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純情きらり 第9週「今宵、君と踊ろう」

 戦争の影が桜子 (宮崎あおい)の周囲にいる芸術家たちに影響を及ぼし始める。
 桜子は西園寺 (長谷川初範)が軍歌の作曲を巡って東京音楽学校に辞表を提出したことにショックを受ける。桜子は西園寺の辞表撤回を求めて、署名活動に奔走する。
 そんな矢先、達彦 (福士誠治)の父・拓司 (村田雄浩)を病魔が襲い、危篤の知らせを受けた達彦は岡崎に帰郷する。


純情きらり 第9週「今宵、君と踊ろう」 第49回 5月29日 (月)

 かね (戸田恵子)がマロニエ荘を突然訪れ、瀟洒な洋館に住んでいると嘘をついていた達彦 (福士誠治)は戦々恐々とする。こっそり出かけようとしたところを運悪く見つかってしまい、洋館の詮索は後回しにかねもご挨拶にと西園寺 (長谷川初範)の屋敷についていくことになった。
 ところが、このかねの訪問を西園寺は達彦のドイツ演奏旅行の了承だと勘違い。達彦が察していた通り、かねはドイツ行きに許可を出すわけはなく、その場で西園寺に直接断りを出してしまう。
 桜子 (宮崎あおい)と同じ屋根の下に住んでいることだけは知られてはならない、そう思った達彦は桜子に絶対にかねに見つからないように釘を刺す。そして、その夜、マロニエ荘では正装した八州治 (相島一之)が一芝居打ってマロニエ荘を如何にも伝統あってのオンボロ寮かのように振る舞い、虎をオリに入れるが如く、かねを達彦の部屋に追い込むことに成功する。が、ただ一人、達彦に思いを寄せるハツ美 (たくませいこ)だけはかねに気に入られようと鼻息荒く達彦の部屋に乗り込んでいく。
 しかし、達彦の男女の仲にはうるさいかね。将来のお近づきにと猛烈にアピールするハツ美に次第に表情が険しくなっていき、達彦はもう勘弁とばかりにハツ美を部屋から追い出そうとする。
 だが、その時、桜子はよせばいいのに住人とそろって串団子のように引き戸に聞き耳を立てていた。ガラッと戸が開いた瞬間、桜子はつんのめって部屋に倒れ込む。
「桜子さん!!」
 すべては後の祭り、宿敵のかねに見つかってしまった。


純情きらり 第9週「今宵、君と踊ろう」 第50回 5月30日 (火)

 かねは桜子が達彦をマロニエ荘に連れ込んだと思い込み、桜子に掴みかかる。しかし、達彦は桜子のことが好きでマロニエ荘に引っ越してきたと告げる。その夜、かねは達彦に苦しい味噌蔵の現状を漏らす。いずれ国家総動員法によって味噌づくりに国の許可が要るようになり、さらに味噌職人に赤紙が送られ始めた今、出征によって職人が減っていけば味噌蔵の行く末はどうなることか。達彦はかねの小さくなった背中を見て言葉をつまらせる。
 しかし、一時は弱気に見えたかねだが、達彦をとっとと岡崎に強制送還させようと最初から考えており、達彦が翌朝目を覚ますと部屋中の荷物がすべて大八車に積まれていた。そんな横暴過ぎるかねのやり方を桜子が止めに入る中、突然、達彦の父・拓司 (村田雄浩)が酔心地で芸妓の梅奴 (岡本易代) を連れて現れ、かねの怒りの矛先が拓司に向けられる。かねの怒りに気圧されて酔いが醒めた拓司だったが、達彦のドイツ行きについて知るといつになく毅然とした態度で "ここは男親の出番だ" 、そう言ってかねを岡崎に帰す。
 達彦のことを気にかける桜子は二人きりで出て行った拓司と達彦のあとをついていき、そこで拓司の少年時代の夢の話を聞く。水の上に小船を浮かべて遊ぶ子供たちのとなりに座った拓司は、回想するように、"船乗りになりたかったが、船酔いがひどくて夢をあきらめざるを得なかった" という経験を語り始める。
「達彦、おまえにはあきらめてほしいない・・・」
 拓司は自分自身の苦い思い出から達彦には音楽家への夢を突き進んでほしいと告げ、かねの理解も得るように働きかけてみると約束する。達彦は父の思いに深く感銘する。そして、桜子もそんな拓司をいつも支えてくれた亡き父・源一郎 (三浦友和)と重ね合わせる。
 ついに達彦にドイツ行きへの大きな希望が芽生えた。が、その矢先、思わぬ障害が立ちはだかる。


純情きらり 第9週「今宵、君と踊ろう」 第51回 5月31日 (水)

 達彦にドイツ行きの許可が下りたことを知らせに西園寺の屋敷へと向かった二人だったが、西園寺が東京音楽学校に辞表を提出したという話を聞いてショックを受ける。西園寺は軍部から軍歌の作曲を依頼されて一度は引き受けたが、曲が軟弱で勇壮さが足りないと再度作曲を命じられ、軍部からの依頼を断れば学校に迷惑がかかると思い、自ら学校を退くことを決めたのだという。
 そして、ちょうどその頃、マロニエ荘の冬吾 (西島秀俊)にも転機が。冬吾の作品が有名な絵画賞を受賞したことを受け、冬吾に戦地の絵を描きに行かないかという仕事の依頼が訪れたのだった。しかし、神田川出版からその仕事の依頼に来た薫子 (松本まりか)に、冬吾は "人間の死骸を描く仕事は受けない" ときっぱり断る。
 一部始終を見ていた桜子は薫子に率直な疑問をぶつけた。薫子は以前は反戦を支持していたはず。その彼女が出版社の命とはいえ、戦争に携わる仕事をしている。しかし、薫子は戦争が始まった今となっては少数の運動など無意味だということを自覚していた。そして、いずれ小説家になるためにも出版社で地盤を築いたほうが自分のためにもなると考え、反戦への思いを改めたのだった。
「それに、日本が勝って早く戦争が終われば、兄も早く戻ってくるでしょう・・・?」
 桜子は薫子の兄が出征したことを思い出し、戦争の影を改めて身近に感じる。そして、桜子の周りでもダンスホール「ニューオリンズ」がとうとう閉鎖になってしまった。
 その夜、八州治が浮かれた調子でマロニエ荘に帰ってきた。神田川出版に絵を売り込み、冬吾が断った戦地の絵描きの仕事を貰ってきたという。しかし、冬吾は「好きにすればいい」と浮かれる八州治を突き放す。一触即発、八州治はそんな冬吾の見下した態度が気に入らないと本音をぶちまける。さらに報酬の高い仕事を簡単に断り、金に切迫しないのは裕福な実家のおかげだ、と八州治が冬吾の実家について言い及ぶと、冬吾はその言葉にカッとなり、縁を切った実家のことは話すなと怒号する。二人は互いにつかみ合いのケンカになり、その関係にしこりを残す。
 翌日から桜子と達彦は西園寺の辞表撤回を求めて署名活動を始めた。すると、そこへサックス奏者の秋山 (半海一晃)が現れ、西園寺の辞表提出を知ると積極的に署名に参加するという。ところが、西園寺に声をかけられると、秋山はスタスタと逃げるようにその場を去っていく。実は25年前、秋山は少年音楽隊にいた頃に西園寺から才能を見抜かれ、上京するための資金と当面の生活費を渡されたことがあったが、それっきり連絡もせず現在に至っていたのだった。しかし、西園寺は秋山を咎めたりはせず、音楽家になっていることを心から喜んだ。そして、
「・・・僕は軍歌を書きます。僕が一番責任を感じているのは、君たちのように私を慕ってくれる生徒たちに対してなんです。君たちを見捨てるわけにはいきませんから」
 西園寺は教え子たちの気持ちに心を打たれ、再び軍歌を書くことを決意する。


純情きらり 第9週「今宵、君と踊ろう」 第52回 6月1日 (木)

 夜、マロニエ荘では冬吾が桜子たちに対して、八州治への本音をこぼしていた。描きたくない絵を描くと心がすさむ・・・、冬吾は誰かに命令されて描く絵にろくなものはないと話し、八州治が束縛された状況で絵を描くことに耐えられるのかと誰よりも気にかけていた。それを聞き、ちょうど桜子にも一人の人物が思い当たった。
 その人、西園寺は翌日、軍部の命令通りに曲を仕上げ、軍人たちのまえで完成した曲「皇國ノ民」を演奏しようとしていた。しかし、軍人たちによる抑圧的な状況に取り乱した西園寺は鍵盤に手を置くことも出来ず、部屋を出て行ってしまう。その頃、桜子は秋山に教え子の一人として西園寺に会ってほしいと頼んでいたが、駆けつけた達彦によって西園寺が深刻な事態に陥っていることを知る。
 桜子と達彦がやって来た時には、西園寺はすっかりパニックになり、「日本には居られない!」と荷物をまとめて上海に脱出しようとしていた。しかし、そこへ秋山が現れ、西園寺の代わりに「皇國ノ民」をサックスで演奏し、西園寺の窮地を救う。軍人たちはその曲に感嘆し、賞賛の拍手を送る。だが、秋山は西園寺と対面することさえ申し訳なく思い、ゆっくりと話をすることもなく足早に帰っていく。
 数日後、桜子の提案で絵を描きに戦地に赴く八州治のために壮行会が催されていた。桜子の働きかけもあり、冬吾は八州治と和解し、マロニエ荘には西園寺と助手の松尾 (村杉蝉之介)や、薫子と若槻彰 (河合龍之介)という同僚の記者も訪れて、にぎやかなパーティになる。そして、もう一人、秋山も姿を見せ、西園寺に土下座をして過去の無礼を詫びる。西園寺の辞職騒動も収まり、達彦のドイツ行きの希望も大きくふくらみ、さらに達彦への失恋から立ち直れずにいたハツ美も長身で色男の若槻の登場によって失恋のショックから解放され、それぞれが胸のつかえがとれたように笑顔で踊りながら一夜を過ごす。
 桜子はしあわせだった。まさかこの時が大切な人たちとの最後の集い、最後のしあわせになるとは夢にも思っていなかった。
 翌日、達彦のもとに一通の電報が届く。それを読んだ達彦は……。


純情きらり 第9週「今宵、君と踊ろう」 第53回 6月2日 (金)

 電報によって父の危篤を知った達彦は桜子とゆっくり話をする暇もなく、岡崎に帰っていく。
 そして次の日には、青森訛りの女 (= 御崎しま子 / 光浦靖子)が冬吾はいないかとマロニエ荘を訪れ、冬吾は女の容姿について「眼鏡をかけた四角い顔の女か」と確認すると、ここにはいられないと言い残してマロニエ荘を出て行ってしまう。戦地に行った八州治、そして帰省したハツ美と一人抜け二人抜け、マロニエ荘はすっかり寂しくなる。
 岡崎に急いで帰った達彦は、病に倒れた拓司を目の前に悲しみをこらえる。達彦の跡継ぎの問題が間近に迫る中、達彦は職人頭の仙吉 (塩見三省)たちの会話から経営があまり芳しくないことを知る。幼なじみの味噌職人・キヨシ (井坂俊哉)からは、拓司は本当は達彦に跡を継いでほしいと思っているはずだと言われ、心が揺れる達彦だったが、夢をあきらめてほしくないという拓司の言葉を思い出し、迷いを振り切るようにピアノを奏でる。
「父さんは応援してくれたんだ。お前はあきらめるなって、言ってくれたんだ」
 達彦の行動を不謹慎だとかねが止めに入ったその時だった。野木山 (徳井優)が拓司の容態が急変したことを知らせにやって来た。
・・・病床、拓司はうっすらと目を開け、達彦はその手を握った。ふと、達彦は拓司の口唇の動きに気付く。
「父さん、何だ、何が言いたいんだ・・・!」
 達彦は懸命に問いかける。拓司は達彦に必死に何かを伝えようとしているが……。
 その頃、岡崎に帰郷した桜子の足は自然と山長に向かっていた。桜子が山長の手前まで差し掛かった頃、丁度、店から達彦が現れ、ずっと会いたいと思っていた桜子は達彦に歩み寄る。だが、今の達彦には桜子の言葉は遠くに感じる。"ちょっと黙っててくれ!" という声が桜子の言葉を遮った。
「帰ってくれないか、今、君と話してる余裕ないんだ・・・、ごめん」
 桜子は軽率に声をかけてしまったことに気付かなかった。募る思いは挫かれ、知らず知らずのうちに涙が流れていた。


純情きらり 第9週「今宵、君と踊ろう」 第54回 6月3日 (土)

 拓司が息を引き取り、女将のかね、そして職人達は嗚咽を漏らして悲しみに暮れる。ただ、達彦だけは瞬きもせず、その最期をじっと見つめていた。
 翌日、達彦は職人頭の仙吉から数冊のノートを手渡される。それは達彦が夢に破れて戻ってきた時の為にと味噌作りの方法など「山長」にまつわる知識を拓司が書きためたノートだった。もしも刀折れ、矢尽きて岡崎に舞い戻って来た時には、どうかあたたかく迎えてやってほしい・・・、拓司は仙吉にそんな言葉を遺していた。
 部屋に戻った達彦はノートのページをめくりながら、拓司の思いを噛み締めていた。達彦の心に拓司が臨終の際、何かを伝えようとしていた光景がよみがえる。
「父さん、何が言いたかったんだ。・・・俺に店、継いでほしかったのか・・・?」
 拓司の遺志にふれたその瞬間、達彦は慟哭した。そして、止め処なく涙が流れ落ちていった。
 その夜、拓司の通夜に有森家の家族が弔問に訪れるが、桜子だけはかねから山長の敷居を跨ぐことを拒まれる。かねの言い分では、桜子がたぶらかしたせいで達彦が音楽家を目指し、その心労によって拓司は病に倒れたという。
 まもなく有森家の面々にも桜子と達彦の仲が知るところとなり、やはり笛子 (寺島しのぶ)たちからは "住む世界が違う" と経済的な立場の違いを突かれるが、桜子は音楽の道を歩む者同志として達彦を支えてあげたいと話す。桜子は達彦が音楽家になるという夢を捨てないことを信じて疑わなかった。
・・・拓司の葬儀から数日後のことだった。達彦が有森家を訪れ、桜子に話があると切り出す。
 二人の間で何かが変わろうとしていた。


次週予告

来週は「夏の日の別れ」

「山長」の職人、キヨシです。
達彦坊ちゃんは音楽の道をあきらめ、店を継ぐ決心をします。
一緒にピアノの練習をしてきた桜ちゃんは大ショックですが、俺には絶好のチャンス。
一方、有森家には画家の冬吾さんが転がり込み、何だか荒れ模様。
ついに笛子さんの怒りが爆発します。
純情きらり、お楽しみに。


純情きらり 第9週「今宵、君と踊ろう」 今週からの出演者とゲスト

御崎しま子光浦靖子
若槻彰河合龍之介

* (記者)いんげん
* (記者)枝光利雄
北野恒安
田中弘貴
高田恵篤
新藤医師山瀬秀雄
看護婦鈴木ちさ


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