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TSS テレビ新広島

株式会社テレビ新広島(テレビしんひろしま、TSS-TV Co., Ltd.)は、広島県を放送対象地域とするテレビジョン放送事業を行う特定地上基幹放送事業者です。社名の略称であるTSSは、「Television Shin-Hiroshima System」の頭文字を取ったもので、従来の英称はShinhiroshima Telecasting Co., Ltd.でしたが、2008年に現在の名称に変更されました。公式な略称表記は大文字の「TSS」であり、これはロゴが小文字で誤解されやすいものの、北海道文化放送の「UHB」と同じ考え方です。

概要として、TSSはFNN・FNS系列の中国地方における基幹局であり、中国電力の主要関連企業の1社です。フジテレビ系列の中でもキー局のフジテレビジョンとは親密な関係にありますが、番組編成面ではフジテレビ一辺倒ではなく、自社制作や関西テレビなど他のFNS系列局、さらには広島県に系列局がないテレビ東京系の番組も多く取り入れています。株主にはフジ・メディア・ホールディングス(FMHD)、産業経済新聞社、中国電力、関西テレビ放送、マツダなどが名を連ねており、中国新聞社やテレビ東京の親会社である日本経済新聞社も含まれます。FMHDの持分法適用関連会社の中では、仙台放送や福島テレビに次いで「31.8%」をFMHDが保有しています。
地上デジタル放送の親局コールサインはJORM-DTV、チャンネルは23chで、リモコンキーIDは8です。広島県内の民放テレビ局4局の中で最も新しい放送局であり、フジネットワーク(FNS)加盟局では28局中25番目で、昭和最後の開局局でもあります。TSSのロゴマークは開局以来一貫して変わっておらず、コーポレート・スローガンは2015年の開局40周年を記念して制定された「ここからっ!TSS」で、その前は「情熱電波!TSS」でした。
TSSは新社屋の建設も行っており、2020年7月末に竣工し、2021年2月22日より新社屋からの放送を開始しました。この新社屋は6階建てで、延べ床面積約8千平方メートル、高度な耐震性を備え、最大3メートル級の浸水も想定して設計されています。また、スタジオの大型化や付帯設備、オフィス機能なども充実しています。
TSSの本社は広島県広島市南区出汐に位置し、福山支社は福山市西町、東京支社は東京都中央区銀座、大阪支社は大阪市北区梅田にあります。1973年には広島県に民放第4局の周波数割り当てがあり、広島地区では38件の免許申請がありました。1974年に予備免許が交付され、同年8月に会社が設立されました。そして1975年10月1日に開局し、番組は広島テレビ(HTV)や広島ホームテレビ(UHT)からの移行が大半を占めました。FNN・FNSに加盟し、開局時点で福山・尾道・府中・呉・大柿・竹原・三次・佐東・三原・因島・千代田・西城の11局の中継局が設置されました。
1991年には音声多重放送を開始し、1997年には広島の報道機関として初めて専用郵便番号(734-8585)を使用し始めました。2000年には「テレビ新ヒーロー ティエスエス」というマスコットキャラクターを採用し、ビデオクリップの素朴なつくりが子供たちに大人気を博しました。2005年には開局30周年を迎え、広島県出身の歌手・西城秀樹をイメージキャラクターに起用し、「情熱電波!TSS」をキャッチコピーにキャンペーンを展開しました。
地上デジタル放送に関しては、2006年に試験電波の発射を開始し、翌年には地上デジタル放送のサービスを開始しました。2011年には地上波アナログ放送が終了し、デジタル放送への完全移行が完了しました。2012年にはフジ・メディア・ホールディングスの持分法適用会社となり、2015年には開局40周年を迎え、「40TH ここからっ!TSS」と新マスコットキャラクター「ヒロシマイケル」を制定しました。2018年には新社屋の建設計画が発表され、2021年には新社屋からの放送が開始されました。
ネットワークの移り変わりについては、1975年にフジテレビ系列局として開局し、広島県では初のフルネット局となりました。開局当初、番組の8割が広島テレビから、2割が広島ホームテレビからの移行でした。広島テレビは日本テレビ系列とのクロスネットでしたが、1970年代に入ると日本テレビ寄りの編成となり、フジ側は新局開局に注力しました。そして、テレビ新広島の開局により広島テレビは日本テレビ系列に一本化されました。サービス放送実施時には、フジ系列の番組や外国映画などを自主編成して放送していました。

アナウンサー・気象予報士