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NHK奈良放送局
NHK奈良放送局は、奈良県を対象とする日本放送協会(NHK)の地域放送局です。総合テレビとFM放送で奈良県域向けの放送を行っており、奈良県全域をカバーする唯一のラジオ局でもあります。また、関東地方で地上波放送を行っていた放送大学のコールサインは、本来なら奈良放送局の第2放送や教育テレビに割り当てられるものでした。
この放送局の歴史は1937年9月16日にさかのぼります。当時、奈良市光明院町に社団法人日本放送協会大阪中央放送局奈良出張所として開設されました。その後、1948年に奈良出張所は奈良支局に改称され、1950年には放送法の施行に伴い社団法人日本放送協会が解散し、特殊法人としての日本放送協会が設立されました。この時、奈良支局は奈良放送局に改称されました。
1952年には奈良市登大路町の興福寺境内へ移転し、1971年には奈良市鍋屋町27番地へ移転しました。同年、FM放送でローカル放送を開始し、翌1972年には総合テレビでもローカル放送を開始しました。2005年には総合テレビのデジタル放送を開始し、2011年7月には総合テレビのアナログ放送が終了しました。さらに、2020年9月28日には奈良市三条大路一丁目1番20号へ局舎を移転しました。
最近では、2022年10月3日にNHKプラスで地域向けのテレビ番組の見逃し配信が開始されました。そして、2023年4月1日には令和改革により、部制からセンター制に見直され、コンテンツセンターと経営管理企画センターへ再編されました。
奈良放送局の送信所は、総合テレビの親局が斑鳩にあり、リモコンキーIDは「1」です。放送区域内の世帯数は約44万世帯にのぼります。FM放送も斑鳩に送信所があり、周波数は87.4MHzです。奈良放送局の総合テレビの親局は斑鳩の松尾山にあり、他の主要な放送局の送信所が生駒山にある中、独自の位置にあります。しかし、奈良テレビの親局と同所に中継局を設けているため、アンテナ設置の際には1本で済む利便性があります。
受信情報については、総合テレビとFM放送は親局が受信できない地域に中継局を設置しています。しかし、一部の地域では受信が困難であり、ケーブルテレビ(CATV)経由での視聴が必要です。奈良県内の番組表については、地元紙の奈良新聞が県域差し替えを掲載し、全国紙は大阪放送局の情報と共に「奈良別」として掲載する場合があります。Eテレは大阪放送局の親局を受信し、受信困難な地域には中継局が設置されています。
ラジオ第1放送と第2放送については、奈良県内に送信・中継施設はなく、大阪放送局が担当しています。具体的には、ラジオ第1放送は大阪放送局の送信所が堺市美原区にあり、周波数は666kHz、出力は100kWです。ラジオ第2放送は羽曳野市に送信所があり、周波数は828kHz、出力は300kWです。これにより、奈良県内でもこれらの放送が受信可能です。
奈良県外でも奈良放送局の受信が可能な地域があります。例えば、京都府京都盆地南部や大阪府東部の一部、和歌山県橋本市・伊都郡の大半、三重県伊賀市・名張市の一部などが挙げられます。しかし、奈良県外ではリモコンキーID「1」は地元府県のNHK総合テレビに設定されるため、奈良放送局を視聴する場合は「11」などの空きチャンネルに設定されます。
奈良放送局には奈良やまと路支局が橿原市にあり、情報カメラは奈良市の放送局や近鉄奈良駅、平城宮跡、天理市、十津川村、五條市などに設置されています。
奈良放送局が制作する主な番組には、「奈良県の気象情報」(平日 11:57 - 12:00、総合テレビ)、「ならナビ」(平日 18:30 - 19:00、総合テレビ)、「ならナビ845」(平日 20:45 - 21:00、総合テレビ)、「ニュース・気象情報」(平日 18:55 - 19:00、FM放送)などがあります。過去の番組には「ニュースなら610」や「奈良イブニングジョッキー」、「FMリクエストアワー」などがありました。
このように、NHK奈良放送局は長い歴史を持ち、地域に密着した放送を続けてきました。奈良県内外で多くの人々に情報を提供し続ける重要な役割を果たしています。