スポンサードリンク

純情きらり 第10週「夏の日の別れ」

 父・拓司 (村田雄浩)の死後、達彦 (福士誠治)は東京音楽学校を退学することを決意、ピアノから身を引いて味噌蔵元「山長」の跡取りになる。桜子 (宮崎あおい)は達彦と逢い引きを続けるが、どうしても音楽への思いを断ち切れず、二人は次第に遠ざかっていく。そんな折、かね (戸田恵子)は達彦が桜子に未練を残していることを察する。かねは達彦が桜子のことを忘れるように、他の女性との見合いを計画する。
 一方、東京を離れて岡崎に来た冬吾 (西島秀俊)が突然、有森家に宿を求めて訪れ、笛子 (寺島しのぶ)は冬吾の調子に戸惑いながらも少しずつ心を許していく。


純情きらり 第10週「夏の日の別れ」 第55回 6月5日 (月)

 達彦 (福士誠治)は山長の当主になることを決める。だが、そのためには音楽の道をあきらめなければならない。そんな達彦の思いがけない決意を聞いた桜子 (宮崎あおい)は動揺する。
 一方、山長の味噌職人たちは達彦の跡継ぎの口上に歓喜する。最もそれを喜んだのは母・かね (戸田恵子)だった。これで達彦の将来は安泰、しかも音楽をやめれば桜子と通じる機会が一切なくなるだろう。かねにとっては願ったり叶ったりだが、達彦の心は曇っていた。
 唐突に音楽をやめると言い出したことで桜子にわだかまりを残していると感じた達彦は、その夜、有森家に向かった。すると、近所の神社で物憂げに草笛を吹いている桜子の姿に気付く。達彦は桜子の隣に腰掛けた。そして、誰かに言われて意志を曲げたのではなく、自分から父・拓司 (村田雄浩)の遺志を継ごうと決めたことを伝え、その決意に桜子も理解を示す。
「でも、俺、有森とこのまま終わりたくない。これからも会いたいんだ」
 桜子の思いも同じだった。しかし、徳治郎 (八名信夫)やかねなど監視役のような存在がいる以上はそう易々と連絡をとることさえできない。桜子は「結び文」として境内の木の枝に紙を巻き、互いに連絡を交換しようと提案する。
 その時だった。神社の祠の戸がガタッと開き、見覚えのある男が姿を現した。
「なーに、たまげてる。仲良くていいなあ」
 突然の冬吾 (西島秀俊)の登場だった。


純情きらり 第10週「夏の日の別れ」 第56回 6月6日 (火)

 放浪中の冬吾は桜子と友人だという理由を頼りに有森家を訪ねたが、鬼の笛子 (寺島しのぶ)に追い払われたという。桜子は冬吾の身を心配し、有森家に連れて帰ることにした。
 しかし、誰でも突然泊めてくれと訪ねてくる男に良い感情は湧かない。堅物の笛子ならなおさらで、得体の知れない男を泊めるわけにはいかないと反対するが、冬吾には得体の知れない妙な風格のようなものがある。いつしか亡き父・源一郎 (三浦友和)の鉱石をデッサンし始めた冬吾の筆を、笛子は止めることが出来なくなった。そして、冬吾はそのまま有森家に居ついてしまった。
 だが、数日後の夕暮れ時のことだった。笛子が冬吾の居候部屋を通りかかると、机の上に一冊のスケッチブックと数枚の絵が置いてある。そこには真夏の眩しい陽射しの中、洗濯に精を出す笛子の姿が描かれていた。
 笛子は吸い寄せられるようにその絵を見つめた。が、もう一枚の絵をめくって仰天する。なんとそこには、どのように想像したのか自分の一糸まとわぬ裸身が描かれていたのだった。笛子はその絵を突きつけ、激しい剣幕で冬吾を有森家から追い出してしまう。
 桜子は冬吾を勝手に追い出した笛子を責めるが、それよりも何よりも笛子のもっぱらの心配の種は、なおも達彦と逢い引きを重ねている桜子のことだ。
 達彦と一緒になるということは、同時に音楽を捨てて山長の女将になることでもある。そう言って笛子は桜子にその覚悟があるかと詰問するが、桜子にはそんな将来のことなどまだ分からない。責めるようにまくし立てる笛子の言葉に、桜子は泣きながら家を飛び出した。そして、追い出された冬吾を連れ戻しに神社に向かうが、そこに冬吾はいなかった。
 と、そこへ突然、味噌職人のキヨシ (井坂俊哉)がやって来た。この数日間、桜子に好意を寄せるキヨシは達彦と桜子の別れの気配を察し、桜子にその思いを伝える機会をうかがっている。しかし、今はまだ、キヨシの気持ちに気付く余裕などあるはずもない桜子だった。


純情きらり 第10週「夏の日の別れ」 第57回 6月7日 (水)

「桜ちゃんが達彦さんに会いたいと思うなら、その気持ちを大切にするのが一番いいよ」
 杏子 (井川遥)の言葉に、桜子は達彦と会うことは間違いではないという思いを強くする。だが、その思いとは裏腹に達彦からの結び文は途絶えてしまう。達彦はやがて別れゆく運命を思い、桜子から身を引くようになっていた。
 そして、冬吾に関する桜子の悪い予感がとうとう的中。桜子が神社に結び文の確認に行ったところ、風邪をこじらせた冬吾が青白い顔で祠から出てきたのだった。笛子は文句を言いながらも冬吾を献身的に看病し、冬吾もまた、家事に仕事に真面目な笛子を率直に褒める。
 そして、あの "変な絵" を描かないことを条件に、笛子がついに冬吾の居候に許しを出した矢先の出来事だった。笛子が冬吾の様子を見に行くと、冬吾は消え、代わりに一枚の紙切れが置いてあった。
「俺は変な絵を描くのはやめられない。だから出て行く。 冬吾」
 冬吾は書き置きを残して、今度は自ら有森家を出て行ってしまったのだった。
 一方、山長の新当主として忙しく働く達彦だったが、達彦の心に浮かんでくるのは桜子への思いばかりだった。桜子を心の中から消すことはどうしてもできない。達彦はやがてひとつの決心に辿り着く。
・・・ 桜子は数日ぶりに、待ちわびていた達彦からの結び文を見つけた。閉店した喫茶マルセイユで待ち合わせた二人は、マスター・ヒロ (ブラザートム)の気遣いで二人きりになった。
「俺は山長の当主になった。音楽はやめた。でもそれでいいと思っとる、自分で決めたんだ。有森はどうなんだ?将来、音楽家になることが絶対なのか・・・?」
 達彦は言った。
「例えば俺が、嫁に来てほしいって言ったら・・・」
 返事に詰まる桜子を見て、達彦は馬鹿な質問をしたと後悔した。桜子が音楽の道をあきらめることが出来ないことは達彦自身がよく理解している。
 さよならを告げた別れ際、達彦は駆け寄る桜子を衝動的に抱きしめるが、桜子は思いを一つにしないままで身を委ねることはできない。桜子は達彦を振り払ってマルセイユを出て行く。


純情きらり 第10週「夏の日の別れ」 第58回 6月8日 (木)

 今にも泣き出しそうにうつむいて帰ってきた桜子を見て、何かあったのかと心配する家族に、桜子は達彦から結婚の申し込みがあったことを伝える。しかし、そのためには音楽をあきらめなければならない。桜子はその狭間でただ泣き続ける。
 翌日、"好きなことに全てを賭けて頑張る素晴らしさを冬吾から教わった・・・" 、そう話す桜子に、笛子は少しずつ冬吾への思いを改め始める。今頃、冬吾はきっと空腹に堪えていることだろう。笛子は冬吾のためにおむすびの包みを届けに神社に向かった。すると、ちょうど冬吾は祠のまえに腰掛け、スケッチブックに絵を描いているところだった。
 だが、笛子が冬吾のもとに歩み寄ろうとしたその時だった。女 (高橋睦美) が酒と折り詰めを持って駆けつけ、冬吾はその女とベタベタし始めたではないか。笛子は途端に自分の行動が馬鹿馬鹿しく思え、もと来た道を戻っていく。そしてその反動から、不審者の注意を呼びかけに有森家を訪ねた巡査に、神社で変な男を見たと報告してしまう。笛子は冬吾を「裸の絵を描くただの変質者」だと言わんばかりに斬って捨て、桜子は理解のない笛子につくづく辟易する。
 桜子は明後日に東京に戻ることを決めた。笛子から、達彦とは縁がなかっただの、岡崎にいると未練がましいだのと、はっきりと言われたことも一因ではある。桜子は磯 (室井滋)や徳治郎のもとに上京の挨拶をしに行くことにした。
 しかし、山長の前を通りかかった桜子は思わぬ光景に立ち尽くす。
 達彦に和服姿の若い娘が寄り添っている。娘は親しげな雰囲気を漂わせ、達彦と腕を組んで角を曲がっていく。それはかねが達彦の結婚相手として目をつけ、仲をとりもとうと躍起になっていた若林家の娘だった。
 桜子の足は再び家に向かっていた。桜子はひとりになりたい気持ちでいっぱいだった。そして声をあげて泣きそうになる悲しみに静かに耐えていた。


純情きらり 第10週「夏の日の別れ」 第59回 6月9日 (金)

 桜子はつらい気持ちを隠して明るく振舞う。そして、笛子に "冬吾が訪ねて来たら家に泊めてあげてほしい" と哀願する。
 まだ冬吾への不信感は拭えないが、翌日、笛子は桜子の気持ちに応えて冬吾が出入りしている神社の祠を訪ねた。冬吾はまだそこに居るらしく、祠の中には例のスケッチブックが置いてあった。
 源一郎の鉱石、見慣れた岡崎の町並み、そして洗濯をする笛子のデッサン、さらにはあの裸身・・・、笛子は冬吾が描いたスケッチに惹きつけられていた。
 笛子の心が動いた矢先、巡査に腕を掴まれた冬吾が現れた。不審者を見つけたという巡査に、笛子はとっさに「知り合いです」と冬吾の身をかばう。
 冬吾は確かに節操がない。けれど、桜子の話し相手になってほしいという思いもあるし、あの絵に引き込まれたのも事実だ。笛子は冬吾に少しずつ心を許しはじめていた。
 有森家に戻ってきた冬吾を桜子は喜んだ。この数日間、達彦をめぐって様々な心の変化があった。そんな桜子に冬吾は "くっつくものはくっつく、くっつくものはくっつかねえ" と、冬吾なりの言葉で励ます。
 達彦も桜子のことが気にならなかったわけではない。昨日、傷ついた桜子に何も声をかけられなかった。しかし、達彦が喫茶マルセイユのまえを通りかかると、そんなことがあったのがずっと過去のように、桜子が冬吾と笑いながら俗曲を歌っている。達彦はひとしきり桜子を見つめると、何か吹っ切ったように山長の方へ歩いていった。
 そんな日の昼下がり、桜子が杏子と通りを歩いていると、山長の半被に袖を通した達彦が、味噌職人たちを従えて味噌俵を運んでいる。しかし、達彦は何も言わず、桜子の横を軽く頭を下げて通り過ぎていく……。まるで他人がするような挨拶に桜子は戸惑う。
 と、その時、大八車を押す一人の味噌職人が踵を返して桜子のもとにやって来た。桜子に告白する機会をうかがっていたキヨシだ。キヨシは桜子の手を握って言った。
「あんなヤツのことは忘れろ。俺が幸せにしてやるで、桜ちゃん」


純情きらり 第10週「夏の日の別れ」 第60回 6月10日 (土)

 キヨシの熱烈な告白に桜子は戸惑う。しかし、交際の申し込みは断るつもりだ。
 その頃、有森家には、かねから "わけのわからん男が寝泊りしている" と聞きつけ、磯が冬吾を見に訪れていた。さらに徳治郎もやって来て、翌日には桜子が上京することもあり、その夜は宴会のような雰囲気になった。
 翌日、荷物を整理する桜子の目に達彦から受け取った楽譜が映る。音楽家を目指す道に達彦はもういない、それを思うと急に寂しくなる。すると、桜子の部屋に「もう行くのか」と冬吾がやって来た。
「冬吾さん、私がおらんようになっても、ずっとここにおって下さいね。笛姉ちゃん、お父さんが死んでから自分が親代わりになろうとえらくがんばっとるけど、本当は寂しいんです。冬吾さんがおってくれたら、心強いです」
 しかし、冬吾は "絵描きは一つのところに住まない" と、桜子の頼みを断る。でも、桜子は信じている。冬吾が笛子の支えになってくれることを。
 出発の時が訪れた。山長の店先には、生前の拓司のように店の顔として客を送りだす達彦がいる。桜子は旅立ちのまえに達彦の姿を瞼の裏に焼きつけかった。 と、駅に向かおうとする桜子のまえにキヨシが現れる。桜子はキヨシに昨日の交際の申し込みを断った。桜子の意中の人物は達彦一人しかいない。
 そこへ、キヨシから桜子の帰郷を聞いていた達彦が姿を見せた。
「東京に帰るのか?」
 達彦の言葉に桜子はうなずいた。
 二人は神社で別れの時を迎えた。達彦は山長の当主として生きていくことを、桜子は音楽をあきらめられず、達彦と一緒になれないことを謝った。
「私、夢をあきらめない。達彦さんの分もがんばってくる。だから、達彦さんもがんばって」
 笑顔の別れ。達彦を背に歩きだした桜子の胸にいくつもの思い出が押し寄せる。だが、達彦と並んで歩いてきた道を、これからは桜子ひとりで歩いてゆく。
 東京への新たな旅立ちだった。


次週予告

来週は「キューピッド志願」

杏子です。
冬吾さんがうちに来て笛姉ちゃんと急接近。二人はいい雰囲気になっています。
でもある日、突然、青森から冬吾さんの許嫁だという人がやって来ます。
桜ちゃんはやっぱり、まだ達彦さんのことを思い切れてないみたいだし、私もお産婆さんの開業を笛姉ちゃんに認めてもらえず、有森家は問題山積みです。
でも、桜ちゃんは一生懸命、笛姉ちゃんと冬吾さんの仲を取り持とうと大奮戦。
有森家の将来は桜ちゃんにかかってるわ!
桜ちゃん、がんばって!


純情きらり 第10週「夏の日の別れ」 今週からの出演者とゲスト

高橋睦美
若林聡美佐々木維子
聡美の母速水陽子


スポンサードリンク



[不適切にもほどがある][アイのない恋人たち][EyeLoveyou][さよならマエストロ][さよならマエストロ][春になったら][プライバシーポリシー]