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BBC びわ湖放送

びわ湖放送株式会社(BBC)は、滋賀県を放送対象地域とする特定地上基幹放送事業者です。1972年4月1日に開局した同社は、滋賀県が筆頭株主となる第3セクターであり、近畿地方で唯一中日新聞と関係を持つテレビ局として知られています。
BBCの最大の特徴は、どの系列にも属さない独立放送局であることです。全国独立放送協議会に加盟しており、テレビ東京系列の番組を多く放送しています。これは、近畿広域圏でテレビ東京系列局のテレビ大阪が大阪府のみを放送対象地域としており、滋賀県内の大半の地域で受信できないことを補完する役割を果たしています。

番組編成の特徴として、自社制作番組の優先度が高いことが挙げられます。テレビ東京からのネット受け番組が特別番組として放送時間を拡大する場合でも、自社制作番組を優先して放送することがあります。しかし、近年では平日の自社制作による長時間の帯番組は減少しています。
BBCという略称は、イギリスの英国放送協会と同じであることから、しばしば混同されることがあります。この点を利用して、自社制作番組でネタにすることもあります。2009年10月1日には、「アミンチュてれびBBC」というステーションコピーを制定しました。「アミンチュ」は「淡海人」を沖縄語的に読んだもので、滋賀県民を指す造語です。
BBCは、日本の独立テレビ単営局で唯一、社名に「テレビ(ジョン)」がつかない放送局です。本社は滋賀県大津市にあり、東京支社と大阪支社も設置しています。
滋賀県には本社を置く地方新聞社が存在しないという特殊な事情から、BBCは地元を代表するマスメディアとして報道に積極的に取り組んでいます。株主には東隣の岐阜県を地盤とする中日新聞社が名を連ねており、中日新聞は滋賀県内の一部地域でも一定のシェアを持っています。
BBCの歴史を振り返ると、1980年代初めまでは主に夕方から夜間にかけてしか放送を行っていませんでしたが、1982年4月から早朝の情報ワイド番組『おはようびわこ』を開始し、放送時間を拡大しました。1990年代までは、小学校3年生を対象とする学校向けの教育番組も放送されていました。
1980年には、特別番組『よみがえれ琵琶湖』で日本民間放送連盟賞を受賞し、1986年には『びわ湖ほのぼの大賞』をスタートさせるなど、地域に根ざした放送局としての活動を展開してきました。
技術面では、1989年に音声多重放送を開始し、2006年8月1日にはアナログ放送・デジタル放送統合マスターに切り替え、同年10月1日に地上デジタル放送を開始しました。BBCのデジタルテレビ放送は、珍しい1920×1080のフルハイビジョン放送を採用しています。2008年3月11日には自社制作番組でのハイビジョン放送を開始し、スタジオ設備や副調整室の機材を新調しました。
2011年7月24日には、他の多くの放送局と同様にアナログ放送を終了し、デジタル放送へ完全移行しました。2022年4月1日には開局50周年を迎え、半世紀にわたって滋賀県の放送文化を支えてきました。
BBCは、独立局ならではの柔軟な番組編成と地域密着型の放送を通じて、滋賀県の視聴者に独自の価値を提供し続けています。テレビ東京系列の番組を多く放送しながらも、自社制作番組を重視する姿勢は、地域の情報や文化を発信する上で重要な役割を果たしています。今後も、滋賀県唯一の民間テレビ局として、地域社会との強い結びつきを維持しながら、視聴者のニーズに応える放送を続けていくことが期待されています。

アナウンサー・気象予報士