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QAB 琉球朝日放送
琉球朝日放送株式会社(Ryukyu Asahi Broadcasting Corporation、略称QAB)は、沖縄県を放送対象地域とする特定地上基幹放送事業者であり、テレビジョン放送を中心に様々なメディアサービスを提供しています。QABは1972年の本土復帰を契機に沖縄県で初めて開局した民間テレビ局であり、平成新局の一つとしても知られています。また、県内で初めてUHFのテレビ局として開局したため、一部地域では視聴のために新たにUHFアンテナが必要となり、サービス開始から数年間はアンテナの設置方法を説明するミニ番組「アンテナ情報」が放送されました。
琉球放送(RBC)が資本参加しており、RBCの社屋を共有しているため、RBCから多くの社員やスタッフが出向しています。これは、RBCと沖縄タイムス、朝日新聞との友好関係を背景にした業務提携の一環であり、QABの運営においてもRBCとの深い関係が見られます。具体的には、アナウンスや報道、営業などの一部業務はQAB自身で行い、社屋や送信所、施設管理などの関連業務の多くはRBCに委託しています。この体制により、QABは事実上RBCの1局2波体制となっており、RBCテレビの第2チャンネルとしての位置付けがされています。当初、テレビ朝日単独での開局が計画されていましたが、RBCとの交渉と郵政省との調整を経て、現在の体制が確立されました。
沖縄県には日本テレビ系列局やテレビ東京系列局が存在しないため、QABは平成新局として開局し、日本テレビ系列のネット受けを行っていない一方で、テレビ東京系列の番組や全国独立放送協議会加盟局の番組は一部放送しています。また、沖縄第4局(日本テレビ系列の局)との同時開局の計画もありましたが、実現には至りませんでした。
QABの略称「QAB」は、アルファベット略語の中で「Q」を用いる例として、福岡県のTVQ九州放送(テレビ東京系列)と同様のケースとなっています。琉球朝日放送は、沖縄県全体において放送を提供するため、先島諸島へのデジタル新局開局も行っており、地域の放送ニーズに応えています。具体的には、2009年には宮古・八重山地区でのデジタル放送を開始し、2011年には大東諸島での放送もスタートしました。これにより、沖縄県全体の99.5%をカバーすることができ、ローカル放送の充実が図られました。
QABの主な受賞歴には、2002年の日本民間放送連盟賞テレビ報道番組優秀賞を受賞した「告発~外務省機密漏洩事件から30年 今語られる真実」や、2012年の「枯れ葉剤を浴びた島~ベトナムと沖縄 元米軍人の証言~」、2013年の「標的の村~国に訴えられた東村・高江の住人たち~」、2016年の「枯れ葉剤を浴びた島2~ドラム缶が語る終わらない戦争~」などがあります。これらの作品は、報道分野での優れた成果を示し、QABの高い放送品質を証明しています。また、2020年には「QAB琉球朝日放送四夜連続ドラマスペシャル パナウル王国物語」でテレビドラマ優秀賞を受賞し、ドラマ制作においても高い評価を得ました。
QABの拠点としては、本社が那覇市久茂地2丁目3-1の琉球放送会館に位置しており、東京、関西、福岡の各支社も運営しています。支社はそれぞれ東京都中央区銀座、 大阪市北区曽根崎新地、福岡市中央区天神にあります。これらの拠点を通じて、QABは全国的なネットワークを構築し、広範な視聴者層に対応しています。
1995年10月1日に開局し、沖縄県内では初めての民放テレビ局としてスタートしたQABは、テレビ朝日系列フルネット局として、豊富なプログラムを提供しています。ネット番組の大部分はテレビ朝日から移行されたもので、また、民放教育協会制作の番組については当初沖縄テレビ放送が手放さなかったため移行されていませんでしたが、QABの独自の番組編成は沖縄の地域性を反映し、視聴者に愛されています。
QABのローカル番組には、「QABニュース」や「沖縄あの店この店」、「CATCHY」、「ザ・チャレンジ!」、「17のたね」、「ものまね工場ホリのうちなぁんちゅの時間です」、「ティンクティンクのアッチャーアッチャー」、「Qごろ~ずカフェ」など、多彩な番組が含まれており、地域のニュースや情報を豊富に提供しています。終了したローカル番組には、「うちなーバラエティー ハイサイ邦彦でーびる」や「スパイス」、「Fashion Garden」、「らんちょんサミット」などがあり、放送歴を刻んできたことが伺えます。
QABは、沖縄県のメディア環境において重要な役割を果たし、地域の情報提供や文化発信に貢献している放送局として、今後もさらなる発展が期待されています。