TV
TVN 奈良テレビ
奈良テレビ放送株式会社(Nara Television Co., Ltd.)は、奈良県を放送対象地域とする特定地上基幹放送事業者であり、通称は奈良テレビ、略称はTVN(TV NARA)です。奈良県が筆頭株主である第3セクターであり、1973年4月に開局して以来、コミュニティ放送を除いて唯一の奈良県域の民間放送局として運営されています。開局当初から独立放送局として全国独立放送協議会に加盟し、どの系列にも属さない独自の立場を維持していますが、近畿広域圏での放送のニーズを満たすため、テレビ東京系列の番組を大量に購入して放送しています。
地上デジタル放送は2006年4月1日に開始され、リモコンキーIDは「9」となっています。この番号は他の独立局の東京都域放送メトロポリタンテレビでしか使われていないものであり、独特な識別となっています。また、地上アナログ放送時代の親局のチャンネル番号である55chも、日本で最も高い番号でありました。デジタル放送では、フルハイビジョンの1920×1080ピクセルの高画質映像が提供されており、奈良テレビの独自の魅力となっています。現在のマスコットキャラクターは、鹿をモチーフにした「たしか君」と「もしかちゃん」であり、これらのキャラクターは芳岡ひできによってデザインされました。2023年の開局50周年を記念して制定されたキャッチコピーは「#なんかええやん奈良テレビ」です。
奈良テレビは、近畿地方で最後に音声多重放送を開始した局であり、日本で最後に公式ウェブサイトを開設し、ワンセグ放送を民間放送で最後に開始したテレビ局でもあります。これにより、過去には『週刊ダイヤモンド』(2007年6月2日号)で「民放127局経営力ランキング」において127位(最下位)と評価されたこともありましたが、現在は通販番組(テレビショッピング)の収入等で黒字基調で推移しており、独立放送局の中でも比較的安定した経営を行っています。2024年4月8日からは一部の自社制作番組を在京民放キー局5社が共同運営する動画配信サービス「TVer」に供給を開始し、視聴者の利便性をさらに高めています。
事業所は奈良県奈良市法蓮佐保山3丁目に本社を構え、大和高田市や東京都中央区、大阪府大阪市北区にも支社を持っています。これらの事業所は、地域密着型の放送局としての役割を果たすために重要な拠点となっています。
奈良テレビの沿革は、1972年2月7日に設立され、1973年4月1日に開局しました。開局当初の略称は「UTN」(UHF TV NARAの略)であり、本社は奈良市法蓮町にありました。開局時には栃原と奈良西のみが中継局として設置されました。1984年11月1日には、日本で初めて日中の放送休止時間帯を利用した『UTN文字ニュース』(テレビ文字ニュース)を放送しました。1989年3月1日には略称を「TVN」に変更し、現在も使用中のCIを導入しました。1997年には音声多重放送を開始し、2004年10月22日には現在の本社・演奏所として使用されている新社屋が竣工しました。
2006年4月1日には地上デジタル放送を開始し、リモコンキーIDは「9」となりました。2009年12月1日にはワンセグ2サービス「ならセグ」を実施開始し、2011年2月には地上デジタル放送で一部番組を除きウォーターマーク表示を開始しました。同年7月24日には地上アナログ放送が終了し、地上デジタル放送へ完全移行しました。2023年4月1日には開局50周年を迎え、2024年3月25日には主調整室(マスター)設備を更新し、マルチ編成が可能となりました。
奈良テレビの資本構成は、奈良県が筆頭株主であり、近鉄グループが近畿日本鉄道、奈良交通、近畿日本ツーリストの3社で合計15%弱を出資しています。また、南都銀行が関連会社(南都商事)名義で約14%弱を出資しています。奈良県内におけるテレビ東京系列局のような位置付けにあり、近年の決算は黒字基調で推移していることから、安定した経営を行っています。
奈良テレビは、開局当初から自社制作の番組に力を入れており、特に歴史・教養番組に注力していました。設立目的の一つには学校などに向けた教育放送が含まれており、小学3 – 6年生の算数や4年生の社会(奈良県について)の教育番組を自社制作していました。これらの教育放送は、毎週月・水曜の午前中と金曜の午後に放送されており、教育的な役割も果たしていました。
奈良テレビの開局初期には、年末年始の放送時間が極端に短いこともありましたが、近年では視聴者のニーズに応えるために様々な取り組みを行っており、安定した経営を続けています。