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NHK首都圏放送センター
NHK放送センターは東京都渋谷区神南2丁目に位置し、日本放送協会(NHK)の主たる事務所として機能しています。全国ネットワークの大半の番組がここで制作されており、関東甲信越地方向けの首都圏局、衛星放送を行う衛星放送局、国際放送を担当する国際放送局もこの施設内に存在しています。所在地は代々木公園の一角で、かつての大日本帝国陸軍代々木練兵場の一部であり、終戦後はアメリカ軍のワシントンハイツとして利用されていました。
1960年代前半、NHK会長の阿部眞之助は移転先を模索しており、一度は港区麻布新龍土町に決定しましたが、池田勇人首相の了承を得て、最終的にワシントンハイツ跡地が移転先となりました。この場所は1964年に日本に返還され、オリンピックの放送センターが建設されました。オリンピック終了後、この放送センターはNHKの本部施設として位置づけられ、10年近くかけて日比谷地区から移転が完了しました。
放送センターの建物は建設から半世紀が経過し、耐震性や省エネルギーの観点から2010年頃から建て替えの検討が始まりました。2006年には当時の東京都知事石原慎太郎が築地市場跡地への移転を発言しましたが、NHKはこれを否定しています。2016年にはNHKが渋谷の一等地にあることに対する批判も上がり、NHKは合理性や妥当性について説明責任を果たすよう求められました。
2016年8月30日、NHKは放送センターの建て替え基本計画を発表し、工事は2020年9月に着工し、2025年に第1期工事が完成予定です。その後、第2期工事を行い、全体の竣工は2036年を目指しています。建物の建設費は1,700億円が見込まれています。
放送センターには総合テレビ、Eテレ、ラジオ、国際放送に対応する25のスタジオがあり、日本最大のスタジオ数を誇ります。ニュースセンターは約300坪の面積を持ち、災害時にも独立して稼働できる設備が整っています。東日本大震災の際にはニュースセンターのカメラが激しく揺れる様子が全国に放映されました。ニュースセンターは特設ニュースや災害放送を行うための設備も整っています。
スタジオの中でも、CT-101は350坪の広さを誇り、最も広いスタジオです。『NHK紅白歌合戦』や『SONGS』などの大型番組の収録にも使用されています。CT-102やCT-103も各種番組の生放送や収録に使用されており、特にCT-103は『おかあさんといっしょ』の収録に使用されています。CT-104は生放送やバーチャルスタジオとして使用され、『テレビ体操』や『英雄たちの選択』などが収録されています。
ラジオセンターは本館13階に位置し、ニューススタジオや生放送専用スタジオ、収録専用スタジオが配置されています。ラジオ第1放送、FM放送、NHKワールド・ラジオ日本の番組がここから放送されています。スタジオの呼び方には数字の0を「まる」と読むほか、スタジオの設置階数を表す3桁の数字が使われています。CT-101は東洋一の広さを誇り、運用開始当初からハイビジョン撮影に対応しています。
放送センターの建て替え計画は、耐震性や省エネルギーの確保が目的であり、長期的な視点での取り組みが進められています。新しい放送センターは最新の技術を取り入れ、より効率的で安全な放送環境を提供することを目指しています。