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NHK岡山放送局
NHK岡山放送局は、岡山県を放送対象地域とする日本放送協会(NHK)の地域放送局です。岡山県のみをエリアとする唯一のテレビ局であり、岡山・香川両県の民放テレビ局が両県を併せた地域を放送対象地域としている中で、独自の存在感を放っています。岡山市北区駅元町にあるリットシティビルの南棟1~3階に位置し、その施設には車庫や時間外出入口、エントランス、ロビー、テレビスタジオ、オフィス、ラジオスタジオなどが含まれています。特に2階のロビー部分は「ハートプラザ」として一般公開されており、スタジオが使用されていない時にはその内部が見られるようになっています。このロビーはテレビスタジオの一部としても使用され、「ひかりの広場」と呼ばれる共有スペースはオープンスタジオとして生放送や公開イベントが行われる場所となっています。
NHK岡山放送局の歴史は1930年11月1日に始まり、社団法人日本放送協会大阪支部岡山支所として開設されました。1931年2月1日には岡山放送局として正式に開局し、ラジオ第1放送を開始しました。これは全国で10番目の開局でした。1934年には室戸台風の影響で放送が一時停止しましたが、その後自家発電設備が導入されました。1945年には岡山空襲や広島への原子爆弾投下の報道など重要な役割を果たしました。戦後も放送設備の強化が続けられ、1950年には放送法の施行に伴い特殊法人としての日本放送協会が設立されました。1957年にはテレビジョン放送を開始し、その後もローカルニュースや教育テレビ、FM放送などのサービスを順次拡充しました。
2005年には岡山市駅元町のリットシティビル南棟に放送会館を移転し、現在の施設が完成しました。新放送会館からの放送は同年8月22日から開始され、地上デジタル対応統合送出マスターも運用開始しました。2006年には地上デジタル放送を開始し、岡山放送局独自のワンセグ放送も開始されました。2011年には開局80周年を迎え、「まいにち、びっくり箱」というキャッチコピーが使用されました。2018年には週末・祝日のニュース・気象情報が広島からの中国地方向け放送に変更され、岡山県のニュースは平日のみの放送となりました。2021年には開局90周年を迎え、2023年には令和改革により部制からセンター制に見直され、コンテンツセンターと経営管理企画センターへ再編されました。同年5月にはNHKプラスで地域向けのテレビ番組の見逃し配信が開始されました。
特に2018年の平成30年7月豪雨では、岡山県内各地で大規模な水害が発生し、真備町地区を中心に被害が拡大しました。これに対応するため、過去に岡山放送局に所属していたアナウンサーが応援に駆けつけ、被災地からの現場レポートや被災者向けの情報番組を担当しました。また、岡山に勤務経験のないベテランアナウンサーも出張で参加し、現地の状況を伝えました。この時、多くの被災者から励ましのメッセージが寄せられ、番組内で随時紹介されました。
こうした歴史と活動を通じて、NHK岡山放送局は地域に根ざした情報提供と放送サービスを展開し続けており、岡山県民にとって重要なメディアとしての役割を果たしています。これからも地域に密着し、必要な情報を提供し続けることが期待されます。