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AAB 秋田朝日放送

秋田朝日放送株式会社は、秋田県全域を対象とするテレビ放送事業者として1992年に開局した特定地上基幹放送事業者です。略称AABで知られ、テレビ朝日系列局として秋田県の3番目の民間テレビ局となりました。
同社の設立は1991年で、翌年10月1日に本放送を開始しました。開局当時のキャッチコピーは「冒険しますAAB」でした。その後、10周年、15周年、20周年、25周年、30周年と節目ごとに新たなキャッチコピーを掲げ、地域に根ざした放送局として成長を続けてきました。

技術面では、2005年に地上デジタル放送対応の設備を整え、2006年から試験放送を経て同年10月に本格的な地上デジタル放送を開始しました。その後、県内各地に中継局を設置し、2011年7月のアナログ放送終了までにデジタル化を完了させています。
AABの特徴的な取り組みとしては、2006年に導入されたマスコットキャラクター「ミーチュー」があります。また、環境プロジェクト「ここecoろ」の開始や、再生可能エネルギーの導入など、社会的責任を意識した活動も行っています。
秋田県におけるANN系列の歴史は複雑で、AAB開局以前は秋田テレビ(AKT)がANN系列に属していましたが、1987年に離脱しました。その後、AAB開局までの期間は、秋田放送(ABS)がテレビ朝日系番組の多くを放送していました。
AABの開局は、地元の政財界が消極的な中で実現しました。開局費用の大半は朝日新聞・テレビ朝日および東北地方のテレビ朝日系列局、さらに地元の酒造会社が負担しました。開局日には特別番組が放送され、全国中継も行われるなど、盛大な船出となりました。
テレビ朝日系番組の移行に関しては、主に秋田放送(ABS)から移行されましたが、一部は秋田テレビ(AKT)からも移行されました。特にニュース番組は、AKTがANNを脱退してから5年半ぶりに復活することとなりました。
近年の動きとしては、2018年にテレビ朝日ホールディングスの持分法適用関連会社となり、資本関係が強化されました。また、2021年には気象予報業務の許可を取得し、より地域に密着した気象情報の提供が可能となりました。さらに、同年には送信所の電力に再生可能エネルギーを導入するなど、環境への配慮も進めています。
2022年の開局30周年では、人気アニメ「クレヨンしんちゃん」とのコラボレーションを実施し、地域の視聴者との絆を深めました。また、データ放送を活用した「テレビ回覧板」サービスを湯沢市や男鹿市で開始するなど、地域情報の発信にも力を入れています。
このように、秋田朝日放送は開局以来、地域に根ざした放送局として、技術革新や社会貢献活動を通じて成長を続けています。テレビ朝日系列局としての全国ネットワークを活かしつつ、秋田県の特性を反映した独自の番組制作や情報発信にも注力し、地域メディアとしての役割を果たしています。

アナウンサー・気象予報士