を知った栞が、小春のために骨髄適合検査を受ける。
「お願いします。適合したら、その時だけ妹だと思ってください」
小春は栞のことを許せない気持ちを抱えながらも、苦悩する栞の姿に心が揺れる。
やがて骨髄適合検査の結果がわかる。結果は・・・。
植杉家では、小春と紗千が母と子の愛情を取り戻し始める。信が望んだように、家族が食卓を囲んで笑いあう姿がそこにあった。
そんな中、家を出て行った栞が植杉家を訪ねてくる。小春は栞がしたことを許せるか分からないとしながらも、子供たちがそれを知った時に栞のことは憎んでほしくないという今の心境を話す。そして、
「手術の時はよろしくお願いします。私の妹に伝えてください。あなたのおかげで生きられるって・・・。。あなたも生きてください」
月日は流れ、季節を超えて、それぞれが待ちわびた日がやってくる。
その日は、小春が家族のもとに帰ってくる日である。(終)
(Woman ウーマン 第10話「お母さん、ほんとうのこと言って!」第11話(最終回)「こどもたちのこどもたちへ」の結末まで~あらすじ・ネタバレ~)