TV
NBC 長崎放送
長崎放送株式会社(ながさきほうそう、英: Nagasaki Broadcasting Co.,Ltd.、略: NBC)は、長崎県と佐賀県を放送対象地域とする中波放送(AM放送)事業と、長崎県を放送対象地域とするテレビジョン放送事業を行っている特定地上基幹放送事業者である。創業当初から筆頭株主であるマルハ(現・マルハニチロ)との関係が深い。長崎放送は長崎県内唯一のラジオ放送・テレビ放送兼営の民間放送局であり、九州では福岡のRKB毎日放送に次いで2番目に開局した老舗の放送局である。社屋は県庁や長崎駅の近くに位置し、2021年3月までは企業ロゴデザインが長年変更されていなかった。
ラジオのコールサインはJOUR(長崎 1233 kHz)、テレビのコールサインはJOUR-DTV(長崎 14ch)である。テレビはJNN系列、ラジオはJRN/NRN系列のクロスネットに属している。長崎国際テレビが開局するまでは、NBCもフジテレビ系と日本テレビ系の番組を一部放送しており、さらに長崎文化放送開局まではテレビ朝日系の番組も多数放送していた。こうした特殊な放送体系をとっていたため、2011年7月24日までのアナログテレビ放送では、佐賀県内のケーブルテレビ局がNBCテレビの再送信を行っていた。しかし、デジタル完全移行後は佐賀県内の再送信はRKBに一本化された。一方、中波の民放ラジオ局がない佐賀県向けには一部独自の番組を放送しているが、現在は大幅に独自制作の規模を縮小している。
ラジオ佐賀については、子会社のNBCソシアが業務全般を行っており、現在佐賀に在籍する本社社員は局長ら一部管理職・技術責任者のみとなっている。NBCラジオ佐賀の電波は筑後地域まで届いており、福岡県の民放ラジオ局の電波が入りにくい地域ではよく聴取されている。そのため、筑後地域向けの広報番組も過去に放送されたことがある。また、NBC本局の中継局が島原にあり、有明海を隔てて熊本県や鹿児島県の一部地域でも聴取できるため、エリア地域の人口は九州一であると推定されている。
長崎という土地柄、原爆や反核に関する報道には敏感であり、過去にも原爆に関するドキュメンタリー番組を数多く制作し、発信し続けてきた。また、受賞歴も多く、長崎特有のお盆に精霊船が練り歩く精霊流しの特別番組や長崎くんちの特別中継番組も行っている。ラジオ番組については、放送免許は長崎放送本社が持っているが、2006年にラジオ制作部門を「NBCラジオ」に移譲し、その後「NBCソシア」と吸収合併させ、現在は「NBCソシア」の一部門として運営している。
テレビ番組の自社制作は2004年にスタートした『あっぷる』が中心だったが、2020年4月からは『pint』に代わり、新たな自社制作番組を始めた。番組制作は関連会社に委託しており、『あっぷる』や『pint』もその一例である。1982年7月23日に発生した長崎大水害の際には、NBCラジオは災害放送に全面移行し、安否情報を流し続けた。2008年8月9日には、長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典の模様を中継する特別番組のため、北京オリンピック特番の放送時間を変更した。
現在、ラジオでは2023年4月より平日午後に自社制作番組を放送せず、TBSラジオ制作の番組を放送している。このような編成を行っている地方局は他にない。また、テレビでも水曜19時台のローカルセールス枠に放送されていた『げなパネ!』が終了した後、九州地方のTBS系では唯一同時間帯の自社制作番組を放送しない局となった。
NBCの主な受賞歴としては、『夢とアブラ』で2023年日本民間放送連盟賞番組部門テレビ報道番組優秀賞、『げなパネ! 自転車女子旅立ちのスペシャル』で2018年同賞特別表彰部門放送と青少年優秀賞、『中倉さんちの食べ物絵ごよみ』で2015年同賞番組部門テレビエンターテインメント番組優秀賞、『人間神様』で2014年同賞番組部門テレビエンターテインメント番組最優秀賞などがある。
老朽化が進んだ旧社屋の代わりに、2021年に長崎駅西側に新社屋を建設し、運用を開始した。新社屋は地上11階建で、1階にはエントランスホールがあり、テレビ・ラジオ番組の収録やイベントで使用される。また、長崎の様々な魅力や文化、平和に関する情報発信拠点として地域の活力を生み出している。新社屋移転と創立70周年を機に、2021年4月1日にCIとロゴマークを更新し、新たなシンボルマークとスローガンを導入した。さらに、2022年1月12日には新しいマスコットキャラクター「テレビンとれでぃお」を制定した。
長崎市上町の旧社屋は、新社屋運用開始後に解体され、跡地は長崎市社会福祉会館の敷地と一体的に活用するために、同市と共同開発に向けた協議が始まっている。
NBCの本社は長崎県長崎市尾上町にあり、佐世保支社、佐賀放送局(NBCラジオ佐賀)、東京支社、大阪支社、福岡支社も各地に設置されている。NBCラジオ佐賀の事務所とスタジオは佐賀市駅前中央の「コムボックス佐賀駅前」に入居している。
佐世保支社は1954年にラジオ佐世保として独自の免許を取得して開局した後、長崎放送と合併した。佐世保放送局は当初、ニュース取材や独自のニュース放送を行っていたが、全社的な経営の見直しや放送設備の老朽化により、現在は佐世保支社として再編された。また、佐賀に放送局があるのは、かつて佐賀県に民放ラジオ局がなかったためである。1958年にNBCラジオ佐賀が開局し、佐賀県内のニュース取材と民間放送教育協会の部門区分を担当している。
資本構成としては、長崎新聞社の出資比率は少ないが、長崎放送は長崎新聞社の大株主であり、親子逆転の関係にある。1950年に設立され、1953年にラジオ長崎として開局したNBCは、1954年にラジオ佐世保と合併し、長崎放送株式会社に社名変更した。その後、1959年には長崎テレビ放送局を開局し、テレビ放送を開始した。1962年にはNBC放送会館が完成し、長年にわたり長崎県と佐賀県で放送事業を展開している。