TV
MBC 南日本放送
株式会社南日本放送(Minaminihon Broadcasting Co., Ltd.、略称MBC)は、鹿児島県を放送対象地域とする中波放送(AM放送)事業とテレビジョン放送事業を行う特定地上基幹放送事業者です。ラジオはJRN系列とNRN系列のクロスネット、テレビはJNN系列の単独ネット局として運営されています。本社は鹿児島市高麗町5-25に位置し、JR鹿児島中央駅から徒歩15分の距離にあります。
MBCの支社は東京、大阪、福岡、鹿屋、薩摩川内、霧島に設置されており、支局は種子島、屋久島、奄美にあります。東京支社は東京都港区赤坂5-4-15のARAプレイス赤坂9階、大阪支社は大阪市北区中之島2-3-18の中之島フェスティバルタワー16階、福岡支社は福岡市中央区天神3-4-5のピエトロビル8階に位置しています。その他の支社・支局も鹿児島県内に広く展開しています。
MBCは1953年10月10日に鹿児島県初の民間放送局として開局し、1959年4月にアナログテレビ放送を開始しました。2006年12月には地上デジタル放送を開始し、現在の社屋(演奏所、MBC放送会館)は鹿児島市高麗町の甲突川右岸に位置しています。この社屋は1993年の8.6水害の際に水没の危機に瀕しましたが、現在も使用されています。
MBCの主な自社制作番組には、ラジオ番組『城山スズメ』やテレビ番組『MBCニューズナウ』、『どーんと鹿児島』などがあります。『城山スズメ』は1953年の開局から続く長寿番組であり、『MBCニューズナウ』は1976年10月から続く平日18時台の報道番組です。『どーんと鹿児島』は1984年10月から続く情報番組です。
南日本新聞社が同率5位の大株主であり、1953年の開局時からアナログテレビ放送の開始までは南日本新聞社の社屋を間借りして演奏所が設置されていました。南日本新聞社との関わりはテレビにおいて他3局と同等であり、毎日新聞社ともテレビ開局時から関係を持ち、テレビ東京ホールディングスの関連新聞社である日本経済新聞社とも関わりがあります。これにより、日経スペシャルシリーズのネットを持続し、ローカル経済テレビ番組の製作も行っていました。
MBCは、鹿児島放送(KKB)との関係も深く、同局の開局時にはMBCの社員が出向していました。また、地上デジタル放送の親局をNHK鹿児島放送局とともに使用するなどの協力関係もあります。ラジオでは、かつてFM東京→TOKYO FM製作番組をネットしていましたが、1992年のμFM開局までにネットしていた番組はなくなりました。
MBCの放送局全体のマスコットキャラクターは設定されていませんが、過去には1983年に公募で制定されたラジオカー『ポニー』の擬人化キャラクター「ポニー君」や、2008年の「ウミガメプロジェクト」におけるウミガメの期間限定キャラクターが設定されていました。現在はバーチャルタレント「みなみ」がMBCパーソナリティとして採用されており、同番組『てゲてゲーミング』のナレーションを担当しています。
MBCは2023年10月10日に開局70周年を迎えます。開局までの経緯としては、第二次世界大戦後、日本でも民間放送局が相次いで開局しましたが、鹿児島県の場合は南日本新聞社社長の畠中季隆が「3kWで鹿児島県全域と宮崎・熊本県の南部、南西諸島全域をカバーするラジオ局」の設立構想を打ち出したことが始まりです。当初は鹿児島県知事や鹿児島銀行の頭取が否定的でしたが、1952年12月12日に南日本新聞紙面上で設立構想を発表してからは、鹿児島県全体で協力体制が整いました。
1953年1月31日に発起人総会が開かれ、送信所が鹿児島市吉野町に、演奏所は南日本新聞本社3階に設置されることが報告されました。同年2月11日に郵政省にラジオ局の開設申請を提出し、6月13日にラジオ南日本の創立総会が開催されました。この時点で略称がMBCと決定され、英称は現在と同じ"Minaminihon Broadcasting Co.,Ltd."でした。
送信所の出力は当時の主流である500Wまたは1kWではなく、異例の3kWでの開局構想が認められました。郵政省は高出力と混信問題を懸念し、「アンテナ2基による指向性アンテナ」を条件に3kWでの送信を認めました。MBCは宮崎にも中継局を設置する予定でしたが、ラジオ宮崎(現在の宮崎放送)が設立されたことで阻止されました。
1953年10月10日に開局し、現在も続く番組『城山スズメ』、『希望のリボン』、『歌のない歌謡曲』の放送もこの日から開始されました。ニュースは開局当時から南日本新聞社と共同通信社から提供を受けていました。10月20日にはMBCタレントの源流となるMBC放送劇団が創立され、11月3日にはMBC開局祭が鹿児島市中央公民館で開催され、社歌となる「ラジオ南日本の歌」が発表されました。この歌は2012年末まで一日のテレビ放送開始・終了時にインストゥルメンタルとして流されていましたが、2018年からリメイクされて再び流されるようになっています。
MBCは、地域に密着した放送局として、鹿児島県内の情報発信や地域の安全・安心を支える重要な役割を果たしています。今後も、デジタル技術の進化や視聴者のニーズの変化に対応しながら、鹿児島県の情報発信の中心として、地域に根ざした放送局としての使命を果たし続けることが期待されています。