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NHK名古屋放送局

NHK名古屋放送局は愛知県名古屋市東区東桜一丁目に位置する、日本放送協会(NHK)の中部地方拠点局です。この局は、愛知県を含む中部地方7県(石川県、静岡県、福井県、富山県、三重県、岐阜県)を管轄しています。その歴史はNHK創設当時にさかのぼり、日本最古の放送局の一つとされています。NHK名古屋放送局の前身である名古屋無電放送株式会社は、日本における放送事業出願の第1号でした。
この局は、総合テレビとFM放送で愛知県内向けの番組を提供するほか、Eテレと中波(AM)ラジオ放送では東海3県向けの放送を行っています。また、中部地方全体を統括する拠点局でもあり、放送内容は「中部」を「東海・北陸」として取り扱うことが多いです。総合テレビとFM放送では、岐阜県や三重県の視聴者も多いため、愛知県内向けの内容に特化した番組は少ないです。北陸地方に関しては、金沢を基幹局とする番組も存在し、番組や大会の内容によっては北信越地方として新潟・長野も含むことがあります。

この放送局は、1924年2月1日に社団法人名古屋放送局として設立の出願がなされ、翌1925年1月10日に設立されました。同年6月23日には試験放送を開始し、7月15日にはラジオ第1放送の本放送を開始しました。1926年には社団法人日本放送協会東海支部に改称され、名古屋中央放送局として活動しました。1933年にはラジオ第2放送を開始し、1936年には全国初のプロ野球生中継を実施しました。しかし、1945年の名古屋大空襲により局舎が焼失するという困難も経験しました。
戦後の1950年にはテレビジョン実験局を開設し、1954年にはVHF5chでテレビ本放送を開始しました。1955年には名古屋市東区に名古屋放送会館を落成し、1961年には教育テレビ放送を開始しました。1963年にはカラー放送を開始し、1969年にはFM放送の本放送を開始しました。1978年にはFM放送のPCMデジタル・ステレオ回線の運用を東京-名古屋-大阪間で開始し、1980年には日本放送協会名古屋放送局と改称されました。
その後も技術の進化とともに、1983年には鍋田ラジオ放送所の運用を開始し、1984年には衛星放送を開始しました。1990年には教育テレビの音声多重放送を開始し、1991年には名古屋放送センタービルを落成しました。2003年には地上デジタル放送を開始し、2011年には地上アナログ放送を終了しました。2013年にはインターネットラジオの配信を開始し、2018年には民放ラジオポータルサイト『radiko』の実験配信を開始しました。
2019年には日本放送協会名古屋拠点放送局と改称し、2022年には再び名古屋放送局の名称に戻りました。2023年には令和改革により、部制からセンター制に再編されました。これにより、経営管理センター、コンテンツセンター、視聴者リレーションセンターに分かれ、組織の効率化を図っています。
名古屋局は、多くの地域向け番組を制作しており、総合テレビでは中日ドラゴンズ戦のプロ野球中継や大相撲七月場所の実況中継が行われています。全国向けのドラマ制作も行われていましたが、コストや効率の問題から2022年度以降は単発枠中心に切り替えられました。また、気象情報やニュース番組も多く放送されており、地域の情報提供に努めています。
NHK名古屋放送局は、その長い歴史とともに地域に根ざした放送局として、多くの視聴者に愛され続けています。

アナウンサー・気象予報士