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純情きらり 第12週「絆が試されるとき」

 桜子 (宮崎あおい)は東京音楽学校への合格を果たす。入学準備のために岡崎に帰郷するが、岡崎では教師の笛子 (寺島しのぶ)が学校から辞職を迫られる事態に。逮捕歴のある冬吾 (西島秀俊)との交際が問題になっているという。泥酔した勢いで起こした微罪だったことがわかるが、笛子は冬吾と結婚するなら教師を辞めるように宣告される。
 教師を辞めることになれば、家計が厳しい。弟たちの学費も必要である。笛子は冬吾との結婚をやめようかと悩むが・・・。
 そんな中、杏子 (井川遥)が警察にあらぬ疑いをかけられ、逮捕される。冬吾の働きかけによって杏子は釈放されるが、この一件が原因で笛子は辞職に追い込まれていく。


純情きらり 第12週「絆が試されるとき」 第67回 6月19日 (月)

 3月、桜子 (宮崎あおい)は東京音楽学校の2度目の受験を迎えた。そして、見事に合格を果たし、桜子の合格を願う岡崎の面々は喜びに湧く。
 桜子は入学準備のために岡崎に一時帰郷することにした。有森家では杏子 (井川遥)の指圧の腕と人当たりの良さが人気を呼び、近所の老女たちが杏子を頼って訪れていた。
 その夜の有森家は勇太郎 (松澤傑)も難関の八高に合格したこともあって、宴会のように盛り上がる。ちょうど笛子 (寺島しのぶ)冬吾 (西島秀俊)との結婚の許しを徳治郎 (八名信夫)から受け、いよいよ結婚に向けて準備を始めているところだった。
 桜子が二人の結婚を喜んでいたその時、有森家に桜子の女学校時代の恩師である西野 (キムラ緑子)が訪れる。西野は桜子にねぎらいの言葉をかけると、一転して深刻な表情になり、同僚の笛子に伺いたい話があるという。
「6年前、杉冬吾さんが左翼運動で逮捕された経歴があるのはご存知かしら」
 冬吾に前科がある・・・、桜子と笛子は信じられない話に耳を疑う。


純情きらり 第12週「絆が試されるとき」 第68回 6月20日 (火)

 西野によると、前科がある冬吾と結婚する笛子に「学校を辞めてもらいたい」という意見があがっているという。
 桜子と笛子が冬吾に事情を訊くと、冬吾は6年前、裕福な者だけが優遇され、貧乏人が報われない社会を嘆く活動家の友人に賛同し、酒を飲んで酔っ払った際に駐在所に投石をして逮捕された過去を明かす。
 桜子は冬吾の前科がなぜ明るみになったのか不思議に思うが、笛子は自分の身辺が調査されていることに心当たりがあった。先日、文部省の役人が学校に査察に訪れた際、笛子は授業で扱っている「源氏物語」について "天皇に関する記述が不敬" だと注意を受けたが、それでも源氏物語を "欠くことが出来ない素晴らしい教材" だと訴えかけたところ、役人から目をつけられてしまったという。
 冬吾の前科が明るみになった翌日、有森家に女学校の校長 (野村信次) が訪れた。校長は冬吾が社会に反する思想に精通しているかを探りを入れに来たのだった。面談は和やかに進むが、冬吾が「源氏物語」の一件について "教師の中で誰も笛子に賛同する者はいなかったのか" という感想をつぶやくと、校長は苦々しい表情を浮かべて足早に帰っていった。
 世の中は窮屈で住みにくい社会になっていた。政府の方針を否定すれば、反逆者などと言われ罰せられる。政府から出征を命じられた者は身内でも万歳三唱で見送らなければならない。杏子を慕って有森家に通う老女のヨシ (花原照子) は出征していく孫を思って泣くことも厭われる社会を嘆き、それを聞いた杏子も辛さを噛み締める。
 その時、世間を悲観する杏子を塀越しにのぞいている男たちの姿があった。それは小鈴 (早良めぐみ)が暴力に耐えかねて別れた夫・信吉と、信吉が捜査を依頼した刑事 (大関正義) だった。信吉は杏子が小鈴に別れるように促したと思い込んで杏子を逆恨みし、折あらば一矢報いようと企んでいたのだった。
 桜子は妙な胸騒ぎを感じて表に飛び出す。だが、誰の姿も見当たらない。と、そこへ冬吾の事情説明に学校に向かった笛子が帰ってきた。しかし、笛子の表情は暗い。
「・・・ 学校で言われた。教師を続けたいなら、冬吾さんと別れろって」


純情きらり 第12週「絆が試されるとき」 第69回 6月21日 (水)

 "もし結婚したら、教師を続けられると思うな" と、校長は冬吾を反体制派の者だと決めつけ、笛子に結婚をやめる様に迫ったという。桜子は冬吾と結婚してほしいと笛子に訴えかけるが、勇太郎の学費のこともあり、そう簡単に教師を辞めることはできない。
 杏子は「勇太郎の学費は自分が何とかする」と意気込み、無料で行ってきた指圧について客から現金の支払いを求めようとする。しかし、親しく接する老女たちに支払いをしてほしいなどとはどうしても言えそうもない。
 その夜、冬吾は自分のせいで笛子が辞職を迫られていると知り、笛子のそばを離れようと決意、誰にも知られないように真夜中に有森家を去ろうとする。しかし、それに気付いた桜子は冬吾を引き止め、笛子にとって冬吾の存在が何よりも大切だと訴える。冬吾は桜子の気持ちに応え、有森家に留まるように思い直す。
 翌日、味噌職人のキヨシ (井坂俊哉)が桜子の合格祝いを持って有森家を訪れた。達彦 (福士誠治)は忙しくて訪ねられないらしいが、キヨシは合格を喜んでいたという達彦の気持ちを代弁し、その言葉に桜子はうれしくなる。しかし、味噌の原料となる大豆が高騰し、この先の経営もどうなるかわからないという。
 と、その時、突然、大勢の男たちがぞろぞろと上がりこんできた。制止する間もなく、男たちは杏子の周りを取り囲む。
 "治安維持法違反の容疑で逮捕する!"、一人の男が杏子に言い放った。


純情きらり 第12週「絆が試されるとき」 第70回 6月22日 (木)

 杏子は左翼の集会を開いたとして無実の罪を着せられ、警察に逮捕されてしまう。ひそかに杏子に一泡吹かせてやろうと企んでいた信吉の仕業だった。
 桜子は警察署に向かうが、杏子との面会はさせてもらえない。警察署にはちょうど達彦も事件に巻き込まれたキヨシの身柄を引き取りに訪れており、桜子と達彦は思いがけない形で久しぶりに対面する。
 杏子が釈放されないまま、それから数日が経った。身内に逮捕者が出たことは近所にも学校にも知れ渡り、笛子は学校に身を置きづらくなっていく。
 好転しない状況に家族が不安を募らせる中、桜子は達彦に地元の名士として警察に口添えしてもらい、杏子と面会する機会を得る。
 しかし、面会所に現れた杏子はすっかりやつれきっていた。ひどい尋問を受けたのか、頬には傷がある。だが、そんな状況にありながら、我が身よりも家族を心配する杏子の言葉を聞いた桜子は、どうにもできない無力感から悲しみに打ちひしがれる。
 笛子には教職よりも結婚を選んでほしいし、杏子は釈放されたとしても良からぬ噂などで当分は満足に仕事ができないだろう・・・、桜子はこの数日間で募ってきた思いを家族に打ち明けることにした。それは音楽の道をあきらめて家族のために働くという一大決心だった。しかし、やっとの思いで東京音楽学校に合格したこともあり、家族の中で桜子の意志に賛成する者はいなかった。
 そして、桜子が一大決心を打ち明けた翌朝のことだった。笛子は冬吾がいなくなっていることに気付く。冬吾は夜遅くに有森家を出て行ってしまったのだった……。


純情きらり 第12週「絆が試されるとき」 第71回 6月23日 (金)

 翌日、杏子が釈放されたという思いがけない知らせが届き、桜子は警察署に駆けつける。
 杏子の釈放には代議士である冬吾の兄が関わっているという。冬吾は上京し、無実の罪で逮捕された杏子を釈放するように、疎遠になっている兄に頭を下げてくれたのだった。
 冬吾のおかげでようやく有森家に杏子が帰り、家族に久しぶりに笑顔がこぼれる。しかし、冬吾はこれを置き土産に "前科がある自分とは結婚しないほうがいい" と笛子に告げて有森家を去ってしまう。
 笛子は冬吾を引き止めようとはしなかった。冬吾と結婚することよりも、家族の生活のために教職を続けていくことを選んだのだった。しかし、それがあまりにも重い決断だったということは桜子にも痛いほどわかる。その夜、桜子は家族のために尽くし続けてきた笛子を思い、ある決心を固める。
 東京に赴いた桜子は、西園寺 (長谷川初範)の屋敷に向かった。そして、西園寺に東京音楽学校の入学を辞退することを告げる。
「姉を幸せにしてあげたい。今度は私が幸せにしてあげる番だ、そう思ったんです」
 桜子は笛子に結婚して幸せになってもらうために、今度は自分が働いて生活を支えようと決めたのだった。まもなく岡崎に帰郷した桜子は女学校に向かい、笛子に入学を辞退したことを伝える。
「笛姉ちゃんは学校をやめて冬吾さんと一緒になって。 お姉ちゃんの今一番大切な人は誰? 一番会いたい人は誰? 一番大切なものをとってよ・・・!」
 桜子はその思いのたけを笛子にぶつけるが・・・、桜子が廊下で見守る中、笛子の授業が始まった。教室では視学官 (大林丈史) が監視しており、政府に否定的な発言があれば、すぐさま厳しい注意を受ける。たとえ素直な感情表現であっても、それが政府の方針を暗に批判するような発言であれば、非国民だなどと咎められ、感情を曲げるように要求される。
 そんな息苦しい授業の中、笛子は「方丈記」の一節を借り、世の中の流れに負けて自分の本心を偽ることがないように、という思いを生徒たちに託す。そして、
「これが私の最後の授業です」
 と、最後に告げる。教え子たちに動揺が広がるが、笛子の言葉に真剣に耳を傾ける。
「どんな世の中になっても、どうか、自分の心だけは裏切らないで下さい・・・」
 桜子は教え子たちとともに、笛子の最後の授業を胸に刻む。


純情きらり 第12週「絆が試されるとき」 第72回 6月24日 (土)

 笛子は教師をやめることを決断した。笛子は桜子の気持ちに心に打たれ、冬吾との結婚を選んだのだった。こうして一週間後、笛子と冬吾の結婚式が身内だけでおこなわれた。
 一方、桜子は亡き父・源一郎 (三浦友和)が遺してくれたピアノを売ることを決意する。勇太郎の学費の足しに、と思っての決断であり、源一郎もわかってくれるはずである。後悔やうしろめたさはない。ピアノは手放すことになるが、源一郎から受け継いだ "家族で助け合って生きるように" という思いは残り続ける。
 その夜、ピアノは業者に引き取られていき、桜子の心に少しずつ寂しさがこみあげてくる。桜子が玄関先でたたずんでいると、ピアノを手放すことを知った達彦が桜子を心配して訪れた。
 後悔だけはしないと心に決め、家族のために音楽家の夢から遠ざかった桜子だったが、やはりつらさは隠せない。桜子はそのつらい心情を初めて達彦に吐露する。達彦もまた、桜子と同じくつらい思いをして音楽家の夢をあきらめた経験から、桜子の心を解きほぐしていく。
「俺だって同じようにきつい思いをしてあきらめたんだ。だからこそ、お前にはあきらめてほしくないんだ。東京に行かないなら行かなくていい。・・・ほいでも、音楽はあきらめるなよ、ピアノを弾き続けてほしいんだ。いつどこで、どんな道が開けるかわからんよ。だってお前、ピアノが好きなんだろ・・・」
 達彦に訊かれ、桜子の口からピアノが好きだという思いが自然と言葉になった。桜子は達彦に肩を抱かれ、その胸で泣き続けた。


次週予告

来週は「私には今しかない」

山長の女将、かねです。
ついに息子の達彦にも召集礼状が届きました。
桜子さんは入営間近の達彦との結婚を考え始め、達彦もまた、私の気持ちとは裏腹に断ち難い桜子さんへの想いを募らせていきます。
一人息子のしあわせのために、私がしてあげられることは……。
純情きらり、来週もお楽しみに。


純情きらり 第12週「絆が試されるとき」 今週からの出演者とゲスト

キク二宮弘子
ヨシ花原照子
しずえ恩田恵美子
視学官大林丈史
校長野村信次
刑事大関正義
警官天田暦
女学生石川由依
* (ピアノ業者)古川健


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