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NHK仙台放送局
NHK仙台放送局は、宮城県を放送対象地域とする日本放送協会(NHK)の地域放送局であり、東北6県を管轄するNHK東北ブロックの拠点局としての重要な役割を担っています。1928年6月16日に社団法人日本放送協会仙台放送局として開局して以来、長い歴史を持ち、東北地方の放送の中心として機能してきました。
2023年4月1日からは、組織構造が大きく変更され、従来の部制度からセンター制に移行しました。この改革により、経営管理センター、コンテンツセンター、視聴者リレーションセンターの3つのセンターが設置されました。経営管理センターは東北地方の各放送局の統括管理を担当し、コンテンツセンターは旧放送部門を含む番組制作や技術などの現業部門を担当、視聴者リレーションセンターは営業や広報など対視聴者部門を担当しています。この組織改革により、より効率的で柔軟な運営体制が整えられました。
仙台放送局の歴史は、1927年の東北支部設置にさかのぼります。1928年の開局以来、全国中継放送の開始や中継線の開通など、放送技術の発展とともに成長してきました。1956年にはテレビ放送を開始し、1964年にはカラーテレビ放送も始まりました。また、1943年には仙台放送合唱団が、1944年には仙台放送管弦楽団が発足するなど、文化的な活動も積極的に行ってきました。
2005年12月1日には地上デジタル放送を開始し、マスコットキャラクター「わらDE」を採用しました。地上デジタルテレビ放送における宮城県内向けデータ放送のタイトルは「デジまさむね」と名付けられ、地域に根ざした放送局としての姿勢を示しています。
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、NHK仙台放送局にとって大きな転換点となりました。局舎の一部に被害が出たものの、津波の直接的な被害は免れました。停電の中、非常電源を使って緊急報道を続け、被災地取材の拠点としての役割を果たしました。この経験を踏まえ、災害報道体制のさらなる強化が図られています。
震災後、老朽化していた局舎の移転計画が加速し、2018年2月4日に新しい放送会館への移転が完了しました。新局舎は地上7階・地下1階、延べ床面積2万3620平方メートルの規模を持ち、最新の放送設備を備えています。総工費約117億円をかけて建設された新会館には、公開スタジオや震災を映像で学べるスペースなども設けられ、地域との結びつきを強化する場としても機能しています。
NHK仙台放送局は、技術革新にも積極的に取り組んでいます。2013年5月27日には「NHKネットラジオ らじる★らじる・仙台」の全国配信を開始し、2017年10月2日にはradikoでの実験配信も始めました。2021年3月3日からはNHKプラスで地域向けのテレビ番組の見逃し配信を開始するなど、視聴者のニーズに応える新しいサービスを次々と展開しています。
また、国際的な取り組みも行っており、2017年5月22日には台湾・中国電視公司と相互に制作した映像を交換し、番組内で放送する協定を結びました。このような国際交流は、地域の情報を世界に発信するとともに、グローバルな視点を地域に持ち込む重要な役割を果たしています。
NHK仙台放送局は、東北地方の放送の中心として、地域に密着した情報提供と文化振興に努めています。日々のニュース報道はもちろん、地域の魅力を発信する番組制作、災害時の迅速かつ正確な情報提供など、多岐にわたる役割を果たしています。新しい放送会館を拠点に、最新の技術を活用しながら、これからも東北地方の情報発信基地として、そして地域の文化・教育の中心として、重要な役割を担い続けることが期待されています。
今後も、変化する社会のニーズに応じて柔軟に対応し、地域に根ざした放送局としての使命を果たしていくことでしょう。デジタル技術の進化や視聴形態の多様化に対応しつつ、地域の声を丁寧に拾い上げ、東北の魅力を全国、そして世界に向けて発信し続けることが、NHK仙台放送局の果たすべき役割であると言えるでしょう。