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TSC テレビせとうち

テレビせとうち株式会社(TV SETOUCHI BROADCASTING CO.,LTD. 略称TSC)は、岡山県および香川県を放送対象地域とするテレビジョン放送の特定地上基幹放送事業者であり、中国・四国地方、そして五大都市圏以外では唯一のテレビ東京(TXN)系列局として知られています。ホームページなどでは「TSCテレビせとうち」と記載されており、そのコールサインはJOPH-DTV(岡山18ch)、リモコンキーIDはテレビ東京と同じく「7」です。2020年1月1日からのキャッチフレーズは「ピリリ。」です。

テレビせとうちは三大都市圏以外に初めて開局したテレビ東京系列局であり、主要株主は山陽新聞社と日本経済新聞社(日経)です。1999年12月20日に中鉄バスが自社保有株をすべて山陽新聞社に売却したため、現在の筆頭株主は山陽新聞社、次いで日経となっています。テレビせとうちは山陽新聞グループと日経グループに属し、テレビ東京ホールディングス(TXHD)の完全子会社であるテレビ東京とは異なり、日経の連結対象外です。また、テレビ東京が本社を六本木グランドタワーに移転する2016年11月以前は、日経のビルに入居していないTXN系列局でもありました。
この放送局は岡山県や香川県のテレビ局の中で唯一、日本語社名に「テレビ」が入り「放送」が入らない局であり、英文社名には「放送」を意味する“Broadcasting”が含まれています。また、昭和最後に開局した民放テレビ局であり、それ以降に開局した民放テレビ局は平成新局とされています。
テレビせとうちは、山陽新聞社からニュース配信や報道番組の制作協力、報道記者の出向を受け入れており、ローカルニュースでは「協力 山陽新聞社」とクレジットを入れて放送しています。筆頭株主となって以降の社長は同社出身者が務めています。山陽新聞グループの一員として新聞・テレビのメディアミックス展開も行っており、逆にTBS系列のRSK山陽放送は、山陽新聞社出身の社長からRSK生え抜きの社長に交代するなど、以前より山陽新聞の影響が薄れてきています。また、テレビ東京系列は6局と少ないため、重大事件や災害が中四国エリアで発生した場合には取材を担当することがあります。
1989年4月より、地方ローカル局としては異例の自社制作アニメのTXN系列での全国ネット放送を開始しました。岡山・香川両県の民放テレビ局で全国ネットのテレビアニメ制作に着手したのはTSCのみであり、2022年4月現在、東名阪地区以外の民放テレビ局で全国ネットのレギュラー番組を制作している唯一の放送局でもあります。『しまじろう』シリーズは1993年12月から継続中であり、東名阪以外の民放テレビ局が手掛けるテレビアニメシリーズとしては最長寿作品となっています。
2004年4月には会社ロゴを一新し、地上デジタル放送のリモコンキーIDが「7」となることから、イメージキャラクターの「ななちゃん」が登場しました。TXN加盟局の中では視聴可能世帯が最も少ない局であり、通常のテレビ局の全国の天気予報では中国エリアの天気予報が表示される際には岡山市が表示されます。
テレビせとうちは、『しまじろうのわお!』が2013年にドイツ・ハンブルクで行われた『World Media Festival2013』で日本作品として初の教育部門でグランプリ・アワードを獲得したほか、『おばあちゃんの台所』も日本民間放送連盟賞放送と公共性部門優秀賞、放送文化基金賞エンターテインメント部門奨励賞、2014年グルマン世界料理本大賞グランプリを受賞するなど、多くの受賞歴があります。
本社は岡山市北区柳町2丁目1-1にあり、2006年7月10日に開局当時からの本社だった岡山市北区野田5-8-8から移転しました。四国支社は高松市亀井町に、倉敷支局は倉敷市白楽町に、東京支社は東京都中央区銀座に、大阪支社は大阪市北区曽根崎新地にそれぞれ設置されています。また、岡山・香川の民放テレビ局5局のうち、テレビせとうちが唯一広島市内に事業所を設けていません。
1984年7月24日にアナログテレビ放送予備免許が交付され、10月9日に設立されました。1985年9月20日にはアナログテレビ試験放送を開始し、10月1日にはアナログテレビ放送を開始しました。開局時の中継局は高松と津山南のみでした。1989年4月3日からは、テレビせとうち制作のテレビアニメ『アイドル伝説えり子』を放送開始し、現在の『しまじろう』シリーズに至ります。
テレビせとうちは多くの変革を経て成長してきました。2006年には地上デジタル放送の開始とともに本社機能を完全移転し、アナログ・デジタル統合マスターに更新されました。2023年にはテレビマスターを17年ぶりに更新し、新しいテレビマスターは将来的なインターネット同時配信や4Kテレビ放送を見据えた仕様となっています。2024年にはテレビ東京、テレビ北海道と共にマスター設備のリモート統合監視実証実験を行い、技術革新にも積極的に取り組んでいます。

アナウンサー・気象予報士