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純情きらり 第7週「貧乏なんか怖くない」

 東京音楽学校の受験に失敗した桜子 (宮崎あおい)。次こそ合格を目指して、西園寺 (長谷川初範)のピアノ・レッスンを受けることになった。しかし、貧乏であることを財閥の令嬢たちから嘲笑され、なかなかピアノも上達しない。そんな折、冬吾 (西島秀俊)が辛そうな桜子を見かねて息抜きにダンスホール「ニューオリンズ」に連れ出し、桜子はジャズ・バンドの生演奏に衝撃を受ける。
 一方、達彦 (福士誠治)は桜子が世間から偏見があるダンスホールに通うようになったことを知る。桜子がマロニエ荘の住人から悪影響を受けていると思いこんで桜子を引き離そうとする達彦。だが、マロニエ荘の住人と絆を深めつつある桜子から拒絶されてしまい、気がかりで仕方ない達彦は桜子を見守るためにマロニエ荘に引越すことを決める。
 そんな中、桜子はマロニエ荘の住人、マリ (椋木美羽)が好きでもない男の愛人になろうとしていることを知る。


純情きらり 第7週「貧乏なんか怖くない」 第37回 5月15日 (月)

 桜子 (宮崎あおい)磯 (室井滋)の援助を借りて西園寺 (長谷川初範)のピアノ・レッスンを受けられることになり、毎日の掃除を条件に安い家賃でマロニエ荘に住み始めた。しかし、レッスン初日から幼い子供が弾く西園寺の演奏と聴き間違えるほどの美しいピアノの調べに圧倒され、東京という場所のレベルの高さを痛感する。さらに、幼い頃から西園寺に英才教育を受けてきた岩見沢るり子 (初音映莉子)ら財閥の令嬢たちは、実力と生活環境の違いから桜子を暗に見下す態度をとる。
 レッスンが始まり、桜子は "心に沁みる曲" を西園寺からリクエストされるが、ピアノの演奏中に西園寺はうたた寝をしてしまい、特に指導を受けられぬまま初日のレッスンを終えた。
 と、そこへ東京音楽学校に入学した達彦 (福士誠治)が西園寺に連絡ごとを知らせに訪れ、桜子は達彦と一ヶ月ぶりに再会する。達彦は桜子が仕送りもなしに音楽修行の日々をおくり、さらにあのマロニエ荘で生活していると聞いて驚く。桜子は親切にしてもらっているマロニエ荘の住人を達彦から "あんな連中" などと侮辱されたことが癪にさわり、財閥育ちで金に困ることがない達彦に対して「達彦さんとは違う」と突き放す態度をとってしまう。
 桜子が定食屋の仕事と音楽修行を両立する生活を始めてそれから数日が経った。父・源一郎 (三浦友和)の一周忌が間近に迫っており、桜子は一周忌には帰るつもりでいる。そんなある日、桜子が働く定食屋に達彦がるり子をつれて訪れた。るり子は桜子に話があると言い、単刀直入に切り込む。
「西園寺塾、お辞めになってくださらない?」
 思いがけない言葉に達彦もあっけにとられる。桜子は確かに技術の未熟さは自覚している。しかし、それ以前に問題があるという。こんな古びた定食屋で働くほど金に困っている人間が、西園寺の最高の教育を受けても無駄だというのだ。るり子は最後に言い放った。
「はっきり言うわ、貧乏人は音楽家にはなれないの」


純情きらり 第7週「貧乏なんか怖くない」 第38回 5月16日 (火)

 桜子は達彦の母・かね (戸田恵子)にも同じようなことを言われたことがある。安月給取りの娘が音楽学校などと笑わせるな、と。
「ほいでも私、負けんから。何の苦労もしんで、勉強だけしとるような人には絶対負けん」
 桜子はそれから連日連夜、るり子に負けたくない一心で働きながらピアノの練習に励む。しかし、西園寺からは面白味も色気もない演奏だと指摘され、マロニエ荘ではマリ (椋木美羽)から "才能がないくせに芸術家を気取るな" と悪し様に言われる。マリに言わせれば、好きな道で食べていけるのは一握りの人間で、あとはみんなゴミだという。
 翌日、桜子が働く定食屋に達彦が訪れた。達彦は親戚の下宿で何不自由なく暮らしているに違いない。桜子は何かと反発的な物言いになってしまう。達彦は源一郎の一周忌にふれ、帰らないのかと問いかけるが、桜子は帰らないと言う。実は昨日、笛子 (寺島しのぶ)から一周忌には帰らなくていいという手紙が届いたのだった。さらに磯の援助を笛子に知られてしまい、稽古代はもう送らせないという。
 度重なる逆風に、桜子はすっかり憔悴してしまう。冬吾 (西島秀俊)は弱気になっている桜子の様子を見かねて、ある場所へ連れて行くことにした。そこはダンスホール「ニューオリンズ」という大人の社交場、ホールに足を踏み入れた桜子を待っていたのは勇壮なジャズ・バンドの生演奏、そして演奏曲は父との思い出の曲「セントルイス・ブルース」だった。
・・・ 桜子は父の言葉を思い出していた。
「ジャズっていうのは、人を元気にする力があるんだな。この曲はお父さんの宝物なんだ」
 ピアノのレッスンはうまくいかず、笛子には縁を切られ、傷ついた心……。
「セントルイス・ブルース」はそんな桜子をやさしく包んでくれたのだった。


純情きらり 第7週「貧乏なんか怖くない」 第39回 5月17日 (水)

 東京に来て良かった、桜子は心からそう思った。そして、ダンスホールに連れてきてくれたことを冬吾に感謝した。このダンスホールではマリがダンサーとして働いていたほか、東京音楽学校の最終試験の日に公園でサックスを吹いていた男もいた。彼は秋山均 (半海一晃)という人気のあるアルトサックス奏者で、無愛想な性格ながらも桜子のことを覚えてくれていた。
 再びジャズによって明るさを取り戻した桜子だったが、その一方で気がかりなことがある。マリが好きでもない男から愛人にならないかと口説かれ、ダンサーをやめようとしているという。客がつかなければ一銭も収入が得られないダンサーの世界で、マリはもう盛時を越えて客がつかず半ばやけになっていた。マリは金のために好きな道を捨てようとしているのである。
 桜子は皆でチケットを買ってマリを励まそうと八州治 (相島一之)たちに提案するが、今回ばかりは事の成り行きを見守ろうとしているようで、あれこれと手を出さない姿勢らしい。桜子は周囲の人間にかけあってみるが、"ダンスホール" という一語を出した途端に怪訝な表情を浮かべられてしまう。当時、男女が腕を組むのもはばかられる時代に、ダンスホールをいかがわしい場所ととらえる人も多かったのだ。
 それは達彦も例外ではなく・・・、その夜、達彦は父の一周忌に帰らないという桜子を心配し、岡崎行きの切符を渡すためにマロニエ荘を訪ねるが、ハツ美 (たくませいこ)から "桜子がダンスホールを時々のぞきに行っている" と聞かされて驚倒する。
 その頃、桜子はダンスホールの受付にいた。桜子は少ない生活費をはたいて高額なダンスチケットを買い、マリのもとに歩み寄るが、マリは「憐れんでるの?」という一言とともに、桜子をにらんでチケットをはたき落としてしまう……。


純情きらり 第7週「貧乏なんか怖くない」 第40回 5月18日 (木)

 一方、達彦は桜子の行動が気になって仕方ない。
 達彦は桜子がダンスホールに通っていることを知ると、桜子がマロニエ荘の住人から悪い影響を受けていると思い、桜子を連れ戻すためにダンスホールに駆けつける。すると、桜子はチケットを拾った男性ダンサーと手を取り合い踊っている真っ最中だった。達彦は桜子とダンサーを引き離し、マロニエ荘の連中のもとを去れと訴えかけるが、彼らを友だちだと言う桜子からきっぱり拒絶される。
 翌朝、桜子のもとに一通の郵便が届く。事情を知った杏子 (井川遥)勇太郎 (松澤傑)からの激励のハガキだった。鬼に見立てた滑稽な笛子の似顔絵も描いてあり、八州治たちとその話題で盛り上がっていると、マリが話を遮るように間に割り込んでルビーの指環を見せつける。それは例の男からのプレゼントで、今週にはダンサーを引退して男の屋敷で養われようと考えているらしい。
「その男に世話されて、おめえ嬉しいのか?」
 冬吾が問いかけると、マリは貧乏暮らしなどまっぴらと悪態をついて部屋に戻っていく。
 桜子がマリの部屋のまえでドアをノックしようかしまいかとためらっていると、冬吾がやって来て桜子に声をかける。マリは母を亡くした後、継母にいじめられて13歳で家を飛び出したという。桜子には心配して便りまで送ってくれる家族がいるが・・・、対照的にマリは孤独だった。
 その夜、マロニエ荘には思いがけない人物が引っ越してきた。
 桜子がマロニエ荘に帰ってくると、玄関前に大きな台車があり、中ではあの達彦が部屋に荷物を運んでいる。つい昨日、達彦はダンスホールでマロニエ荘の住人を痛烈に非難したばかりである。桜子は達彦がマロニエ荘に住むことを絶対に嫌だと反対するが、達彦は言った。
「だから俺がここに来たのはお前がおるからだよ!」
 一瞬の気まずい沈黙。
 達彦は空気が変わったのを察して、同郷の人間として見ていられないから、と慌てて理由を添えた。


純情きらり 第7週「貧乏なんか怖くない」 第41回 5月19日 (金)

 マロニエ荘に引っ越してきた達彦だったが、桜子とは些細なことで口ゲンカになり、さらには「脱いでけれ」という冬吾の一言ですんなりヌードになってしまう八重 (原千晶)や夜は夜で酒を飲みながら花札に熱中する八州治たちにやはり馴染めない。そしてマリは人目をはばからずに男と別れのキスを交わし、店をやめて男のもとに行くなどと住人たちと何やら揉めている。達彦は桜子に落ち着いて勉強できる環境ではないと言い、改めてマロニエ荘を出るように忠告するが、桜子の気持ちは変わらない。
「私はここが好きなの。ここに住んどる人たちも好き。みんな好きなことがあって、ぎりぎりだけど一生懸命がんばって生きとるの」
 マリだって自分から男の愛人になろうとしているわけじゃない。本当はダンサーを続けたい。桜子は昨夜、一人で踊るマリの姿を見てそう思った。
「好きな道が閉ざされそうになった時のつらい気持ち、達彦さんにもわかるだら?」
 達彦もかねに東京音楽学校の受験を猛反対されていたことがあり、マリの気持ちには共感できるものがある。桜子から人のことをうわべだけで見ないほうがいいと言われ、達彦はそれ以上強く言えなくなってしまった。
 そんな折、桜子は笛子に近況を綴った手紙を送っていた。笛子は手紙の一節にあった "ダンスホールに行ってきました" という言葉が気にかかり、ダンスホールはどんなところかと東京に詳しい磯に尋ねるが、返ってきた "キャバレーみたいなところ" という答えを聞いて仰天する。
・・・その後、笛子は汽車に乗って東京に向かっていた。桜子は自分の何気ない一言が笛子を東京に呼び寄せてしまったことをまだ知らない。


純情きらり 第7週「貧乏なんか怖くない」 第42回 5月20日 (土)

 店を去る日、控え室で最後の準備をするマリのところに贈り物が届く。それは八重、ハツ美、桜子からの真紅のダンサー衣裳だった。
 その夜、笛子がマロニエ荘を訪れた。しかし、桜子は不在。冬吾から例のダンスホールにいると聞かされ、笛子は桜子のところに急ぐが、店内で財布を盗まれ、たまたまぶつかった八州治をスリの犯人だと思い込んで警察に連れて行く。
 そんな騒動があったとも知らず、桜子がダンスホールに行くと、マリは誰にも指名をもらえずに一人でポツンと座っている。桜子が胸がつぶれる思いでマリを見守っていると、そこへ何か力になろうと初めて歩み寄りをみせた達彦が姿をあらわす。達彦は東京音楽学校で出入りを禁じられているダンスホールに足を踏み入れてまでして冬吾と八州治のプレゼントを届けに来たのだった。
 結局、マリには最後まで指名がつかなかった。桜子はホールの中央まで歩み寄り、マリと最後のダンスを踊ってほしいと申し出る。すると、そこでサックス奏者の秋山がB.G.Mを演出し、マリは桜子と手をとって踊り始めた。いつしか微笑みあってチークを踊る二人だったが、マリが心を開いたのも束の間、マリの男・熊井勇吉 (佐藤誓) から乱暴な呼び出しがかかり、マリは強引に手をひかれ、ホールを去って行った。
 控え室でマリは去り際に達彦から受け取った包みに目を落とした。包みの中に入っていたのは八州治からの似顔絵、そして、ひそかに思いを寄せていた冬吾からの油絵だった。マリはずっとくすぶっていた思いがようやく紐解けたような気がした。
・・・ 桜子と達彦がダンスホールを後にしようとしたその時、突然、悲鳴があがった。マリが愛人契約を解消しようと申し出たことに熊井が腹を立て、暴力をふるっていたからである。桜子と達彦はすぐに事態を察した。達彦がホウキで熊井に一撃をくらわし、桜子はマリを連れ出した。
 マリは気が付いた。本当に恐いのは貧乏じゃなく、一人になることだと。マリは愛人として裕福な生活を送るよりも、貧乏でも大切な仲間と一緒に生きる道を選んだのだった。
 マリの帰宅を祝って散々飲み食いした翌朝、マロニエ荘にスリの濡れ衣を着せられた八州治がようやく疑いを解かれて帰ってくる。
 そして、もう一人、マロニエ荘にやってきた人物が……。玄関に出た桜子は突然の訪問者に凍りつく。あの笛子が鬼のような形相でそこに立っていたのだった。


次週予告

来週は「初めての連弾」

私の東京生活も風前の灯です。
おじいちゃんは乱入してくるし、西園寺塾ではるり子さんが何やら画策してるし。
そんな時、薫子が斉藤先生の消息を教えてくれて、懐かしさに私の心は乱れます。
達彦さんはまた実家ともめているみたいで、相談に乗ってくれるのは冬吾さんだけ。
・・・ と、思ったら・・・、どうなるの!? 私。


純情きらり 第7週「貧乏なんか怖くない」 今週からの出演者とゲスト

* (塾生)溝口明日翔
* (塾生)嶋崎亜美
ボーイ笹木彰人
受付菅原祥子
熊井勇吉佐藤誓
ダンサー小野孝弘
出演者協力二ツ森司ダンススクール


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