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UX 新潟テレビ21
株式会社新潟テレビ二十一(にいがたテレビにじゅういち、The Niigata Television Network 21, Inc.)は、新潟県全域を放送対象地域とする特定地上基幹放送事業者であり、テレビジョン放送事業を行っています。略称は、開局から2006年(平成18年)7月31日まではNT21(エヌティーにじゅういち)でしたが、同年8月1日からCI導入に伴いコールサイン「JOUX-DTV」に因んでUX(ユーエックス)に変更されました。現在、一部ではUXTVまたはuxtvという表記も使用されており、ドメイン名も「uxtv.jp」となっています。ANN系列のフルネット局であり、リモコンキーIDはキー局のテレビ朝日と同じ「5」です。
新潟テレビ二十一は、新潟県内で4番目の民間テレビ放送局として、1983年(昭和58年)10月1日に開局しました。県内の民放局では最後発であり、テレビ朝日系列のフルネット局としては、前年の1982年(昭和57年)10月1日に開局した鹿児島放送(KKB)に続いて12局目で、昭和時代では最後の開局となりました。本社は柳都大橋の西詰めに位置し、かつて佐渡汽船新潟港ターミナルがあった場所にあります。開局準備事務所は大正海上火災保険ビルに置かれていました。開局当初の社屋は3階建てでしたが、その後5階建ての新館が増築されました。また、県内のテレビ局で唯一、新潟駅万代口を真正面から情報カメラで撮影できる場所に位置しており、カメラからは万代口の屋上に掛かる青い「新潟駅」のサインを見ることができます。2004年(平成16年)10月23日に発生した新潟県中越地震の際には、新潟駅を映しながら揺れるカメラの映像が全国ネットで伝えられました。
社名(局名)は、当初「新潟テレビ」という案もありましたが、先発局の「テレビ新潟(正式名称は「テレビ新潟放送網」、略称・TNN。1998年にTeNYに改称)」と混同される恐れを防ぐために「21」が付けられました。社名の「21」は当時のアナログ放送のチャンネル番号21chに由来しており、21世紀に向けて飛躍するという狙いも込められています。開局当初の略称は「Niigata Television Network 21」の頭文字から取った「NT21」で、開局時のキャッチフレーズは「はたちになったら21」でした。同じ頃、「はたちを過ぎたら21」という酷似したキャッチコピーを用い、ラベック姉妹を起用したサントリーのウイスキー「サントリー21」のCMが全国的に放送されていましたが、NT21のキャッチフレーズのほうが早かったとされています。
開局にあたっては、イメージソング「いとしのキャサリン」(作詞:秋元康、作曲:松尾一彦、歌:CoCo)が制作されました。この曲を歌っていたCoCoは男性のボーカルグループで、試験放送ではモノスコープやカラーバーなどテストパターンの映像のBGMとして「いとしのキャサリン」がエンドレスで演奏されていました。開局前には新潟市の古町や万代シテイなど県内の繁華街で開局をPRするキャンペーンが実施され、ノベルティグッズのプレゼントなどが行われました。10月1日の本放送開始後には、「いとしのキャサリン」を収録したカセットテープの視聴者プレゼントも行われました。
通常、地方局の開局にあたっては親会社であるキー局(この場合はテレビ朝日)や新聞社(この場合は朝日新聞社)が主体となりますが、NT21の開局にあたっては地元の政財界関係者もかなり注力しました。これはテレビ朝日の設立母体の一つである東映の創業者・大川博が新潟県西蒲原郡中之口村(現・新潟市西蒲区)出身であったこと、新潟県が民放テレビの4局化を達成すれば、本州日本海側の県では初のケースとなることが背景にあります。NT21の初代社長には、当時新潟商工会議所の会頭を務めていた新潟臨港海陸運送(現・リンコーコーポレーション)社長の大久保政賢が就任しました。大久保に社長就任を勧めたのは田中角栄らであるという証言もあります。しかしながら、地方都市に4局は過当状態であり、開局時から今日まで経営成績の面では万年最下位から抜け出せずにいます。
UXは2001年(平成13年)4月より、環境キャンペーン「Team ECO ~自然派宣言」を実施しており、植物の葉の形で「eco」の文字を表した「Team ECO」のロゴを放送・広告などで幅広く使用しています。「Team ECO」は環境保護・改善を訴える啓蒙活動を中心としたもので、県内の行楽地・景勝地でゴミ拾いなどを行う視聴者参加型イベント「Team ECO Work!」、佐渡島でトキが野生復帰するための環境整備をサポートする「ときプロジェクト」など、県内各所で活動を行っています。2004年(平成16年)11月22日には県内の放送局で初めて環境マネジメントシステム「ISO14001」の認証を取得した他、本社正面ロータリー内には、太陽電池パネルを備えた風力発電機(最大出力1.56kW)を設置し、社内で使用する一部の電力を賄っています。
2006年(平成18年)8月1日、これまでの略称「NT21」から、CI導入に伴ってコールサインに因む「UX」に変更しました。これは同年10月に同局で地上デジタル放送が開始され、その後2011年(平成23年)7月以降、地上デジタル放送に一本化され、アナログ時代の親局である21chは最終的に淘汰されるための措置です。地上デジタルの場合、UXに対して物理的に割り当てられたチャンネルが23ch、リモコンキーIDが「5」であり、略称と送信環境との間に整合性がなくなることが、略称変更の大きな要因となりました。また、「UX」にはコールサインを表す他に、それぞれのアルファベットにも意味を持たせており、「U」は「You=あなた・視聴者」、「X」は「未知・無限・進化・交流・発信・可能性・双方向」などを表しています。NT21がUXに愛称を変更したため、2006年8月以降親局のチャンネル番号を愛称に使用している局は存在しなくなりました。また、デジタル放送のリモコンキーID番号を正式な略称の一部として採用している局もありません。
2010年(平成22年)4月3日、新潟市中央区の「LEXN」にサテライトスタジオ「LEXN STUDIO(UXレクスタ)」をオープンさせました。そのこけら落としとして、同日13時55分から1時間、「春のUX全部見せます~レクスタ誕生!新番組も始まるよSP~」を生放送した際に、新しい局のキャラクターとして「ゆぅちゃん・ゴーちゃん」が初登場しました。
新潟テレビ二十一の事業所は、本社が新潟県新潟市中央区下大川前通六ノ町2230番19号にあり、東京支社が東京都中央区築地6丁目16番1号 築地616ビル7階、大阪支社が大阪府大阪市北区堂島2丁目1番31号 京阪堂島ビル4階、長岡支社が新潟県長岡市東坂之上2丁目1番1号 ファース長岡ビル5階、上越支局が新潟県上越市木田2丁目1番1号 上越セントラルビル3階に位置しています。
地上デジタル放送は、総務省の計画に基づき、テレビ新潟と同じ2006年(平成18年)10月1日に開始しました。同局がサイマル試験放送を始めた時には、「Team Eco」を初めとする同社のキャンペーン、イベント、催物の宣伝のほとんどがハイビジョン化されていました。翌年の夏以降、ハイビジョン制作においては、同局はテレビ朝日系列の地方局では積極的な活動を行う局の一つとなりました。また、データ放送にも力を入れており、新潟県内の民放局では一時期、データ放送印刷サービスを常時行ったことがありました(テレビ新潟、新潟放送は一部の番組放送中のみ実施経験、NHK新潟放送局・NST新潟総合テレビでは全く行っていません)。また、2010年(平成22年)2月9日から三条市で行われている全国初の公共交通社会実験に協力しています。さらに、2012年(平成24年)2月6日には、平日のレギュラー報道番組「全力LIVE」の新コーナー「新潟のみんなでソラをライブ」にて、県内ローカルテレビ局初のインターネット回線経由を使ったデータ放送双方向機能の使用を開始しました。
新潟テレビ二十一のロゴは、2006年(平成18年)8月1日から現在まで、イタリック体の「UX」を図案化した赤いロゴを使用しています。開局当初から略称変更まで(1983年(昭和58年)10月1日 - 2006年(平成18年)7月31日)は、赤色で大きく「21」と書かれた左下に黄色い「NT」の文字を配したものでした。しかし、デザインが煩雑であることから、速報テロップ等にはブロック体で図案化した「NT21」というロゴも別途使用していました。後年は番組やイベントによって「NT21」のロゴデザインはまちまちになっており、使用するロゴは一定していませんでした。一方、「新潟テレビ21」の社名ロゴのデザインは変更されず、ほぼ一定のデザインのものを使用していましたが、UXに改称後は「新潟テレビ21」のロゴが斜体の文字に変わり、デザインも直線的なものから曲線的なものへと変わりました。送信所・中継局ではUXロゴが書かれている一方、高田デジタル中継局・アナログ中継局、本社社屋と新館の間に新館建設以前から現存する駐車場の案内看板ではNT21ロゴが残存しています。
新潟テレビ二十一は、開局以来、新潟県内で多岐にわたる番組を提供し、地域に根ざした放送局としての役割を果たしています。