TV
NHK神戸放送局
NHK神戸放送局は、日本放送協会(NHK)が兵庫県を対象に放送を行う地域放送局であり、総合テレビとFM放送の県域放送を担当しています。この放送局の歴史は非常に古く、1925年7月に社団法人大阪放送局神戸出張所として開設されました。翌年には日本放送協会関西支部神戸出張所に改称され、さらに1934年には大阪中央放送局神戸出張所となりました。
1941年には姫路に臨時放送所が開設され、戦後1948年には神戸出張所が神戸支局、姫路相談所が姫路分局に改称されました。1950年に放送法が施行され、日本放送協会が特殊法人として設立されると、神戸支局は1951年に神戸放送局へ、姫路分局は姫路放送局へと名称が変更されました。1970年3月にはFM放送でのローカル放送を開始し、1971年には現在の所在地にテレビスタジオを備えた神戸放送会館が完成し、総合テレビでのローカル放送も開始されました。
神戸放送局はその後も進化を続け、1979年には総合テレビでの音声多重放送を開始し、1988年には姫路放送局が神戸放送局姫路支局に改称されました。しかし1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、神戸放送会館が全壊するという大きな被害を受けました。その後、神戸市立山手小学校跡地に仮設スタジオを設置し、1995年5月には神戸ハーバーランドのHDCビルに移転しました。旧放送会館は1997年に撤去されましたが、その跡地に2005年1月17日、新たな放送会館が再建されました。
この新放送会館は、震災クラスの大地震にも耐えられる免震システムを採用しており、震災関連番組などを検索できる「KOBEアーカイブス」というコーナーも設置されています。また、1階には市民が気軽に訪れることができるオープン・スペース「トアステーション」が設けられています。これは神戸のトアロード沿いに位置することから命名されたもので、地域の情報発信拠点として様々な公開放送やイベントが行われています。特にジャズの街として知られる神戸ならではのジャズ演奏会も定期的に開催されており、「トアステーション」の8面モニターにはNHKの国内向け地上波・BSテレビ放送、データ放送に加え、NHKワールドTVの受信映像も公開されています。
神戸放送局の放送は、総合テレビがJOPP-DTV、FM放送がJOPP-FMという呼出符号で行われています。総合テレビは22ch、FM放送は86.5MHzで放送されており、摩耶山送信所に設置された親局から約125万世帯にサービスを提供しています。また、県内各地に中継局が設置されており、デジタル放送は大阪放送局の教育テレビジョン(大阪教育テレビ)と共に順次設置されました。
神戸放送局は多くの番組を制作しており、総合テレビでは「リブラブひょうご」や「HYOGO+」などの地域に密着した番組が放送されています。これらの番組はNHKプラスの「ご当地プラス」において見逃し配信も実施されています。FM放送でも「県内ニュース」や「FMリクエストアワー」などが放送されており、地域の情報を幅広く提供しています。
さらに、2022年10月3日からはNHKプラスで地域向けのテレビ番組の見逃し配信が開始され、2023年4月1日には令和改革により、放送局内の組織が再編されました。これにより、従来の部制からセンター制に変更され、コンテンツセンターと経営管理企画センターが新たに設置されました。
神戸放送局はその長い歴史の中で数々の変遷を遂げながらも、地域に根ざした放送局としての役割を果たし続けています。震災という大きな試練を乗り越え、新たな局舎での放送を通じて、兵庫県内の情報を広く発信し、地域の文化や生活に寄与しています。