TYS テレビ山口

開局当初から宇部興産（現・UBE）が深く関与しており、初代社長の中安閑一を含め、後に宇部興産の会長も務めた人物が関わっていました。しかし、宇部興産の経営悪化により、大量の株を売却せざるを得なくなり、その大半を山口トヨタ自動車が引き受けました。現社長の齋藤宗房は山口トヨタ自動車の社長も務めており、現在でも宇部興産→UBEは山口トヨタ自動車、キー局のTBSホールディングス (TBSHD) と並ぶ大株主です。また、毎日新聞社も大株主の一つであり、山口トヨタ・宇部興産・TBSHD・毎日新聞社の4社で過半数の株式を保有しています。
tysの特徴の一つとして、無給電中継装置（反射板）を用いる珍しい送信方法を採用している点が挙げられます。本社の位置を決める際、湯田温泉付近も候補地でしたが、市中心部から南に外れた大内御堀地区に決定しました。しかし、tys本社から送信所のある大平山（防府市）に電波を送る際に問題が発生しました。通常の高さだと稜線などの影響を受けやすく、画質が乱れることがありました。そのため、技術担当者は大平山と反対方向の高い山「姫山」に反射板を設置し、そこに電波を送り、反射させて大平山送信所に送る方法を採用しました。
tysはかつて産経新聞も株式を保有し、フジネットワーク（FNS）に加盟していましたが、1987年（昭和62年）まででした。また、読売新聞大阪本社とも資本関係がありました。子会社としては、映像制作等を手がける株式会社tysビジョンがあり、1981年（昭和56年）に設立されました。さらに、山口県央部をエリアとするケーブルテレビ局の山口ケーブルビジョン (C-able) とは同じ山口トヨタ自動車傘下であり、番組の共同制作を行ったこともあります。
1994年（平成6年）には「山口県ふるさとCM大賞」を開始し、全国各地で行われるようになった「ふるさとCM大賞」の先駆けとなりました。創業50周年記念事業として本社社屋の全面改築を行い、2019年（平成31年）3月に完工式を行いました。新社屋は旧社屋隣に建設され、延床面積4,200平方メートル、鉄骨造り3階建の建物で、工事は竹中工務店が担当しました。
本社は山口県山口市大内千坊6丁目7番1号に位置し、その他の支社として周南支社、下関支社、東京支社、大阪支社、中四国支社、九州支社があります。
テレビ山口の歴史は1969年（昭和44年）に始まりました。4月1日に会社設立され、当初は「山口中央テレビ（YCT）」とする予定でしたが、9月2日に「テレビ山口（TYS）」に変更されました。同年12月25日にサービス放送を開始し、1970年（昭和45年）4月1日に正式に開局しました。当初はJNN（TBSテレビ系）、FNS（フジテレビ系）、NETテレビ（現：テレビ朝日）系の3局クロスネットでありましたが、1978年（昭和53年）10月1日にテレビ朝日系列番組を山口放送と交換し、JNN/FNSの2局クロスネットに移行しました。
1987年（昭和62年）9月30日にはFNSを脱退し、JNN（TBSテレビ系列）のフルネット局となりました。1989年（平成元年）12月21日には音声多重放送を開始し、1992年（平成4年）にはテレビ山口二十年史を発行しました。1994年（平成6年）には「山口県ふるさとCM大賞」を初開催し、2000年（平成12年）3月31日にはFNSの同時ネット放送を終了しました。
2005年（平成17年）にはCI導入によりロゴマークを「TYS」から「tys」に変更し、コーポレートカラーも黄と黒に変更されました。2006年（平成18年）には地上デジタル試験放送を開始し、同年10月1日に地上デジタル放送を開始しました。2020年（令和2年）には新社屋が竣工し、2023年（令和5年）には31年ぶりとなるストライキが実施されました。
テレビ山口は、開局当初から「ネットワークはオープン（クロスネット）とする」としており、JNN（TBSテレビ）、FNN（フジテレビ）、ANN（テレビ朝日）の番組を組み合わせて放送していました。UHFコンバータとUHF受信アンテナの普及活動も行い、「きれいな画面、たのしい番組」をキャッチフレーズとしていました。1975年（昭和50年）には腸捻転解消により関西地区のJNNの準キー局が朝日放送から毎日放送に変更され、一部の番組を山口放送と交換しました。
このように、テレビ山口株式会社（tys）は、その創業から現在に至るまで、地域に根ざした放送局として多くの視聴者に愛され続けており、常に進化を続けています。