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FBC 福井放送
福井放送株式会社(Fukui Broadcasting Corporation、略称FBC)は、福井県を放送対象地域とする中波放送(AM放送)とテレビジョン放送を兼営する特定地上基幹放送事業者です。福井市大和田に本社を構え、嶺南、東京、大阪、名古屋、金沢に支社を設置しています。
FBCの資本構成では、筆頭株主が加藤ビルデイングであり、発行済株式の36%を保有しています。その他、日本テレビ放送網が9.2%、朝日新聞社が8.9%の株式を保有しています。福井新聞とは一般財団法人福井カルチャーセンターを共同運営するなど実務上の関係は深いものの、資本面では上位株主には名を連ねていません。これは、福井放送が福井県内の有志によって設立された経緯や、経営危機に際して中日新聞と中部日本放送(CBC)との契約を破棄し、福井新聞との協力体制を築いた歴史的背景によるものです。
福井放送の歴史は、1951年4月21日にラジオの予備免許が交付されたことに始まります。1952年3月6日に設立され、同年7月20日に「ラジオ福井」の愛称で全国15番目のラジオ放送を開始しました。1953年にはラジオ送信所の出力を500Wに増力し、さらに1kWへの増力を実現しました。1957年には小浜ラジオ放送局が開局し、1959年には福井ラジオ送信所の出力を3kWに増力しました。
1960年には地上アナログテレビジョン放送の本免許が交付され、同年6月1日に本放送を開始しました。1962年にはカラーテレビ放送を開始し、1966年には日本テレビネットワーク(NNN)に加盟しました。1981年には本社を板垣に移転し、テレビ音声多重放送を開始しました。1989年にはANN(オールニッポン・ニュースネットワーク)に正式加盟し、NNN主体のANNとのクロスネット局となりました。
1991年には中国・浙江省の浙江電視台と友好交流関係を締結し、1992年には敦賀ラジオ中継局を開設しました。1998年にはラジオ送信所を坂井郡丸岡町に移転し、2001年には大和田のラジオ送信所跡地に新築された本社新社屋が竣工しました。2006年には地上デジタルテレビジョン放送を開始し、2011年には地上アナログテレビジョン放送を終了しました。
FBCは2012年1月30日からradikoのサイマル配信を開始し、2014年には新CIを導入してロゴを現行のものに変更しました。2017年にはFM補完中継局が開局し、FM補完放送(ワイドFM)の本放送を開始しました。2020年には大飯郡高浜町でeo光テレビを通じたFM補完放送の再放送を開始し、2021年には「NNS標準営放システム」サービスの提供を開始しました。
FBCの歴史は、福井県内の放送文化の発展に大きく寄与してきました。ラジオ放送の開始からテレビ放送の導入、デジタル放送への移行まで、常に技術革新を追求し続けています。資本構成や経営体制の変遷を経て、現在も地域に根ざした放送局として、視聴者に質の高い情報とエンターテインメントを提供し続けています。
福井放送は、地域社会との強い結びつきを維持しながら、視聴者のニーズに応える放送を続けています。これからも、福井県の放送文化の中心的存在として、その役割を果たしていくことが期待されています。