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純情きらり 第13週「私には今しかない」

 桜子 (宮崎あおい)は東京音楽学校の入学を辞退し、岡崎で働き始めた。
 達彦 (福士誠治)はそんな桜子を見て、桜子が再び音楽を続けられるように生活を支えたいと思うようになる。達彦は桜子に結婚を申し込むが、達彦と結婚するということは伝統ある「山長」の女将になるということである。桜子は結婚に踏み出せない。
 そんな折、達彦に召集令状が届く。桜子は強い衝撃と悲しみを覚えるが、達彦のプロポーズを受けることを決意、その思いを達彦に伝えに行く。だが、達彦は戦場で倒れた時のことを思い、結婚の話を白紙に戻そうとする。


純情きらり 第13週「私には今しかない」 第73回 6月26日 (月)

 桜子 (宮崎あおい)が東京音楽学校の入学を辞退してから1年後の1940年 (昭和15年) 、夏。
 この時代、町のあちこちでは、出征兵士に渡して無事を祈る "千人針" の光景が見られるようになっていた。
 桜子は昼は喫茶「マルセイユ」で女給として働き、夜は杏子 (井川遥)とともに洋裁の下請け内職をし、勇太郎 (松澤傑)の学費や家族の生活費を稼ぐために忙しい日々を送っている。そして、マルセイユにたびたび訪れる達彦 (福士誠治)と会えることを楽しみにしている。達彦もまた、働き始めた桜子のことを気にかけながら逢い引きを続けている。
 達彦はかね (戸田恵子)から縁談をしばしば持ちかけられているが、断り続けている。ある日、縁談を断り続ける理由をかねに訊かれ、達彦は思い立ったように宣言した。
「俺、有森桜子と結婚する」
 突然の結婚宣言。達彦は桜子がピアノを続けられるためには、財閥の当主である自分が桜子と結婚し、経済的に重荷を背負っている現在の状態から解き放つことが最善の策だと思ったのだ。かねは猛反対するが、何よりも桜子の気持ちを確かめることが大切だと思った達彦は、桜子が働くマルセイユを訪ねることにした。
 一方、かねはキヨシ (井坂俊哉)とともに有森家を訪れていた。達彦と桜子の関係を好ましく思わないかねは、キヨシが桜子に思いを寄せていることを知り、キヨシと桜子を縁談で引き合わせようとしていたのだった。


純情きらり 第13週「私には今しかない」 第74回 6月27日 (火)

 達彦は桜子の気持ちを確かめるためにマルセイユを訪れたが、結局、言い出すことができなかった。
 桜子が有森家に帰ってくると、かねが縁談の話の真っ最中である。しかし、桜子には縁談を受ける気はない。
 桜子の本心を聞き、キヨシは潔く身を引いて帰ろうとするが、桜子の意中の人物について達彦のことだと言い及んだのが災いのタネ、かねの怒りに火をつけてしまう。
 かねは家柄の違いから、桜子と達彦は身分が違うとキッパリと言い放つ。そして、無職の冬吾 (西島秀俊)と結婚した笛子 (寺島しのぶ)や前科者の杏子などと露骨に有森家の姉妹を非難する。
 世話になった山長の女将といえども、家族を罵倒され、徳治郎 (八名信夫)は黙っていられない。徳治郎はかねを追い返し、むかっ腹を抑えながら帰っていく。磯 (室井滋)も同じく腹の虫がおさまらない。しかし、笛子のむかつきは少し種類が違うようで・・・、笛子は突然、吐き気をもよおす。それは、つわりだった。なんと、笛子は冬吾の子供を身ごもっていたのだった。有森家は一転して祝福の声に包まれる。
 桜子は祝福される笛子を見て、反対されるのではなく、やはり祝福を受けて好きな人と一緒になるべきだと思い始める。さらに、夢のために達彦からの結婚の誘いを断ったにも関わらず、夢をあきらめた今になって達彦を好きだとは都合のいい話、と自分を責める。
 その翌日、桜子は達彦に呼び出され、神社に向かった。そして、思いがけないプロポーズを受ける。
「俺、お前のことが好きなんだ。だから、一緒になってほしい」
 "でも・・・"、桜子は戸惑う。そして、昨夜も感じた胸の内を話そうとするが、達彦は桜子の気持ちを察するようにして言った。
「お袋は反対すると思う。だけど、お前のことは俺が守る。俺のそばで音楽の勉強を続けてほしい。お袋のことは何とか説得するから、考えといてほしい」
 達彦にそう言われ、桜子は返事を保留する形となった。
 実は、このプロポーズの背景にはキヨシの後押しがあった。キヨシは思いを寄せあう桜子と達彦が一緒になることが一番だと考え、達彦に桜子との結婚について、かねに理解を求めてみたらどうかと訴えたのだった。
 そして、プロポーズの後、山長に帰ってきた達彦がかねに「大事な話がある」と切り出そうとした時だった。軍部の男、兵事係 (池浪玄八) が達彦を訪ねてあらわれた。兵事係は「おめでとうございます」と達彦に一通の封筒を手渡して言った。
「召集令状です」
・・・!、封筒の中から現れた紙を目にして、達彦の瞳が戸惑うように揺れた。
 その直後、マルセイユに出かけようとする桜子のもとにキヨシが息を切らせて駆けつけた。
「大将に赤紙が来た・・・!」
 それを知った桜子は……。


純情きらり 第13週「私には今しかない」 第75回 6月28日 (水)

 桜子は愕然とするが、すぐにその足は達彦のもとに向かっていた。
「達彦さんに赤紙が来たって聞いて、私、自分には何よりも今、達彦さんが大切なんだってわかった。時間を無駄にしたくない。達彦さん、私をお嫁さんにしてください」
 しかし、桜子の言葉もむなしく、達彦は結婚できないと言う。そして、召集令状を受けて事情が変わり、山長の勝手を知る又従兄弟の娘と結婚することになったと桜子に告げる。
 桜子はショックを受けるが、それを受け入れ、達彦の無事を祈って千人針を集めることが自分にできる唯一のことだと思い、翌日から街角に立つことにした。
 一方、かねは息子に訪れた突然の召集の知らせに戸惑っていた。何か達彦のためにできることはないか、そう思っていた矢先、達彦の心に桜子への思いが強く残っていることに気付く。
 そして、翌日のよく晴れた日中のこと。仕事に精をだす達彦のところにキヨシがやって来た。キヨシは達彦が桜子を捨て、又従兄弟の娘と結婚しようとしていることに憤慨し、達彦に真偽を問い正しに来たのだった。しかし、達彦は冷淡にその通りだと受け答えする。とうとうキヨシは腹にすえかねて達彦に殴りかかる。と、その時、達彦がキヨシを振り払うようにして言った。
「俺は結婚なんかしんよ!そういうことにしとかんと、有森が納得しらへんと思ったからそう言っただけだ。今、結婚なんかしたらどうなる?俺が行ったあと、あいつはこの店に縛られることになるだらが。あいつの音楽への夢を摘むようなことは俺はしたくない。・・・それに、戦争に行くっちゅうことは、まかり間違えば死ぬかもしれんのだ。お前だって、もし俺と同じ立場なら好きな娘を未亡人にさせたくないだろ」
 達彦の本心がそこにあった。騒ぎを聞いて駆けつけたかねは、そこで達彦の秘められた思いを知る。
 そして、物思いに耽りながら神社の前を通りかかったかねは、目の前の光景に思わず立ち止まる。桜子が達彦のための千人針を道行く人々に求めていたのだった。
 かねはその光景を見つめながら自分の中に芽生えた気持ちに確信を覚え始めていた。


純情きらり 第13週「私には今しかない」 第76回 6月29日 (木)

 かねが帰宅すると、達彦がすべてを忘れるかのようにピアノに没入していた。
「こんなことになるなんて、あんたの好きなこと、もっとやらせてやれば良かった・・・」
「やらせてくれたよ。東京に行かせてくれたじゃないか。夢のようだったよ」
 泣き濡れるかねに達彦ははっきりとした口調でそう答えた。
 外はさっきまでの晴天が嘘のように激しい雨が降っている。しかし、人通りがぱったり途絶えても、桜子はまだそこに立っていた。かねは桜子のまえに歩み寄った。
「桜子さん、お願いがあるんだけど・・・、達彦と一緒になっておくれるか・・・」
 そして……。
 突然、桜子と有森家を訪れたかねに有森家の面々は目を丸くする。しかし、徳治郎は腹の虫がおさまらない。かねは先日の無礼を詫びる。
 達彦にしてやれることは好きな人と一緒にさせることだ、そうすれば、何としてでも妻のために戦争から生きて還ってくるはず。そう思ったかねは、誠心誠意をもって桜子と達彦の結婚を承諾してほしいと頭を下げる。その思いを黙って聞いていた桜子は答えた。
「私は達彦さんと一緒になりたいです」
「ありがとう・・・」
 やがて雨がやんだ頃、桜子は千人針を縫い上げ、かねに届けることにした。達彦は互いの気持ちが揺らぐことを恐れてやはり桜子とは会わないという。桜子はその思いを理解して、達彦の無事を願って家路に着く。
 そして、達彦と会えないまま数日が経った。ある日、有森家に思いがけない贈り物が届く。なんと、それは売ったはずのピアノだった。亡き父・源一郎 (三浦友和)が遺してくれたピアノ・・・、贈り主は達彦である。
「音楽にかける夢だけは捨てないで下さい。いつどこにいても、たとえ遠い戦地にいても、君がどこかでピアノを弾いている。そう思えることが僕の支えです」
 達彦からの手紙を読んだ桜子は感涙する。
 そして、入営を2日後に控えたある日、達彦が有森家を訪れる。有森家の一同は達彦の無事を願い、ささやかなピアノ演奏会に達彦を招待したのだった。
 桜子は純白の衣裳を身にまとい、達彦を迎える……。


純情きらり 第13週「私には今しかない」 第77回 6月30日 (金)

 ささやかなピアノ演奏会がはじまった。やがて、達彦も桜子に並んで連弾をはじめ、幸せなひとときが流れていく。
 そこへかねも訪れ、正装している有森家の面々に目を丸くするが、その時、達彦が思い立ったように言った。
「みんなに囲まれて、有森が隣にいて、何とも言えん気持ちになった。この人たちと、家族になりたくなった。・・・俺が帰るまで、待っとってくれないか。帰ってきたら、一緒になってくれ」
 桜子も頷く。二人はこの時、将来を誓いあった。
 その夜、桜子と達彦は川べりで二人きりの時間を過ごしていた。最後の線香花火が消え、沈黙が訪れる。と、桜子がブラウスのボタンに手をかけ、一つずつ外し始める。
「私には今しかないの。今の私の全部を達彦さんにあげたい。私をもらってください」
 そうつぶやく桜子に達彦は口づけで返す。
「俺は生きて帰る。約束する・・・」
 二人はそのまま静かに抱き合った。
 そして、達彦が豊橋の連隊に入営する日、街頭では大勢の民衆のまえで、出発の挨拶をする達彦の姿があった。二人はほんの少しの間、視線が触れあったのを最後に、言葉を交わすこともなく別れた。
「なんだか立派すぎて達彦さんじゃないようだった。兵隊にとられるっちゅうのはああいうことなんだね。立派な服を着て、立派なこと言って・・・」
 ふと、桜子の心に達彦と過ごした日々が思い出される。そして思う。達彦は手の届かないところへ行ってしまうのだ、と。


純情きらり 第13週「私には今しかない」 第78回 7月1日 (土)

 有森家にかねが訪れたのは、達彦が入営してから数日後のことだった。
 桜子はかねに手を引かれ、誘われるままに山長の大広間に通される。すると、なんと、味噌職人たちがぞろりと座っているではないか。そして、かねは "うちの若女将です" と桜子を紹介する。
 突然の出来事に桜子は慌てるが、こうなればすっかりかねのペース。桜子に女将の教育を叩き込むために、タミ (阿知波悟美)という教育係まで呼び寄せていた。味噌料理ではタミの右に出る者はいないという。そして、桜子は気持ちを整理する間もなく、タミに指導を受けながら厨房の仕事を手伝うことになった。
 厨房で一通りの仕事が終わると、今度は味噌蔵の紹介である。桜子にとっては味噌桶に転落したこともある思い出の味噌蔵である。
 職人頭の仙吉 (塩見三省)によれば、旨味を大切にするために他の味噌屋よりも熟成に時間をかけているのだという。ただし、八丁味噌は贅沢品だと政府からにらまれており、政府の方針次第で今後の経営が暗礁に乗り上げる恐れもあるらしい。
 一方、かねの横暴な態度に気付いた磯は、山長に駆けつける。すると、桜子が今まさに掃除にこき使われているところだった。磯は桜子を連れて帰ろうとするが、かねはただ根性を試しただけだと言う。そして、 "この程度で逃げ出すとは意気地なし" などと、かねが吐き捨てた言葉が桜子の癇にさわる。
「わたしの見込み違いだったわ。あ~あ、達彦もつまらん娘に惚れたもんだ」
 すると、桜子がついにかねの挑発に乗ってしまう。
「わかりました。受けてたちます。・・・ やってやろうじゃん、味噌屋の修行・・・!」
 桜子の若女将修行の幕開けだった。


次週予告

来週は「若女将の試練」

達彦です。
有森は母とおタミの特訓に耐え、女将修行を続けますが、店の者を敵に回してしまいます。
そのうえ、山長の命運を賭けた大切な客をもてなす料理をつくることになります。
そして、母とおタミの間には、18年前の隠された出来事があったのです。
純情きらり、来週もお楽しみに。


純情きらり 第13週「私には今しかない」 今週からの出演者とゲスト

吉村タミ阿知波悟美

兵事係池浪玄八
女客秋桜子
歌唱浅井隆仁
平助佐藤祐一
男A古川健
男B佐藤博秋
町長神山寛
お清福田らん
お由美柳下季里


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