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NHK福岡放送局
NHK福岡放送局は、福岡県西部を対象とする日本放送協会(NHK)の地域放送局であり、その歴史は1930年12月にさかのぼります。九州地方では2番目に開局し、当初は熊本局の支局として機能していましたが、戦後の福岡市の大都市化に伴い、九州・沖縄8県を統括する拠点局としての役割を担うようになりました。現在では、本部(東京)、大阪、名古屋に次ぐ規模の大きな拠点放送局として、ローカル番組、全国放送番組、九州・沖縄向けの管内ネットワーク番組の制作に力を入れています。
福岡放送局のラジオ第1放送(JOLK、612kHz)は送信出力100kWで、福岡県だけでなく佐賀県、長崎県の壱岐市や対馬市、大分県西部の山間部などでも受信されています。局のマスコットキャラクターは「ふっく」で、六本松に移転して20年を記念して制定されました。
福岡放送局は、福岡タワー送信所や九州自動車道の鳥栖ジャンクション付近、NHK福岡放送局屋上、天神の那の津通り、博多駅付近などに情報カメラを設置しており、特に福岡タワーや放送局屋上、天神の情報カメラは稼働率が高いです。
特徴的なのは、福岡県内にNHKの2つの放送局が存在する点です。もう一つは北九州放送局であり、福岡局と北九州局は平日18時台と20時台のローカルニュース枠で一部独自の番組を放送しています。自主制作番組も積極的に行っており、『福岡発地域ドラマ』や『熱血!オヤジバトル』、『トンコツTV』などが代表的です。
2023年4月1日から、部制からセンター制に見直され、経営管理センター、コンテンツセンター、視聴者リレーションセンターが設置されました。経営管理センターは九州沖縄地方の各放送局の統括管理部門、コンテンツセンターはアナウンスや番組制作・技術などの現業部門、視聴者リレーションセンターは営業や広報などの対視聴者部門を担当しています。これにより、放送局の機能が効率化され、視聴者へのサービスが向上しました。
また、福岡放送局は、直下型地震などの災害や放送設備のトラブルに備え、東京のNHK放送センターが機能不全に陥った場合には、大阪放送局から衛星放送を介して全国に放送を代替送出できるようになっています。さらに、大阪放送局も機能不全に陥った場合に備え、福岡放送局にも衛星放送を介して全国放送を行える設備が整備されています。
所在地は福岡市中央区六本松1-1-10で、ここから地域に根ざした放送を続けています。歴史的な出来事として、1928年6月16日に熊本放送局が開局し、同年9月16日に熊本放送局福岡演奏所が開設され、これが福岡放送局の前身となりました。1930年12月6日に福岡放送局が正式に開局し、以降、ラジオ第2放送や総合テレビ、教育テレビ(現:Eテレ)、FM放送など、多様な放送サービスを展開してきました。
1951年には開局20周年記念事業として「福岡市の歌」「久留米市の歌」「大牟田市の歌」が選定されました。1956年には九州初のテレビ局として総合テレビ放送を開始し、その後もテレビ文字多重放送、地上デジタル放送、インターネットラジオ放送サービス「NHKネットラジオ らじる★らじる」など、時代の変化に合わせた新しい放送技術を導入してきました。
2024年6月30日には、福岡放送局と福岡県内の民放4局が災害報道に関する覚書を締結し、巨大地震が九州・四国沿岸部で発生した場合の取材ヘリ映像を各局で共有する体制が整えられました。これにより、災害時の情報提供が一層迅速かつ正確になることが期待されています。
このように、NHK福岡放送局は福岡県西部を中心に、九州・沖縄地方全体をカバーする重要な放送局として、その役割を果たし続けています。地域に密着した放送サービスを提供するだけでなく、全国的な災害対応能力も備え、視聴者に信頼される放送局としての地位を確立しています。