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NHK高松放送局
NHK高松放送局は、香川県を放送対象地域とする日本放送協会(NHK)の地域放送局として、テレビとラジオで県域放送を行っています。この放送局の特筆すべき点は、アナログテレビ放送の開局が1969年3月22日と、広域放送圏内を除く全NHK放送局の中で最も遅かったことです。
高松放送局は、総合テレビ、教育テレビ、ラジオ第1放送、ラジオ第2放送、FM放送の計5波を送出し、香川県向けのローカル放送を実施しています。テレビ放送における民放が香川県と岡山県の2県を放送エリアとしているのに対し、NHK高松は香川県のみを放送エリアとする唯一のテレビ局という特徴を持っています。
局舎は高松市錦町一丁目の旧丸亀街道沿いに位置しており、現在の放送会館は1962年に落成し、1992年にリニューアルされました。また、丸亀市と土庄町にも支局を設けています。
放送局の呼出符号(コールサイン)は、総合系がJOHP、教育系がJOHDとなっています。親局となる送信所は、テレビが高松市東部の前田山、AMラジオが高松市南部の松縄町、FMラジオが高松市西部の五色台に設置されています。特筆すべきは、FM放送に関して全国のNHK各放送局の中で唯一中継局を持たず、五色台1局で県内全域をカバーしていることです。
高松放送局の歴史は1934年にさかのぼります。当初は社団法人日本放送協会大阪中央放送局高松出張所として開設され、1944年5月17日に高松臨時放送所として放送を開始しました。その後、1945年9月7日に高松放送局として正式に開局しました。
テレビ放送は1969年3月22日に開始されましたが、それ以前は岡山放送局の放送エリアに含まれていました。この遅い開局は、香川県の地形的特徴によるものでした。特に香川県沿岸部では岡山局(金甲山)を受信する世帯が多く、アナログ放送時代には県内沿岸部各地にサテライト中継局を設けてローカル放送に対応していました。デジタル放送では、この課題に対応するため、金甲山にもNHK高松としての放送所(北讃岐中継局)を設置し、香川県沿岸部向けのローカル放送を実現しています。
2006年12月1日には地上デジタル放送を開始し、2011年7月24日にアナログ放送を終了しました。最近では、2023年4月1日に組織改革が行われ、部制からセンター制に移行し、コンテンツセンターと経営管理企画センターが新設されました。さらに、同年5月22日にはNHKプラスで地域向けのテレビ番組の見逃し配信が開始されるなど、視聴者サービスの向上に努めています。
高松放送局の主な制作番組には、平日夕方に放送される「ゆう6かがわ」や「ゆう6かがわ845」、金曜日に月1回程度放送される「さぬきドキっ!」などがあります。また、地域のスポーツ中継にも力を入れており、かつてはジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグの香川ファイブアローズ戦や、現在もJリーグのカマタマーレ讃岐戦の中継を行っています。
高松放送局は、香川県の地域特性を考慮した放送サービスを提供し続けています。特に、地形的な制約によるラジオやテレビの受信状況の課題に対して、技術的な工夫を重ねてきました。また、地域に密着した番組制作や情報提供を通じて、香川県の視聴者に寄り添う放送局としての役割を果たしています。
今後も、デジタル技術の進歩や視聴者ニーズの変化に対応しながら、高松放送局は地域に根ざした公共放送局として、質の高い情報と番組を提供し続けることが期待されています。特に、NHKプラスによる地域向け番組の見逃し配信の開始など、新しいメディア環境に適応したサービスの展開が注目されています。