TV
TUT チューリップテレビ
株式会社チューリップテレビ(英: Tulip-TV Inc.)は、富山県を放送対象地域とする特定地上基幹放送事業者である。通称はチューリップであり、略称としてTUTも使用されていたが、現在ではあまり一般的ではない。この名前の由来は、富山県の県花であるチューリップにちなむものである。
チューリップテレビは、TBSテレビをキー局とするJNN系列のテレビ局で、富山親局のコールサインはJOJH-DTV、リモコンキーIDは「6」、親局の物理チャンネルは22chで、いずれもTBSテレビと同じである。その設立の経緯や出資母体から、富山県の地上波テレビ局の中で唯一高岡市に本社を置いていたが、2022年に富山市にある放送センターに本社を移転した。放送・送出はこれまでも放送センターから行われていた。略称のTUTは開局時の社名「テレビユー富山」(TV-U Toyama)から来ているが、現社名の略称とも解釈されている。旧社名の「テレビユー」は、1980年代以降に開局したJNN系列の後発UHF局に統一してつけられた名称である。
ロゴマークはグラフィックデザイナーの田中一光が一般公募の中から選んだもので、富山県の県花であるチューリップを象ったデザインとなっている。このロゴは、大空へ広がる花びらをモチーフに、新鮮な情報が空へ向かって飛び立つ姿をシンボライズしている。シンボルカラーは情熱的なチューリップレッドで、未来への躍動やダイナミズムを表現している。
データ放送も実施しており、番組表サービス「Gガイド」を配信している。初代放送センターは旧インテック富山ビルの社屋を使用していたが、2021年に3階建ての新しい放送センターが竣工し、2022年10月1日から稼働を開始した。また、本社は創業時は高岡市の広小路ビルに置かれ、その後数回の移転を経て、2代目放送センター稼働と同時に富山市に一本化された。
本社・放送センターは富山県富山市奥田本町にあり、高岡支社は富山県高岡市新横町のホテルニューオータニ高岡に、新川支社は富山県魚津市の魚津商工会議所ビルに、金沢支社は石川県金沢市の金沢南町ビルディングに、東京支社は東京都港区赤坂のヒューリックJP赤坂ビルに、大阪支社は大阪府大阪市北区のアクア堂島NBFタワーにそれぞれ位置している。
主要株主は高岡市の財界トップである三協立山、富山市発祥のIT企業インテック、キー局のTBSホールディングスであるが、2022年の決算取締役会でTBSホールディングスが筆頭株主となることが承認された。また、大手マスコミ各社と地元紙各社も広く資本参加しており、こうした多様な株主構成は地方の後発局の特徴である。
1981年に「富山けんみんテレビ」を含む6社がテレビ局を申請し、その後1984年に「富山けんみんテレビ」と「富山ホームテレビ」が申請を再開。1986年には郵政省から富山地区に第3波のテレビ局の周波数が割り当てられ、62件の申請が受け付けられた。1988年にはキー局をTBSとすることが了承され、1989年に局名が「テレビユー富山」に決まり、1990年10月1日に富山県3番目の民放テレビ局として開局した。
開局当初の社名は「テレビユー富山」だったが、愛称として「チューリップテレビ」が使用され、ロゴマークも「TUT」をチューリップに見立てたデザインが用いられた。1992年に社名を「チューリップテレビ」に変更し、アメリカのKOIN-TVと姉妹局提携を結んだ。1998年には字幕放送を開始し、2000年には局キャラクターの『さきちゃん』『さいたろうくん』を発表した。2006年には地上デジタル放送を開始し、2011年にはアナログ放送を終了した。
2017年には富山市議会の議員による政務活動費の不正を調査報道で暴き、第65回菊池寛賞を受賞した。2020年には公式ウェブサイトをリニューアルし、ドキュメンタリー映画『はりぼて』を劇場公開。2021年には新放送センターが竣工し、2022年には本社を富山市に移転、新放送センターが稼働を開始した。
チューリップテレビは、地域に根ざした放送局として、地元企業や大手マスコミと連携しながら、富山県民に向けた多様な情報を提供し続けている。