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NHK札幌放送局
NHK札幌放送局は、北海道札幌市中央区に位置する日本放送協会の地域放送局です。この放送局は、長年にわたり地域社会に根ざした放送サービスを提供してきました。旧放送局の所在地は札幌市中央区北1条西9丁目1-5であり、ここでの活動を通じて、多くの人々に信頼と愛される存在となっています。
しかし、50年以上も経過した旧放送会館は老朽化が進んでおり、新しい移転先を探すことが必要となりました。当初、さっぽろ創世スクエアへの移転が検討されていましたが、2012年3月にこの計画から離脱しました。その後、2013年11月にNHKと札幌市との間で、旧放送会館用地と市立札幌病院跡地を等価交換することで基本合意に至りました。この合意に基づき、新たな放送会館の整備計画が進められることとなりました。
新しい放送会館の整備計画は、いかなる事態にも対応し、安全・安心を道民に届けることを目的として、「NHK北海道のキーステーションとして相応しい機能」「将来の新サービスや業務の変化にもフレキシブルに対応」「地域文化の発展に貢献」「人と環境にやさしく"北海道らしさ"を活かす」「営業コールセンターの新設」といった6つのコンセプトを掲げました。2015年5月には、この計画がNHKの理事会および経営委員会に諮られ、正式に動き出しました。
計画によれば、新放送会館は地上6 - 7階規模の本棟と地上2 - 3階規模の別棟から成る2棟建てで、報道・制作の各セクションやテレビニューススタジオ、ラジオスタジオなどが整備されます。また、エントランスフロアにはテレビ制作スタジオと公開スタジオスペースが併設される予定です。この計画は2017年8月に着工し、2020年1月31日に竣工しました。しかし、新型コロナウイルスの影響で移転完了の時期が延期され、最終的に2021年6月1日に移転が完了し、新放送会館からの放送が開始されました。
移転後、旧放送会館は解体され、その跡地には札幌市役所の新庁舎が建設される予定です。さらに、2015年度に全国各地の報道室と通信部が「支局」に統合され、営業部門の拠点整理が行われました。これにより、道内各放送局の営業部が札幌局営業推進部に集約され、4営業センター体制に再編されました。2022年春からは北海道内7局のローカル枠の放送エリアが再編され、札幌放送局と室蘭放送局の統合が進められました。2023年4月1日には、経営管理センターとメディアセンターの2センター制に再編され、道央以外の営業センター機能が函館局、旭川局、帯広局に移管されることとなりました。
放送技術の面でもNHK札幌放送局は多くの進展を遂げています。2006年6月1日に地上デジタル放送を開始し、すべてのテレビスタジオがハイビジョン化されました。また、ニュース取材もほぼすべてがハイビジョンカメラで行われ、さっぽろテレビ塔に設置された天気カメラもハイビジョン化されました。さらに、2006年6月1日にはNHK札幌放送局と北海道内の民放テレビ5局が共同制作した記念番組『我が家に地デジがやってきた』が放送されました。
1927年に設置された日本放送協会北海道支部を前身とし、1928年に札幌放送局が開局しました。その後、1950年に特殊法人としての日本放送協会が設立され、1956年には北海道でのテレビ放送が始まりました。1964年にはFM放送がステレオ放送を開始し、1969年にはFM放送の本放送が開始されました。1971年には中央放送局制から地方本部制に改められ、北海道本部に改称されました。1980年には北海道管内担当の札幌放送局に改称され、1984年には再び札幌放送局に改称されました。
これまでの歴史の中で、札幌放送局は地域に密着した放送サービスを提供し続け、北海道の情報発信拠点として重要な役割を果たしてきました。今後も新しい放送会館からの放送を通じて、地域社会とのつながりを深めながら、さらに進化していくことが期待されています。