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純情きらり 第1週「父の見合い」

 昭和3年 (1928年) の冬。舞台は愛知県岡崎市。
 主人公・有森桜子 (美山加恋 / 幼少期)は、父・源一郎 (三浦友和)と今は亡き母・マサ (竹下景子)の間に生まれた四人姉弟の三女である。
 ある日、桜子は味噌の蔵元「山長」の味噌桶に落ち、200人が飲める味噌汁一年分の味噌を台無しにしてしまう。桜子がおてんばに育ったのは母がいないからだと周囲から言われ、父・源一郎は再婚相手を求めて見合いをすることになった。
 一度は見合いをすることに決めた源一郎。しかし、亡き妻・マサへの愛情の深さに勝るものはないと気付く。さらに桜子の母に対する強い思いを感じ、見合いを断ることを決める。
 そして、9年の月日が経ち、桜子はピアニストになることを夢見る16歳になっていた。


純情きらり 第1週「父の見合い」 第1回 4月3日 (月)

 味噌蔵に入ってきた少女が味噌桶を覗き込んでいると、男の子のいたずらによって、味噌桶に転落してしまう。この少女がこの物語の主人公・有森桜子 (美山加恋 / 幼少期)である。
 愛知県岡崎市。徳川家康が生まれた岡崎城から西へ八丁 (900m) ほど行ったところにあるのが八丁味噌の産地である。東海道五十三次の宿場町として栄えた町、岡崎がこの物語の舞台である。
 昭和3年 (1928年) の冬。
 有森家の三女・桜子はピアノが大好きなおてんば娘、今日も末っ子の勇太郎 (佐野観世 / 幼少期)と昭和家屋の家の中を所狭しと遊びまわっている。
 桜子の姉、長女・笛子 (北乃きい / 幼少期)はそんな "おてんば娘" と "やんちゃ坊主" の面倒をみる「しつけ係」で、二女の杏子 (尾崎千瑛 / 幼少期)は物静かで動物好きな心優しい娘である。
 そんな四人姉弟の父・源一郎 (三浦友和)は岡崎市役所の土木課に嘱託として勤めている。鉱石の収集とジャズのレコードを聴くことが趣味の優しくて頼りになる父親である。
 そして、母・マサ (竹下景子)は他界してしまったが、いつも空の上から有森家を見守っている。ピアノが好きな桜子にその素晴らしさを教えたのはマサだった。桜子は "紙の鍵盤" をピアノに見立てて弾くマネをし、いつかマサのように上手にピアノを奏でる日を夢見ている。
 最後にマサの父でもある、祖父の沖田徳治郎 (八名信夫)は有森家から離れた場所に一人で住んでいる。一人娘のマサが若くして亡くなったことで、源一郎に対してやるせなさをぶつけることもある。頑固者で口調は荒っぽいが、孫たちを思う気持ちは強い。徳治郎は八丁味噌の蔵元「山長 (やまちょう) 」の元味噌職人で、時折、味噌蔵に顔を出しては味噌職人たちの指揮を執っている。
 今日、山長は味噌の仕込みが行われる日だった。徳治郎は現役の味噌職人たちを従えて、味噌の仕込みに精を出す。その様子をじっと見ていた桜子と勇太郎だったが、桜子は大きな味噌桶の中がどんな風になっているのか、のぞきたくてしょうがない。しかし、徳治郎から断られてしまい、桜子はがっくりと肩を落として味噌蔵を後にした。
 その時、どこからか軽快なピアノの音色が。どうやら山長を経営する松井家の豪邸から聞こえてくるらしい。桜子が窓越しに部屋をのぞき込むと、松井家の長男・達彦 (柳井宏輝 / 幼少期)がピアノ教師 (柿丸美智恵) に習ってピアノを弾いていた。
 ピアノのような高級品は滅多にお目にかかれない。桜子はうっとりとその様子に見とれる。やがてレッスンが終わり、2人が部屋を出て行くのを見計らって桜子は部屋へ忍び込み、ピアノに手を触れた。初めて奏でるピアノの音色に、桜子の心は惹きこまれていく。
 その時だった。"なんだい!? 人の部屋に勝手に入ってきて" 、物音に気付いた達彦が戻ってきたのだった。桜子は慌てて逃げ出すが、"紙の鍵盤" を忘れたことに気付かなかった。
 そうこうしているうちに、味噌蔵では作業が終了し、さっきまでの活気が嘘のように静まり返っている。桜子の足は知らず知らずのうちに、あの味噌桶のまえに向かっていた。今さっき、徳治郎に中身をのぞくことを断られた味噌桶である。
 桜子はつい出来心で味噌桶の梯子に足をかけ・・・、その時だった。桜子を追いかけてきた達彦がほんのいたずらのつもりで桜子を驚かせようとして梯子を揺らし、その震動で桜子が味噌桶の中に落ちてしまったのだった……。
 その一大事はすぐに源一郎の耳に入った。源一郎が慌てて出かけようとした時、派手な赤い羽織をまとった女性にぶつかる。源一郎の妹・有森磯 (室井滋)だった。
 その頃、味噌蔵にいる桜子は、女将の松井かね (戸田恵子)から厳しい叱りを受けるところだった。
 そんな桜子を天国のマサはいつも見守っている。
「桜子、がんばれ。お母さんはいつもあなたを見ていますよ」


純情きらり 第1週「父の見合い」 第2回 4月4日 (火)

 桜子は味噌桶に落ち、200人が飲める一年分の味噌汁の味噌を台無しにしてしまった。
 源一郎は女将のかねに「しつけがなっていないのは母親がいないから」と痛いところを突かれるが、今は平謝りするしかない。
 桜子が "あの子に落とされた" と達彦を指差しても、かねはまったく信じようとせず、桜子が一方的に悪いような言い方をする。磯はかねと小学生以来の犬猿の仲らしく、桜子をかばって罵り合いをはじめ、ますますその場を混乱させる。
 そんな事件があった数日後、源一郎はかねに不憫に思われたのか、見合いの話を紹介される。
 返事を保留して帰った源一郎だが、新しい妻を受け入れることにはどうしても踏み切れない。桜子から新しい紙の鍵盤を催促され、マサとの思い出を話しているうちに、マサへの愛情を再確認し、やはり見合いは断るべきだと思い始める。
 翌日、桜子はひとりで紙の鍵盤をピアノ代わりにして遊んでいた。それを見た居候の磯は、徳治郎の家にマサのオルガンがあることを教える。
 "本物の鍵盤が弾ける"、桜子はいてもたってもいられず、徳治郎の家へと走りだした。しかし、オルガンは故障しているという。それでも桜子はオルガンを求めて納屋を探し始めるが、なかなか見つからない。
 その時、徳治郎の家には源一郎が見合いの相談に訪れていた。その様子を陰からのぞいていた桜子は、源一郎に見合い話が持ち上がっていることを知り、ショックを受ける。


純情きらり 第1週「父の見合い」 第3回 4月5日 (水)

 翌日、桜子はガキ大将のキヨシ (村瀬継太 / 幼少期)と決闘をするため、キヨシに果たし状を書いていた。弟の勇太郎はキヨシからたびたびいじめを受けており、その仕返しをしようと決めたのだった。
 一方、市役所では源一郎がもっぱら雑用をこなしていた。正職員ではないうえに子供たちのために早く帰ることが多い源一郎は、重要な仕事を任されない。源一郎は職場でも、子供の世話のために母親が必要だ、と見合いを受けるように推薦される。
 その夜、決闘場の神社では桜子とキヨシがカタナ代わりの棒切れを持って向かいあっていた。決闘には達彦も立ち会っている。
 いよいよ決闘が始まり、桜子は防戦一方。再び向き合い、大声をあげて突進してくるキヨシに思わず目を閉じてしまう桜子だったが、達彦がキヨシの足を引っ掛けてくれたおかげで、キヨシは転倒して鼻血を出しながら号泣。桜子が目を閉じている間にまさかの勝利をおさめていた。
 そこへ決闘の知らせを聞きつけた家族が集まってきた。"所詮は子供の世界の出来事" とその場は丸くおさまるが、源一郎はそれがきっかけで、徳治郎から "やはり女親も必要だ" と言われ、見合いの話を受けることにした。
 そして数日後、源一郎の見合いの日が来てしまった。


純情きらり 第1週「父の見合い」 第4回 4月6日 (木)

 源一郎は見合いに出かけていった。
 ひとり浮かない桜子は、笛子に "お母さんよりもいい人なんていないよね" と一方的に話すが、煙たがられてしまう。見合いが気になって仕方ない桜子は、松井家に様子を見に行くことにした。
 見合い相手の安江 (筒井真理子)は和服が似合う美人でかねのまた従兄弟にあたるらしい。安江は得意のピアノを披露するが、源一郎の心の中にはやはりマサとの思い出が甦ってくるのだった。その時、応接室をのぞいていた桜子はある "いたずら" をする。
 見合い後、玄関先で草履を履こうとした安江だったが、桜子が草履の裏に塗りたくったトリモチに足をとられ、派手に転ぶ。桜子は「作戦成功」と思わず笑いがこみあげる。それに気付いたかねは一気に表情が険しくなる。
「本当におたくのお子さんには呆れます!どういうしつけをしとるんですか!?」
 かねが怒るのも無理はなく、源一郎も困惑する。
 見合いを失敗させようと "いたずら" を仕掛けた桜子だったが、もしも新しい母親が来たら、と思うと悲しくなる。マサに代わる母はこの世にいない。
 桜子は徳治郎の納屋に閉じこもった。そして、隠してあったマサのオルガンを見つける。桜子はマサとの思い出の曲「埴生の宿」を弾いているうちに、いつしか鍵盤に伏せて眠ってしまった。
・・・ 戸がガラッと開き、桜子は目を覚ました。源一郎が心配して、桜子を捜しに来たのだった。
 源一郎は桜子のマサに対する愛情を感じ、マサとの思い出を話し始める。
 じつは源一郎とマサは、祝福されて結婚したわけではなかった。東京で働く源一郎、岡崎で教師を勤めるマサ、環境の違いから徳治郎は猛反対していた。
 しかし、ある日、マサは「私たちだけで結婚式を挙げましょう」と、花嫁衣裳を身にまとって源一郎のまえにあらわれた。そして、小学校で結婚行進曲を弾き、二人でささやかな結婚式を挙げたのだった。
 源一郎はいつもマサと一緒にいることが出来てしあわせだったこと、そして誰よりも好きなマサにそっくりな人はこの世に一人しかいないと言い、その一人というのは桜子だと話す。
 桜子はしあわせだった。結局、見合いを断ることを決めた源一郎は、桜子と手をつないで「埴生の宿」を口ずさみながら家へと歩いていった。


純情きらり 第1週「父の見合い」 第5回 4月7日 (金)

 桜子はしばしば徳治郎の納屋を訪れては、オルガンを弾くようになっていた。徳治郎もまた、内心では桜子が来るのを楽しみにしていた。
 そんなある日、桜子は徳治郎に「オルガンが欲しい」と頼んでみるが、マサの形見であるオルガンを手放すわけにはいかない、と断られてしまう。"独り身の徳治郎のことをわかってほしい" と源一郎になだめられ、それ以来、桜子は徳治郎の納屋にぱったりと行かなくなった。
 日曜日はマサの月命日だった。有森家を訪れた徳治郎は、月命日に家にもいない源一郎たちは何をしているのかと不満を漏らすが、その頃、徳治郎の納屋では徳治郎を励まそうと、ある計画が着々と進んでいた。
 夜になり、徳治郎が家に戻ると勇太郎が顔を見せ、すっと「おじいちゃん」と言って走り去っていく。何事かと首を傾げながら徳治郎が納屋の戸を開くと、ランプが明々と灯った中で有森家全員が拍手をして徳治郎を迎えた。
 桜子が磯のデザインした純白の洋服を着て、
「今日は私の初めての発表会に来てくれてありがとうございます」
と挨拶をすると、徳治郎はきょとんとして、何のことかわからないがとりあえず頭を下げる。
 それは、徳治郎を元気づけるために桜子が計画したオルガンの発表会だった。
 まもなく発表会が始まり、桜子はオルガンで「埴生の宿」を弾き始めた。やがて徳治郎は桜子にマサの姿を重ねて感極まり、マサのオルガンを桜子に渡すことを決める……。

 それから9年後、昭和12年 (1937年) の春。
 桜子 (宮崎あおい)は女学校の5年生になりオルガンを弾いていた。長女の笛子 (寺島しのぶ)は女学校の教師になり、次女の杏子 (井川遥)はさらに陽気さに磨きがかかった磯のもとで裁縫を習うなど花嫁修業をしていた。そして、弱虫だった末っ子の勇太郎 (松澤傑)は中学で科学を研究するなど秀才ぶりを発揮しているらしい。源一郎は白髪まじりにはなったが、相変わらずジャズと鉱石の手入れをするのが趣味である。
 そして、岡崎の町はまだ平和そのものだった。桜子は16歳、どんな未来も自分で選びとれる、叶わぬ夢などないと信じている、無敵の16歳だった。


純情きらり 第1週「父の見合い」 第6回 4月8日 (土)

 岡崎南高等女学校の5年生になった桜子は、生徒たちと音楽室で合唱の練習をしていた。桜子が滝廉太郎の「花」をジャズ調にアレンジしてピアノ演奏していると、音楽教師の西野シヅ子 (キムラ緑子)が血相を変えて飛び込んでくる。西野はジャズを "下品な音楽" と形容し、口応えする桜子を叱り飛ばす。
 その日の夕食、笛子は "桜子が学校で厄介なことを起こすと同校の教師である自分にも迷惑がかかる" と桜子を咎める。しかし、桜子はなぜジャズを弾くことが非難されるのかが納得できない。そんな桜子だったが、最近何よりも楽しみにしていることがある。それは著名な音楽家・西園寺公麿 (長谷川初範)のピアノ演奏会でそれがいよいよ明後日に迫っていた。西園寺公麿の演奏を生で聴けるとあって同級生の高野薫子 (松本まりか)たちはうらやましがる。
 そこへ味噌蔵元「山長」の跡取り息子・松井達彦 (福士誠治)が通りかかり、桜子に「久しぶり」と声をかける。達彦は金持ちの美男子ということでその評判は広まり、岡崎周辺の女子高生たちの憧れの的になっていた。薫子たちも例外ではなく達彦に熱いまなざしを送るが、幼なじみの桜子はピンと来ない。
 翌日、桜子は薫子から恋文を達彦に渡してほしいと頼まれる。一度は断ったが、薫子の熱意に負けた桜子は手紙を渡すために久しぶりに山長を訪ねることにした。ところが、達彦は不在だったうえに、女将のかねに手紙を取り上げられ、破って取り戻したが手紙の決定的な一節を読まれてしまう。
 そんなことがあった翌日は、待ちに待った西園寺公麿の演奏会の日だった。しかし、教師の西野は下校しようとした桜子を引き止め、一枚の紙切れを突きつける。
「貴方様を心よりお慕ひしております」
 それは薫子が書いた恋文の一部だった。財閥の跡取りである達彦の色恋沙汰をよく思わないかねが直々に訴えてきたのだと言う。西野は「真実を白状するまで帰らせない」と言って桜子の帰りを許そうとしない。その頃、演奏会のホールでは西園寺公麿 (長谷川初範) が今まさにピアノ演奏を始めようとしていた。
 演奏開始が迫っている・・・、そんな焦りから、桜子は思わず「自分が書いた」と嘘をついてしまう。西園寺の演奏を聴きたいがための嘘だった。


次週予告

来週は「ピアノがやって来た」

桜子です。
憧れの演奏家・西園寺公麿先生に会えて、私の夢は大きくふくらみ、東京の音楽学校への進学を決意します。ところが、笛姉ちゃんとおじいちゃんは猛反対、山長の女将・かねさんからはバカにされます。私はその悔しさから、新入生歓迎会の合唱の伴奏を禁じられていたジャズで弾いてしまいます。
純情きらり、来週もお楽しみに!


純情きらり 第1週「父の見合い」 今週からの出演者とゲスト

有森桜子宮崎あおい
有森笛子寺島しのぶ
有森杏子井川遥
松井達彦福士誠治
西野シヅ子キムラ緑子
野木山与一徳井優
高野薫子松本まりか
有森勇太郎松澤傑
高島専蔵大八木淳史
安江筒井真理子

有森桜子 (子供時代)美山加恋
有森笛子 (子供時代)北乃きい
有森杏子 (子供時代)尾崎千瑛
有森勇太郎 (子供時代)佐野観世
松井達彦 (子供時代)柳井宏輝
高島キヨシ (子供時代)村瀬継太

ピアノ教師柿丸美智恵
大助宮沢大地
手代永田恵悟
女店員 (おふみ)藻田るりこ
耕輔 (子供時代)下山葵
治 (子供時代)水田吏維也
役場課長平田康之
女子職員野里知広
学校の先生板尾直子
みさえ北原ひとみ
かず代春田瑠里
好子阿部麻似子
ピアノ演奏湯川珠美
ピアノ演奏津嶋麻子
ピアノ演奏吉井一摩
ピアノ演奏上野朋洋
出演者協力エンゼルプロ
劇団ひまわり
宝映テレビプロダクション
スペースクラフト
クロキプロ
劇団東俳
エー・サウス
ヴォーカル

松井拓司村田雄浩
西園寺公麿長谷川初範
沖田徳治郎八名信夫
浦辺仙吉塩見三省
松井かね戸田恵子
有森マサ竹下景子
有森磯室井滋
有森源一郎三浦友和


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