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NHK水戸放送局

NHK水戸放送局(エヌエイチケイみとほうそうきょく)は、茨城県を放送対象地域とする日本放送協会(NHK)の地域放送局であり、総合テレビとFM放送を通じて県域放送を行っています。NHK EテレとAM放送(ラジオ第1放送とラジオ第2放送)については関東広域圏扱いとして、東京本局からカバー・中継されています。
NHK水戸放送局の総合テレビは、2004年10月1日に県域放送を開始し、リモコンキーIDは1、呼出符号はJOEP-DTVです。デジタル放送として県域放送を開始したのは初めてであり、アナログ放送を含めれば津放送局以来31年ぶりのことでした。県内における地上デジタルの中継局の設置は、東京タワーからのNHK放送センターの電波がほとんど届かない県北・県央・鹿行の3地域が優先されました。そのため、これらの地域では山間部などを除くほぼ全世帯で県域放送が受信可能となっています。

東京タワー(2013年5月31日以降は東京スカイツリー)からのNHK放送センターの電波が受信可能な県南・県西においては、県域放送を送出する中継局は筑波中継局、筑波神郡中継局、筑西中継局、八郷南中継局、古河中継局、かすみがうら中継局の6局です。なお、県西の坂東市に岩井中継局の設置が一時検討されましたが、後に不要と判断されました。これらの地域では、アナログ放送終了以前は混信を防ぐために筑波中継局に指向性がかけられていた他、岩瀬中継局は出力が小さく、水戸局の電波も石岡市など一部を除いて届かなかったため、多くの地域で受信できませんでした。
アナログ停波後の2011年9月5日に筑波中継局が無指向性化され、県内のほぼ全域で県域放送が受信可能となりました。鹿行地区においては、2013年1月に神栖中継局が新たに設置され、翌2014年1月末にはかすみがうら中継局も新たに設置されました。県西部と南部の地域では東京スカイツリーなどの近隣都県の送信所や中継局と併用して受信・視聴することになっています。そのため、古河中継局と筑西中継局、筑波中継局の3中継局では教育テレビ(Eテレ)や在京民放テレビ各局の送出は行っていません。県西部と南部の居住者で県域放送を受信するには、古河中継局と筑西中継局、筑波中継局のうち、条件の良い中継局向けにアンテナの追加設置と特定地域用のU・U混合器が必要です。設置の際、中継局によってアンテナの種類(垂直偏波・水平偏波)が違うので注意が必要です。また、テレビの受信機によっては、自動的に茨城県に県域設定されるため、東京(関東広域)が視聴できなくなる場合もあります。
FM放送については、1970年4月6日に県域放送を開始し、呼出符号はJOEP-FMです。茨城県には県域放送を行う民放FM局が存在せず、NHKが唯一の県域FM放送局です。唯一の民間県域放送であるLuckyFM茨城放送はAM局です。
NHK水戸放送局の沿革を振り返ると、1941年12月9日に水戸市黒羽根町に社団法人日本放送協会水戸臨時放送所が開設され、電波管制に伴う措置として放送が開始されました。1942年4月10日には水戸市元白金町に水戸出張所が開設され、これが水戸放送局の始まりとなりました。1945年8月2日、戦災により水戸出張所が焼失し、茨城会館ほかに移転しました。1946年には水戸市大町の旧兵舎仮事務所に移転し、同年9月1日には水戸中継放送所のコールサインをJOAK2に決定しました。1948年には水戸出張所を水戸支局と改称し、7月1日には水戸中継放送所のコールサインをJOAXに変更しましたが、このコールサインは後に日本テレビが使用しました。
1950年6月1日、放送法施行に伴い、社団法人日本放送協会が解散し、特殊法人としての日本放送協会が設立され、一切の権利義務を継承しました。1951年7月1日には水戸支局を水戸放送局と改称しましたが、当時は送信施設がありませんでした。1959年には鉄筋コンクリート局舎が建設され、1960年には土浦通信部が開設されました。1961年12月1日には日本初のUHF放送局である日立テレビ中継放送所の実験運用が開始され、翌1962年には日立通信部が開設されました。1963年には日立テレビ中継放送所の本放送が開始され、1970年4月6日には水戸放送局がFM放送を開始しました。
1973年には現在の水戸放送会館が落成し、現在地に移転しました。1976年7月17日には水戸放送局がテレビの中継放送を開始し、1991年には土浦通信部を廃止し、つくば報道室を開設しました。1998年にはかしま報道室を開設し、2004年10月1日には地上デジタル総合テレビの放送を開始しました。2005年3月にはNHK水戸児童合唱団が設立され、2006年4月1日には茨城県を含む全国29都府県でワンセグ放送が開始されました。2007年2月1日には総合テレビのワンセグ放送が開始され、2011年3月11日には東日本大震災が発生し、茨城県内の災害報道に当たりました。同年7月24日にはアナログ放送が終了し、地上デジタル放送へ完全移行しました。2012年4月10日には水戸放送局が開局70周年を迎え、2014年10月1日には総合テレビ放送開始10周年を迎えました。
2022年10月3日にはNHKプラスで地域向けのテレビ番組の見逃し配信が開始され、2023年4月1日には令和改革により、部制からセンター制に見直され、コンテンツセンターと経営管理企画センターへ再編されました。現在、NHK水戸放送局は茨城県内の報道専従支局を通じて地域の情報を提供し続けています。

アナウンサー・気象予報士