『めしばな刑事タチバナ』あらすじ キャスト

「めしばな刑事タチバナ」あらすじ・ネタバレ・結末

　都内某所、クルマで張り込みをする二人の刑事がいる。
　タチバナ（佐藤二朗）と後輩の井上（早田剛）である。
　西脇容疑者（岡宮弘樹）が出てくるのを待っているが、5日間もアパートから出てくる様子はない。
　だが、タチバナがクルマを離れた時のことだった。西脇が張り込みに気付き、逃走していったのだ。
　井上から連絡を受けたタチバナだが、「すぐ行く」と言いながらも、ふと目にした富士そばのメニュー「カレーかつ丼」に心を奪われてしまう。タチバナは職務そっちのけでメニューをガン見する。
　このようにタチバナは美味そうなメシに異常なまでに興味があるのだ。
　結局、西脇はまんまと海外に高飛びすることに成功。
　タチバナはこの失態を理由に、警視庁から城西警察署に飛ばされることになった。

　それから数日後。
　城西警察署の取調室では、若手の五島警部補（鈴木身来）が島田容疑者（山本浩司）の取り調べを行なっている。
　島田は一向に口を割らない。今野副署長（温水洋一）も手を焼いている男である。
　そこに転属してきたばかりのタチバナが登場。いきなり「何が食いたい？」とめしの話「めしばな」を始める。
　島田が「富士そば」と答えると、タチバナは代表的なメニュー「天ぷらそば」を挙げ、「なかなかイイ線だ」と返す。
　だが、確かに富士そばも美味しいのだが、拘留で身体が鈍った島田には「梅もと」の薬膳天そばが丁度良いとアドバイス。
　タチバナはめしばなを続け、島田はその美味しそうなめしばなに生唾を飲み、「梅もとの薬膳天そばか、覚えとくぜ！」と微笑む。
　それを見て、「あの島田が・・・！」と驚く五島。取調べ中、表情一つ変えなかった島田が微笑むとは思いもよらなかったのだ。

　村中巡査（河西智美）はピンと来た。
　警察官の間で有名な、やたらとメシの話に詳しい刑事がいる。それがこの男だと。
　と、その時、取り調べ室に韮沢課長（小沢仁志）が飛び込んでくる。
　韮沢もめしばなに詳しいらしく、廊下で立ち聞きして居ても立ってもいられなかったようだ。まもなく二人のめしばな論争に発展する。
「越後そば」のかき揚げそば、山菜そば、ちくわ天そば、「吉そば」の特製吉そば、えび天そば、「ゆで太郎」のきつねそば、肉そば、「いわもとQ」のかき揚げそば、天ぷらセット大盛り、「蕎麦 冷麦 嵯峨谷」のもりそば、小あじ御飯セット、あじ御飯・・・。美味しい蕎麦屋を挙げていく二人。
　テイクアウトにオススメなのは「ゆで太郎」のもりそば。ただし、美味しく食べるには銭湯に行き、ダッシュで帰宅するというお膳立てが必要、など・・・。
　タチバナは蕎麦にまつわるめしばなを延々と語り、韮沢を圧倒する。
　韮沢が退室した後も、めしばなは止まらない。
　蕎麦屋には期間限定メニュー、あるいは店舗限定メニューという、レアメニューがある。
　タチバナが最近、忘れられないのは富士そば新宿三光町店の「ミニお好み焼き風紅しょうが天丼セット」である。
　すると、島田もそのめしばなに食いつく。島田もそれを食べたらしく確かに絶品だったという感想を話す。

　翌日、タチバナがめしばな情報屋・竹原（梅垣義明）とともに現れる。
　おかしな人物の登場に戸惑う五島。竹原も情報屋だけあって、めしばなには詳しいようだ。
　そんな中、五島のケータイに島田のアリバイが崩れたとの連絡が入る。
　事件当時、「新宿には行ってない」と話した島田だが、新宿三光町店の限定メニュー「ミニお好み焼き風紅しょうが天丼セット」を食べたという話から、新宿にいた疑惑が浮上したのだ。
　そして券売機からは島田の指紋が採取されたという。これで事件解決が見えてきた。
　“もしや、タチバナさんはめしばなと見せかけて、島田のアリバイを崩すための誘導尋問を？”
　五島があれは誘導尋問だったのかと尋ねると、タチバナはうつむきがちに答えた。
「単なる、メシの話だよ」

　一方、女子更衣室では婦警たちがスイーツを持ち寄って試食会を開いていた。
　名付けて「城西署甘味部」。
　村中巡査はカフェ＆バー・ブロントの「ニューヨークチーズケーキ」、香織（間宮夕貴）はタリーズコーヒーの「カラメルプリンロール」、麻里（佐々木心音）は上島珈琲店の「濃栗モンブラン」を持ち寄る。
　結局のところ、スイーツは食べても、恋愛とか甘い話は今のところない、というオチがつく。