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TeNY テレビ新潟
テレビ新潟放送網(TeNY)は、新潟県全域を対象とする特定地上基幹放送事業者として、1981年4月1日に開局した日本テレビ系列のフルネット局です。新潟県内では3番目の民間テレビ局として誕生し、「株式会社テレビ新潟放送網」という正式名称を持ちます。日本の地上波テレビ局の中で、キー局である日本テレビ放送網と共に、社名に「放送網」という文字を含む珍しい存在です。
TeNYの設立背景には、1973年に新潟県に割り当てられた3局目の民放テレビ局開局枠をめぐる混乱がありました。多数の業者による申請が一本化できず、オイルショックの影響も相まって計画が一時白紙となりました。しかし、1980年8月頃の会合で新たな割り当てが決まり、日本テレビ系の第3局として29chが割り当てられ、TeNYの設立へとつながりました。
開局時、TeNYは「TNN」(Television Niigata Network)という略称を使用し、特徴的なロゴデザインを採用しました。本社は新潟市新光町の信濃川右岸に建設され、当時県内最大の100坪のテレビスタジオと「TNNタワー」と呼ばれる展望塔型の送信塔を備えていました。1980年9月19日に予備免許を取得し、翌年4月の開局を目指して急ピッチで準備が進められました。
TeNYは開局当初から積極的に自社番組の制作に取り組み、地域に密着した情報発信を重視しました。「Yes My TNN」というキャッチフレーズのもと、様々な自社制作番組やイベントを展開し、県民に親しまれる存在を目指しました。1998年1月1日には、CI導入に伴いマークや社名ロゴを一新し、略称を現在の「TeNY」に変更しました。新しいイメージソング「手と手と手とTeNY」も制作され、ブランドイメージの刷新を図りました。
TeNYの番組制作への取り組みは、地域密着型の情報番組やニュース番組の充実につながりました。土曜正午のトークバラエティ「嫁さんきなせや」や平日夕方のローカルニュース「にいがたNOW」など、地域に根ざした番組作りに力を入れました。1995年10月には平日帯のローカル情報番組「夕方ワイド新潟一番」を開始し、県内民放各局の夕方生ワイド番組の先駆けとなりました。
国際的な取り組みとしては、日本テレビや札幌テレビなどと共同でロシア極東地方の主要都市に支局を開設し、「ヴォストーク」という番組を通じてこれらの地域のニュースや経済情報を伝えるなど、日本海側の地域特性を活かした報道活動も展開しています。
TeNYは地域に根ざした放送局として、様々な工夫を凝らしています。例えば、日本テレビが関わる映画のプロモーションでは、主役俳優らに「手と手とテニィ」というキャッチフレーズを叫んでもらうステーションブレイクを制作し、地域性とエンターテインメント性を融合させています。2005年には、映画「宇宙戦争」の監督スティーヴン・スピルバーグもこのステーションブレイクに登場し、話題を呼びました。
一方で、TeNYには開局以来ほぼ変わらない内容で放送を続けているCMも存在します。例えば、発起人企業の一つである丸新新津グループ(現・丸新グループ)のCMは、松山千春の「空 ~翼を広げて」をBGMに飯豊連峰を登山する社員の姿を描いたもので、開局前に制作されたにもかかわらず、現在も木曜20時54分の「TeNYニュース」内などで放送されています。このような長年変わらない要素が、地域の人々に親しみや安定感を与えているとも言えるでしょう。
TeNYの技術面での特徴としては、新潟駅に固定設置された中継アンテナがあります。これは、駅前からの定期的な中継を効率的に行うために、JRの協力を得て設置されたものです。「夕方ワイド新潟一番」の駅前中継や各種報道で活用されており、迅速な情報発信を可能にしています。
近年の成果としては、2023年の年間視聴率で14年連続三冠王を達成したことが挙げられます。これは、地域に密着した番組作りと情報発信が視聴者に支持されている証と言えるでしょう。
TeNYは、開局から40年以上にわたり、新潟県の放送文化の発展に貢献してきました。地域に根ざした番組制作、積極的な情報発信、そして時代に合わせたブランディングの刷新など、様々な取り組みを通じて、視聴者との強い絆を築いています。今後も、地域のニーズに応える放送局として、さらなる発展が期待されています。