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NHK静岡放送局
NHK静岡放送局は、静岡県静岡市駿河区に位置する日本放送協会(NHK)の地域放送局です。テレビとラジオを通じて県域放送を行っており、地域に密着した情報を提供しています。マスコットキャラクターとして「しずくん」を採用し、親しみやすい放送局を目指しています。
組織的には中部(東海・北陸)に属し、基本的に名古屋放送局の管轄下にありますが、静岡県の地理的特性から、独自の立ち位置を保っています。関東と中京の間に位置する静岡県の特性を活かし、独自番組の制作や東京発の番組のネットワーク放送など、柔軟な番組編成を行っています。ただし、関東甲信越の番組を静岡でネットワーク放送する場合、東京から直接受信するのではなく、一度名古屋を経由するという特殊な方法を取っています。
NHK静岡放送局の歴史は1931年にさかのぼります。1月12日に静岡放送局に本免許が交付され、3月21日に社団法人日本放送協会静岡放送局として開局しました。その後、1950年に放送法施行に伴い特殊法人としての日本放送協会が設立され、権利義務を継承しました。1957年にはアナログ総合テレビの放送を開始し、1962年にはアナログ教育テレビ放送も始まりました。
2005年には地上デジタル放送を開始し、2011年7月24日にはアナログ放送を終了しました。2018年3月12日には、放送会館を静岡市葵区西草深町から現在の駿河区八幡一丁目に移転しました。新しい放送会館は、災害時の対応能力強化や地域住民との親和性向上を目指して設計されています。
NHK静岡放送局の主な制作番組には、「おはよう静岡」「ひるしず」「NHKニュース たっぷり静岡」などがあります。「おはよう静岡」は平日の朝7:45から8:00まで放送され、地域の朝の情報を提供しています。「ひるしず」は平日の11:50から11:54まで放送される短い情報番組で、地域のニュースや話題を伝えています。「NHKニュース たっぷり静岡」は平日の夕方18:10から18:59まで放送される地域密着型のニュース番組で、静岡県の様々な情報を詳しく伝えています。
また、「たっぷり静岡+」は不定期で金曜日の19:30から19:55に放送される特集番組で、地域の課題や魅力を深掘りして紹介しています。これらの番組は、NHKプラスの「ご当地プラス」で見逃し配信も行われており、視聴者がより柔軟に地域情報にアクセスできるようになっています。
NHK静岡放送局は、災害報道にも力を入れています。東海地震などの大規模災害に備え、他の地方局よりも先行して放送機材の整備を進めています。また、ハイビジョン対応の取材ヘリコプターを静岡ヘリポートに常駐させるなど、緊急時の報道体制も整えています。
2019年には、ラグビーワールドカップ2019の開催に合わせて、地元の民間放送局である静岡第一テレビとの合同企画「SCRUM PROJECT」を実施しました。このような取り組みは、地域の放送局同士の連携を深め、より充実した情報提供を可能にしています。
2020年2月には、NHKラジオ第1放送をFM波で送信する富士宮ラジオ放送所が開局し、ラジオ放送の受信環境改善にも取り組んでいます。2021年には主調整室の機材更新により、静岡放送局送出番組でもウォーターマーク「NHK G」「NHK E」が表示されるようになり、視聴者により分かりやすい放送を提供しています。
2023年4月からは、NHKの組織改革により、従来の部制からセンター制に移行し、コンテンツセンターと経営管理企画センターに再編されました。同年5月29日からは、NHKプラスで地域向けのテレビ番組の見逃し配信が開始され、視聴者がより便利に地域の情報にアクセスできるようになりました。
このように、NHK静岡放送局は長い歴史と伝統を持ちながらも、常に新しい技術や取り組みを積極的に導入し、地域に根ざした放送局として進化を続けています。地域の特性を活かした番組制作や災害報道体制の強化、他局との連携など、多角的なアプローチで視聴者のニーズに応えています。今後も、静岡県の魅力を発信し、地域の情報拠点としての役割を果たしていくことが期待されています。