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NHK金沢放送局
NHK金沢放送局は、石川県を放送対象地域とする日本放送協会(NHK)の地域放送局です。テレビとラジオを通じて県域放送を行っています。この放送局は、昭和時代の九州を管理していた熊本局を含めた拠点局以外では初めて開局しました。中部地方の基幹局である名古屋局に次ぐ位置づけであり、その歴史は非常に古いものです。
金沢放送局は、放送局舎の老朽化が進んでいたものの、耐震化策による延命が図られ、移転・建替えの計画はありませんでした。しかし、2013年に入って駅西方面への移転計画が持ち上がり、2018年に新しい放送会館が竣工し、同年10月に移転が完了しました。新社屋は一部4階建てで、70メートルの鉄塔があり、1階壁面には220インチの8Kモニターや記念撮影コーナーが設けられています。
金沢放送局の歴史は1928年に始まり、1929年には金沢市殿町に演奏所が竣工、1930年に正式に放送を開始しました。当初は日本で8番目、日本海側で最初のラジオ局でした。その後、管轄区域は段階的に分離され、名古屋と金沢間の中継線が開通し、日本最初の放送用搬送回線が正式に使用されました。1947年にはラジオ第2放送が開局し、1957年には本州の日本海側初となる総合テレビの放送が開始されました。
1961年に旧局舎が完成し、業務を開始しました。その後、テレビのカラー化が進み、FM放送の開始やテレビの出力増強が行われました。1978年にはラジオの周波数が現在のものに変更され、1985年には総合テレビの音声多重放送が開始されました。2006年には地上デジタルテレビ放送が始まり、2011年にはアナログ放送が終了しました。
2018年には新しい放送会館に移転し、2023年には部制からセンター制に再編され、地域向けテレビ番組の見逃し配信が開始されました。2024年には能登半島地震が発生し、一部地域でテレビ放送やFM放送が中断する事態が発生しましたが、迅速に対応し、送信を再開しました。その後、BS103チャンネルを通じて被災地向けの放送を継続しました。
現在、金沢放送局では多くの地域向け番組を制作・放送しています。総合テレビでは「おはようかがのと」や「newsかがのと」などのニュース番組や、「かがのと」シリーズの地域情報番組が放送されています。ラジオでは「かがのとラジオ」などが放送され、地域の情報を提供しています。過去には「ニュースいしかわ」シリーズや「デジタル百万石」などの番組が放送されていました。
また、特別番組としては、1986年に制作されたドキュメンタリー「NHK特集 のぞみ5歳 ~手探りの子育て日記~」があり、この番組は多くの賞を受賞しました。その他、「真相回転!どいね寿司」や「石川アーカイブス」など、地域に密着した番組が制作されています。特に「いよっ!弁慶」はBSプレミアムで「石川発地域ドラマ」として放送され、地域の魅力を全国に発信しています。
このように、NHK金沢放送局はその長い歴史の中で、地域に根ざした放送局として成長してきました。今後も石川県の情報を発信し続けることで、地域の人々に寄り添い、信頼される存在であり続けることでしょう。